連日、新聞やテレビを賑わしているパナマ文書で何故一国の首相や大統領の首まで飛ぶのか。
実業家の堀江貴文氏は、高額所得者たちが、所得逃れをしていることについて、「無駄な税金納めないのは普通」と述べました。
楽天の三木谷会長が、1995年英領バージン諸島の法人株主になった事を報じた記事に噛み付きました。
「個人として無駄な税金納めないって普通じゃね?」
パナマ文書報道に疑問を投げかけました。
さらに税金対策について、(みんなやろうと思えば出来るやろ)と持論を展開して見せました。
パナマ文書とは何か。
その本質は、堀江氏の言うようにスーパーリッチたちの節税対策なのでしょうか。
色々な説明記事や解説記事を読んでもよく解らないのです。
そんな時、「オタク」経済評論家として有名な森永卓郎氏のパナマ文書の本質と言うのを読んで、非常に解りやすかったので要約して書いてみました。
①パナマ文書の流出が世界中に衝撃をもたらしている。
パナマ文書と言うのはタックスヘイブンの法人設立を代行するパナマ法律事務所の過去40年の記録である。
その中にはイギリスのキャメロン首相やロシアのプーチン大統領の友人、中国の習近平主席の親族などの名前も含まれている。
②世界には50以上のタックスヘイブンがあり、所得税や法人税が無税あるいは非常に低い水準に設定されている。
富裕層が、所得や資産を移して、節税や脱税をしているだけではない。
③タックスヘイブンは、英国系、米国系、欧州系の三つに分類されるが、それぞれの宗主国の金融市場と深く結びついている。
そして、本国の金融市場の補完をしている。
本国の金融市場は、まともな金融取引しかない表の顔。
金融市場には、「裏の顔」がある。
表には出せない闇の取引をやっているのがタックスヘイブンなのだ。
④ロンドンのシティやニューヨークのウォールストリートはタックスヘイブンとセットで存在している。
富裕層の資産を中心に、とてつもない資金がタックスヘイブンに流入している。
ここで話はニコラス・ジャクソンの「タックスヘイブンの闇」と言う本の話になる。
ニコラス・ジャクソンによると、タックスヘイブンの保有資産は、全ての銀行資産の50%、対外資産の投資の3分の1に達する。
単に課税逃れのためだけではない。
富裕層がなぜ富裕層なのか。
富裕層は資産を10%以上の利回りで運用している為である。
⑤しかし今の世界的低金利の中で10%以上の利回りは多すぎる。
二桁以上の利回りを実現するためにタックスヘイブンではあらゆる闇取引が行われている。
麻薬や売春で得た資金のマネーロンダリング(資金洗浄)、世界各国のテロリストとの兵器売買、企業のっとり、商品投機。
まるで映画「007」悪役のスペクターを連想させます。
極めつきはその資金は北朝鮮の核開発にも使われていると言うのです。
森永氏は最後にこう結んでいます。
「だから、タックスヘイブンの利用者が非難されるべきは、単に課税を逃れているというだけでなく、カネを増やすためなら手段をまったく選ばないそのスタンスにある。」