「生老病死」

生まれた瞬間から、
私たちは成長という「老い」を生き始める。

生まれる。
生きる。

それ以外の3つ
「老病死」
全てに抗おうとする今の社会。


そりゃ苦しいよなぁ〜と思う。
人間としての当たり前の経過に抗う社会なのだから。



知人の紹介で、
昨年の春に出会った
90代のおじさま。
元中学校の国語の先生で、
私がお会いした会場にも、
たくさんの元教え子さんが
おじさま先生を慕って、
会いに来ていた。


その膵臓がんを患うおじさま先生の言葉がすごく印象に残ったんだ。


「生老病死、万事順調です。」


それまで、この言葉について考えることもなかった私。


生老病死と万事順調


この2つの四文字熟語の組み合わせに、
すごく興味を惹かれた。



時間の流れはそれぞれだけど、
みんな万事順調。
そこに良し悪しなんてないんだなって。


でね、その時、転んで肋骨を折ってしまっていたのもあり、おじさま先生は多くは語らなかったの。


でも、何度も何度も
「ありがとう」って言ってらっしゃった。



私はその時が、
おじさま先生と初対面。


なのにさ、
その「ありがとう」が
タンクに水を貯めるみたいに、
私の中にどんどんどんどん貯まって、
ついに崩壊して…。
気が付いたら、
3時間ぐらい泣きじゃくってた。
周りが「どーしたあのひと?」って引くぐらい。
大人なのに、ワーンっていて、
挙げ句には横隔膜が?ヒクヒクして。



何でなんだろう。
私にもわからなかった。
何か特別に感動する話でもなかった気もするし。

ただね。
心が震えまくってたのは、わかる。


存在を許す。
存在を認める。
存在を喜ぶ。


私の全てが受容された気がしたんだ。
で、おじさま先生は今までにどれだけの生徒さんの存在を受容してきたんだと思ったら、


胸がいっぱいになったんだ。



良いところを褒めるだけじゃなくて、
存在そのものをガシっと受け止めてる。



その安心感の中で生きれたら、
人はどれだけ幸せだろう。
いろんなことにチャレンジできるだろう。


私の中には、
そのおじさま先生に共鳴する何かある。
それをダウンロードさせてもらった気がしている。
 

自分の感情であったり、
様々なできごとであったり、
許し、受容を、
まずは自分から
そして、
周りの人、社会や世界へ
どんどん拡げていけたらいいな〜。



今日は外が真っ白。

さいとう ちえみ