2016年10月15日。ご存命であれば蜷川さんの81歳のお誕生日のこの日、さい芸で行われたスペシャルイベントに参加してきました。

ツイッターのほうで呟いていたんだけれど、せっかく長々と書いたので久しぶりにブログのほうにも残しておこうと思います。

メモを取りながらお話をいていたのに、残ったメモを見ると単語だけだったり人名だけだったり^^; なので、それをもとに多少作文してしまっている部分があります。「だいたいこんなニュアンスの話だった」程度に思っていただければ…^^;

 

まず、イベントの前に稽古場が解放されているというので見学してきました。大稽古場に「リチャード二世」「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」「ヴェローナの二紳士」で使われた大道具の数々が展示され、一角では蜷川さんのインタビュー番組の映像を見ることができました。

「ヴェローナの二紳士」から展示されている大道具はたくさんの石膏像と籠入りの花。花は市場のシーンで使われたものかな?舞台写真も2枚展示されていて、三浦くん高橋くんの2人の場面が1枚、横田さんを挟んで二組のカップルが並ぶ場面が1枚。

 

数々の大道具が展示されている大稽古場を見渡せる位置に、蜷川さんが演出されるときに座っていらっしゃった机と椅子が置かれていて、ここでたくさんの役者さんたちが蜷川さんから愛あるダメ出しを受けたんだなぁってちょっぴり感傷的になっちゃった。

 

大稽古場から大ホールへ続く廊下(ガレリア)には過去のシェイクスピアシリーズの舞台写真が展示されていて、たぶん「尺には尺を」を観に来た時にやっていた展示と同じラインナップで、「尺には尺を」が追加されただけかな。

 

イベント会場は大ホール。舞台上には来客用の応接セットみたいな椅子が3脚。後方にスクリーンがあって今までに上演されたシェイクスピアシリーズのチラシが映し出されていました。いよいよ始まります。

進行役のお一人として登壇されたさい芸の事業部長さん(?)が、「今日は劇場が22歳。ご存命であれば蜷川さんが81歳の誕生日」そして「本当なら今日はここで小栗くんが『ハムレット』をやっていたはず」と。松岡先生は「お誕生日おめでとうと言いたかった」とポツリ。

松岡先生が蜷川さんに「蜷川さんにとってシェイクスピアとは?」というインタビューをしたそうで、その時の話を紹介してくれました。

 

蜷川さん「東宝から「ロミジュリ」の演出を頼まれたのが最初だった。シェイクスピアは何でもあり!何でもできる!と感じ、シェイクスピアと出会って自分は解放された」と。松岡先生「その集大成が『リチャード二世』だったのだと思います」

 

ゲスト登場。一人目は瑳川哲朗さん。蜷川さんのシェイクスピア作品には14~5本出演されているそうで、「蜷川さんに褒められたくて、喜ばせたくて演じていた。でも褒めてもらえたのは『ハムレット』のクローディアスだけだった」

 

二人目のゲストは横田栄司さん。登場するなり「鋼太郎さんが来ると思って期待していた人もいるだろうけど残念でした。ザマ~ミロ!」って(笑) 初めから会場は爆笑でした。

蜷川さんとの出会いは「友人のマツモトミノルくんと二人で蜷川さんにエチュードを見せに行った時で、『お前らいい加減にしろ!俺の45分を返せ!』とボロクソに言われたんだけど、でも、『根性がある』とも言われた」そうです。

その2~3年後に「ハムレット」の再演でレアティーズを探していた蜷川さんに会うことになり、もう忘れているだろうと思っていたら「ん?会ったことあるよな?」と、しっかり記憶に刻まれていたようで、すぐに出演が決定したそうです

 

稽古場では蜷川さんからたくさんダメ出しを受けたけど、印象に残っているダメ出しのひとつとして、王様(?)に許しを請う演技の時にぺこぺこ頭を下げていたら「コンビニの兄ちゃんじゃないんだから!」と言われたエピソードを紹介してくれました(笑)

 

松岡先生からの「どうやってセリフを覚えるの?」という質問に、「部屋だったりカラオケBOXだったり。台本の3行ずつ覚えて、次に9行のかたまりにして覚えて、最後に丸ごと覚える。口が覚えるまでひたすら繰り返す」と。

稽古の時は、蜷川さんからダメ出しが出る前に次のセリフをどんどん言って、ダメ出しの隙を与えないそうです(笑) だから竜也くんや小栗くんもセリフが早口なんだって言ってたけど、ホントかなぁ(笑)

 

最後のゲストはネクストシアターの3人。内田くん、竪山くん、手打くん。「リチャード二世」の王冠譲渡の場面の映像に合わせてナマでセリフをあてるという試み。この舞台は観ていなかったんだけれど、観なかったことを後悔する素晴らしさでした。

 

そろそろお終いというところで松岡先生から「シリーズ全37本が終わったら、〆は『テンペスト』にするというのが蜷川さんの希望だった」というお話が。「『テンペスト』のプロスペローの独白は、舞台をつくる蜷川さんの人生そのものを重ね合わせていたのだと思う」と。

松岡先生のお話に続いて横田さんがその部分とエピローグ部分を朗読。聞き終えた松岡先生が横田さんに「いつかやらないとね!」って。素敵なエールだったなぁ。

 

松岡先生が蜷川さんから出来上がった脚本(セリフ)に対して「別の言葉に書き換えてほしい」と言われて、その場で違う言葉に変えたのだけれど、そのとたんに役者の演技そのものに変化が起きて芝居に広がりが生まれたのを目の当たりにしたことがあったそうです。

その経験からも、「役者さんのイマジネーションを刺激するような言葉づくりを大切にしたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 

最後にこのシェイクスピアシリーズの2代目芸術監督に吉田鋼太郎さんが就任することが決定したという記者会見の映像が流されて、会場からは大きな拍手と歓声が沸き起こりました。夢の続き・・・楽しみです。

 

個人的には松岡先生ご自身の蜷川さんとの出会いや思い出についてももっともっとお話を伺いたかったとも思うんだけれど、でも、本当に貴重な機会にお邪魔することができて良かった。素敵な時間でした♪

 

初代と二代目の芸術監督の手形が並んでいます^^