今日は、「意思能力を常に欠く状態ではないけど、通常よりは若干、意思能力の判断が劣る」とか、「普段の買い物とか、生活するにはそんなには支障はないけれど、お金の管理が出来なくなってきた」「認知症と思っていなかったけれど、画像を取ったら認知症の症状が出ていて思い当たる節がある」
というような、「成年被後見人」よりしっかりしている人についての説明です。
成年被後見人の次に、意思能力の判断が劣り、後見人を付ける場合、
ご本人のことを「被保佐人」、助ける人のことを「保佐人」といいます。
民法の条文上では
「精神上の障がいにより事理を弁識する能力が著しく不十分である者」と書かれています。
とっても不十分だけど、いつもいつもではないということ、まだご本人の意思で決定できる能力も残っている状態です。
そして、この「被保佐人」よりも意思能力の判断がしっかりしている場合、
ご本人のことを「被補助人」、助ける人のことを「補助人」といいます。
こちらは民法では
「精神上の障がいにより事理を弁識する能力が不十分である者」と書かれています。
「著しく」のところが違っています。
しかし、被保佐人と被補助人の区別ってどのくらい違うのですか?と聞かれたら、私はもちろんのこと、精神科や物忘れ外来の医師や、審判をする家庭裁判所でも悩むのではないかと思っています。
東大でたくさんの事例を学んだり、実際に被後見人や被保佐人の方が来られたりして教壇にたたれていますが、実にしっかりされていますし、違いが分りません
この被保佐人と被補助人という微妙な違いを作った背景には、より軽度な認知症や知的障がいなどの場合でも利用しやすいように、そして、利用により保護されやすいように・・・という思いが民法改正の際に考えられたようです。
さて、民法改正前からの歴史的な話はまたの機会に続きます