今日は昨年まで3年間お世話になっていた文化放送・劇団ふるさときゃらばんの「ミュージカル体験塾」
第9期 定期公演を観に、日本青年館にいってきました。

つい3日ほど前、劇団での稽古に顔を出し、お手伝いを申し出たので、今日は裏スタッフ的に
かかわってきました。

なんか、仕込みとかゲネとか、本番間近の緊張感を知っているだけに、私もソワソワ…。
でも、どこか一線引いてる自分もいて、、、当事者でないとこんなにも心境が違うんだな…と
しみじみ感じながら会場入り。

現役塾生と同じTシャツを着て、表方のお手伝い。
といっても、そこはさすがのプロ集団ですから、私たちが行かずともばっちりスタッフ体制は
出来上がっているので、本当に気持ちばかりのお手伝い。
ただ、私としては現役時代には見えなかったスタッフの仕事を知りたかったので、ありがたい機会でした。

スタッフあっての役者。ほかの公演のお手伝いなどをする中で、そのことをヒシヒシと感じたのですが、
塾はどこかその辺の感謝の気持ちが薄らぎやすい。それは私自身も。
自分のことでいっぱいいっぱいになって、回りに目が向けられなかったりするのですが、
塾から離れた今、塾公演はどんな風に作られていたのか外側から見たかったのです。

たいした仕事はしていないけれど、でも、表方さんのお仕事内容や大変さなども肌で感じました。
出演者のお花を預かるコーナーあるでしょ??そこのお手伝いを同期沙織といっしょにやらせてもらいました。
今回受付が小さいスペースだったこともあるけれど、本当フル回転であわただしかった。
1000人以上のお客様、そして発表会的なこの公演はみんな出演者の知り合いが観に来てくれるわけだから、プレゼントの量も半端ない。
自由席のお客さんは、席確保の為に更に会場に入ることを急いでいるし、、、結構お客さんを
お待たせする形となって、本当申し訳なくて、「あっ、こちらで代筆させていただきます!!」ってな
サービス的対応をしたり…、スタッフの動きも多くなる。
傲慢なスタッフは絶対いけない、来てくださってありがとうの気持ち、なによりお客様を大切に…。
役者としてお客さんのありがたさもわかるから、
スタッフとしてもその気持ちは忘れてはいけないって思う。

更に、預かったお花を出演者別にわけ、帰りに持ち帰りやすいように、そして漏れや間違いのないように
あいうえお順で並べていく作業も半端ない。
会場にあるテーブルなど設備を利用させてもらうため、会場スタッフさんも行きかう。

打ち上げの席で文化放送サイドが「この公演を成功させるために100人以上のスタッフがかかわって
いることを忘れないでほしい」といっていたけれど、そのことを肌で感じてきた。

いつも接してくれている劇団関係者はもちろんのこと、本当に知らない方たちまで公演に関わってくれている。これもビジネスだから…といえばそれまでだけど、決して役者がすべてではないことを
しっかり肝に銘じておかなくてはいけないと思う。

塾生の中には疲れた…とか自分のことやらなくちゃ…とバラシ作業もろくにやらない人もいるが、
もっとありがたみを感じなくてはいけないと思う。
たとえ、体が思うように動かなくても、感謝の気持ちだけは忘れてはいけないと思うのだ。

今回裏側を見たことで、今までの自分を反省した。
なんて今までの自分は独りよがりだったのだろうと。
なんて全てを知った気になって、いい気になっていたのだろうと。

すべてのお膳立てをやっていただけている塾ってなんて恵まれているんだろう…って改めて感じた。


公演自体も、稽古にはちょこっと顔を出したこともあるけれど、通して見るのは本番の今日がはじめて。
どんな作品に仕上がっているのだろうと、楽しみの気持ちだった。
3年間、舞台に立っている側の人間だったので、こうして塾の舞台、仲間たちの姿を客観的に見るのは
初めてのこと。
言い知れぬ緊張感が走る。
舞台に上がるドキドキ感、共演者との連帯感を知っているだけに、下座バンドの演奏が始まると、
幕の中の役者の気分になるようで変な心境だった。
そう、みんな知らないでしょ??下座さんの表情を!!
すごいですぜ!!
下座さんみんなが、舞台を見て合わせてくれている、その温かい表情。
これだけで泣きそうになったよ。本当舞台に立てているみんな、幸せだよ。

今回沙織やご家族のおかげで公演を見ることができ、2回公演とも見ることができたけど、
1回目の公演の方は本当に泣きそうになった。

何より、今回舞台をみて感じたことは、今までの私が思っていた感情とまったく違うもの。
今まで当たり前のようにやってきたきゃらばんの作品のすばらしさを、今回心のそこから感じ、
今まで吐き出すだけだった台詞が、とても重みがあることにいまさらながら気づき、
演出家のダメ出しの意味がよ~くわかった。
そして、見てくれや、個々のレベル・完成度に目がいきがちで、勝手に優劣をつけていたりしていた
自分に気づいて、反省した。

塾にはさまざまな人が参加している。
年齢、職業もさまざま。それまでの舞台経験やレッスンなどの訓練の度合いもさまざま。
でも、同じ塾生のなかでも、役どころとか台詞の量とか比べちゃうのも、これも人間の性ってもんで、
仕方ないことだと思うけど、やっぱり前に出てナンボ、台詞をもらってナンボ、主要キャストを狙って
ナンボ…みたいなところが少なからずある。
それは自分自身も否定はしない。

でも、そういうことじゃないんだな…って思った。
もちろん、役をもらえるってことはそれだけ認めてもらっているってことだとは思う。
でも、その役をいかに自分のものにできるか、、、それが問題であって、
役に大きい小さいはないんだなって本当に思った。
まぁ、大きい役をもらえることはうれしいけれどね。自分を必要って言ってもらえてる気がして。

塾長が今まで言ってた「ベテラン陣には芝居がうまい下手ではなく、味がある」って意味が本当の
意味でわかった。
変な言い方だけれど、見直した!って人や、この人すごいな…って思った人が正直たくさんいた。
こんな発見も私にとって大きな収穫であり、勉強になった。

その年齢でしか出せない雰囲気や息遣いもあると思う。
それは役作りとか抜きにして、生身の人間そのものを感じさせる。そしてしっかり舞台で生きている。
逆に今まですごいと思っていた人に、「もっとこうすればいいのに…」ってダメ出し的感情が生まれたり。

本当、お楽しみ的感覚だった私だけれど、改めて「塾」ってものを考えた時間だった。
来期復帰も1つの道だな…なんて思っていた私だけれど、ちょっとどうかな…と思っている迷いが
更に深まってしまった。せっかく1年離れて別の環境も経験したのに、
いくら10周年の記念で、10期で最後かもしれない…という付加価値がついていようとも、
ここに戻るということは、この1年を無駄にすることなのでは…っていう気も起きてしまうから。

いやいや、そんなの気の持ちようだし、モチベーションの問題だし、
そんなの、これまた独りよがりだけれど。


自分の見方も変わったのかもしれないけれど、ものすごく9期の公演よかったと思います。
いろんなトラブルやらミスもあり、ヒヤヒヤしましたが、本当、皆さんお疲れ様でした、と拍手をおくりたい心境です。
関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした。