Tシャツの着こなし私流
ジェイ・ジェイ1987年 小林麻美
たとえば、白いプレーンなTシャツ。
あなたなら、どんなふうに演出しますか。
1枚のTシャツに表情を加えて自分らしく。
元気に着こなしたいけれど、下品にはしたくない。
簡単なようで難しい表現の方法を、“麻美流”の5つの着こなしから探してみましょう。
Tシャツといえば、やっぱり女の子より男の人。ジェームス・ディーンがヨレヨレのジーンズにスニーカーを合わせていた。あんな姿が印象的。私にとっても、洗いざらしのTシャツにジーンズ、洗いざらしの綿シャツの組み合わせが大好きな定番になってる。20代のはじめころ、ボタンは何個はずそう、とか衿の立ち方、結ぶ位置…。自分流に着こなすにはどうしたら、と考えた時期もあったの。でも最近、考えずに自然に着るようになってラクになった。結局、毎回、同じようにシャツを結ぶなんてできないし、この位置がいちばん、なんてないんでだってわかったから。
「Tシャツ(ヘインズ)シャツ¥25,000(バーゴ58)ジーンズ¥14,000(ビリーザキッド)」1987年でした。


着るものによって女性の気持ちはすごくかわるけれど、たとえばTシャツにスリットの深いスカートを合わせたとするでしょ。そんなとき、そのスリットを意識するぐらいだったら着ないほうがいいと思うの。どこまで見えても平気、と覚悟を決めて着ないとミニスカートやスリットはきれいじゃない。スリットがあいているのを気にしたり隠したりするのってよくわからないの。あるがままに歩いて、揺れて見えればとても自然だし…。セクシーかどうかは、他人が見て思うことだから、露出の大きいものを着るときは、“潔く”がモットーかな。
「Tシャツ¥1,400(ハリウッドランチマーケット)イヤリング¥1,900指輪¥1,900(ともベルテモンテ)」1987年でした。


真夏、カジュアルにスーツを着こなすときは、ルールも限界もまったく必要ないはず。Tシャツと合わせるために、意識してスーツを着くずすというより、服を自分に近づけて、着やすくするというほうが近いかな。その方法として、フロントを結んだり、袖をまくったり…。靴やバッグの合わせ方もそれと同じ。ドレスダウンするためにスニーカーを履くわけじゃない。ミニスカートだったら、パンプスよりスニーカーのほうが動きやすいな、そういうマインドから始まるの。
「Tシャツ¥1,400(ハリウッドランチマーケット)ジャケット¥36,000スカート¥18,000(ドロテビス/東京オールスタイル)ベルト¥23,000(グィードパスクァーリ)」1987年でした。


体にフィットした女らしい雰囲気のものが着たくなったり、ラクなものに興味が湧いたり、流行に合わせて、着たいものも変わるけれど、アイビーやトラッドは、昔からずっと好きなスタイル。今日、合わせた紺のプリーツスカートは、トラッドのなかでは、基本的なアイテムのひとつ。でもその選び方は、なかなか難しいですよね。私の場合、長さと量感がポイント。プリーツのたたみ方が適度でフワッと広がりすぎず、ストンと落ちる感じ。似合う丈は、体型によって違うけれど、プリーツに関してだけは誰でも思いっきり長いほうがバランスがいいと思うの。
「Tシャツ(ヘインズ)スカート¥29,000ベルト¥7,500(ラルフローレン/西武百貨店渋谷店)カーディガン¥50,000(シャネル)」1987年でした。


ビッグなTシャツに小物で味つけをしたサマーウエスタン。ダボダボのTシャツはウエストで結んで無造作に着てみる。インナーとして着るときは、ジャストサイズでもいいけれど、1枚で着るならグチャと大きめのほうが可愛いんじゃないかな。とくに女の人の場合は。洗いざらしでいいものには、同じ洗いざらしを合わせるという感覚で、フレアースカートの素材はやっぱり綿。麻は一度アイロンをかけてから、しわになったものはきれいだけれど、つるしじわや洗濯じわがいいっていうのはあまりないから…。
「Tシャツ(ヘインズ)スカート¥14,800(ミュージアム・フォーシップス)ブーツ¥29,000(ラネロッツ/IMM)帽子¥12,000(ブティック・サロン・ココ)」1987年でした。


基本的に、Tシャツは男の人の下着から始まっているでしょ。
女の人のアンダーウエアのように、セクシーである必要はないわけじゃない⁉️
だから、ナヨッとした感じでなく、わりと男っぽく無造作に着たい。
洗いこんでヨレヨレだったり、縮んじゃったもの、何でもOK。
夏はパジャマ代わり、冬は下着として、いつもどこかに着ている、一年をとおしての必需品。
とりあえず、ジャストフィット、ゆったりサイズ、男もののXL…。
Tシャツなら、この3パターンがあればもう満足。もちろん、シンプルな白の綿素材。
どこかミーハーな部分もあるから、ロゴ入りTシャツも、“あ、可愛い”と思って着ますよ。
でも、おしゃれとしては楽しめるけれど、1、2枚持っていればもうよくなってしまう。
やっぱり、どんな表情でもつけられる無地にはかなわないと思うから。逆に、プリントだったらディズニーのTシャツなんかのほうが、永遠に好きなアイテム。
いまでも捨てられずに、プライベートな時間にこっそり着ているの(笑)。
Tシャツに服や小物を合わせて味つけをする。
基本は、相性や細かいことを考えない意識外のところでの選びなんです。
ファッションにルールがないように、それは私のなかでも同じこと。
組み合わせのタブーはなくて、ただひとつ、何かでくくれるとすれば、好きという枠だけ。
ダイヤモンドやクルマに凝っているわけでもないから、服では自分をできるだけ自由にしてあけようと思ってるの。