ン・ル

現在のイメージメーカー
本日活動再開❗
MORE 切り抜き 1982年7月

「ハ~イ!アンです。お久しぶりっちゅう感じデス。なぜか、1児のハハとなっちやって、この1年、子育てにガンバリまくってたの。もう、たまらなくなっちゃって、ゲイノウカイしたい雰囲気だわ。この気持ち、ジュリーも百恵ちゃんもわかってくれちやって、アンの新曲、ふたりが作ってくれたりしてるの。なかなかなもんよ。まあ、この1年半、いろいろあったりしたんだけど、今日は、新生アンのお披露目。ツマとハハと女のバランス、難しくなっちゃうかなア…」

ああ、100年ぶりのインタビューだわ(笑)

アン 「芸術は爆発だ」って、髪してる?

本誌 (笑)髪はロンドンでカットしたの?

アン そう。でも、一応カッコーつくからうまいんじゃない。向こうは下手なのがうまいのよ。日本人ほどうまいのいないからね、器用できれいにね。
ああ、100年ぶりのインタビューだわ。(笑)

本誌 その100年ぶりをじっくり語っていただかなくちゃ、おしゃべり好きのあなたに。

アン  ほんと。しゃべるのが好きで、つい、要らんことまで言っちゃうからね。(笑)

本誌  めでたく母親になったわけだけど、やっぱり出産は大変だった?


アン 痛かったね、痛いなんてもんじゃないね。この世の終わりの痛みだったね。殺してもらったほうがよかったと思ったもんね、そのときは。(笑)
陣痛室にいたとき、ハワイだったから、隣に痛い痛いとギャーギャーうるさい外人がいたわけよ。うるせぇな、やっぱり外人は恥知らずだ、日本人はきっとここでグッとガマンするんだと思ってたわけよ。ところが、その人より私のほうがギャーギャー!もう病院中に聞こえるぐらいに、大騒ぎしちゃった。騒ぐと痛みがやすらぐような気がするのね。
ラマーズ法なんて冗談じゃネェと思ったね、そのときは。悪いけど。(笑)呼吸法とかやったけど、やってらんない、痛くて。将大さんは一生懸命、「フッフッやって」って言ってるんだけど、もう旦那があのときほど醜くて、言うことなすこと全部うっとうしいことなかったわね。あとで考えると恥ずかしくて。看護婦さんとかね、スミマセーンみたいな感じでね。(笑)でも、面白いことに、陣痛室から分娩室に入った時点でガマンできる痛みになってくるのね、痛いのは同じなんだけど。ああ、もうすぐボッコリすてきなものが出るんだと思うからね。まあ、分娩室に入って1時間ぐらいして出てきたかな。

本誌 あなたの出産に立ち会った、彼のルポルタージュ(月刊プレイボーイ'81年10月号)、なかなか感動的だったな。

アン ああダメ!あれはあっち側のいい話ばっかりしているから。(笑)男の立場で男のほうが女よりつらいみたいな話になってるから、冗談じゃネェよ。でも、一緒にいたからね、痛みとかを味わえない部分で、逆に頭でその痛みを考えてあげなきゃいけないから、ある意味ではもっと痛かったのかもしれないけど、実際に痛いのはこっちよ。(笑)


本誌 だけど、日本人の男性が、妻の出産に立ち会うってまだまだ勇気いることよね。

アン そうかな、うん、彼もやっぱガンバったと思うね、それなりに。向こうは何か言ってたね「俺、何個の風船ふくらましたぐらいフッフッってやっただろうな」って…。
生まれてすぐ見せてもらったとき、もうどうでもいいのよ、赤ん坊って。疲れちゃってるし、女が欲しかったから「男です」って言われてガックリきてね。それにしてもブスねって言ったのよね。本当にブスだった。頭がビョーッて、エイリアンみたいにとんがってるのね。でも、すぐ治ったけどね。
ホラ、これが生まれて2日目の写真だけど、ガッツ石松のベイビーみたいな顔をしてるの。今、かわいいよ、ハンサムよ。私に似ているの。(笑)

美勇士(みゆうじ)くんの写真

本誌 もう親バカが始まったの。(笑)そろそろ歩き出すころなのかしら。

アン 4月21日から歩き出した。親の感動する瞬間ね。だけどその時点にいなかったの、彼。そういうの悔しいよね。

本誌 親になった気分はどんな感じ?

アン やっぱり人間を見る目が変わるのね。この人もああやって生まれてきたんだなって、産んだ当時はね。今は、普通にもどっちゃったけど。(笑)
でも、今、思うの。今度の子は自分から女という気持ちを捨ててから産みたいなと。まだ男と気持ちいい生活を送りたいと思っている時代は子供を産まないほうがいいみたいね。束縛されるからね、子供に。だけど、昔から若いママというイメージに憧れていたのよね、17歳ぐらいで産んで、子供が10歳で、私が27歳みたいなね、結局、24歳で生まれちゃったけど、女の子欲しかったね。飾りたいのよね、一緒にパンクしたいのよね。男の子は取り合えず長髪にしたいのよね。


本誌 もう決めてる。親の横暴だ。(笑)

アン ハードロックしたい。気持ちはね。

本誌 母乳で育てたの?

アン ラマーズ法で覚えて、やってみたんだけど、母乳が好きじゃない子だったの。3カ月ぐらいまでは母乳をやってたんだけど、配達されてくるベイビーミルクのゴムの先っちょの方が気に入ったみたい。でも、赤ちゃんのこと置いて買い物に出かけるでしょう。赤ちゃんのことを考えると胸が張ってくるというのは不思議だったね。あら、ハハだわと思ったの。(笑)

お互い、リーダー格だから喧嘩はすごいよ

本誌 彼もガンバって育児をいろいろと協力してくれたんでしょう。

アン 最初だけよ。日本に帰ってからはウダウダしているわけよ。この前(レコーディングのため)ロンドンに行ったのね。その間は彼にパーッと任せて行ったわけ。それで帰って来たらえらいめんどう見てるわけよ。日曜日から土曜日までの朝、昼、晩のメニュー表なんかつくっちゃって、離乳食の。離乳食の本を買ってきておいたわけ、それにフリージングというのがあったらしいの。毎食オジヤは食べるから、4種類ぐらいオジヤをつくって、1回分ごとにわけてギッチリ冷蔵庫に入ってるわけ。なるほどね、やっぱりねなんて思って。元来、飲み助なのに結構ジミに家にいたらしいしね、人に押しつけないで。よかったなと思ったわけ。そしたら、今度は向こうがロスに行ったの、2週間ぐらい、帰ってきたらまた何もやんないのよね。もう腹立つ腹立つ。(笑)こっちはどっかアメリカの血が流れているからね。ふたりの子でしょう。ふたりでめんどう見ましょうよみたいな気があるわけよ。朝、美勇士(みゆうじ)が泣くと、ベッドでふたりの間で寝かしているから、泣くとお互いに待っているわけよ、どっちが先に起きるかなって。どっちもなすり合いをしてるみたいな感じなのよ。結局、私が起きるけどね。後で言われるじゃない、〟お前、母親のくせに〝って。


本誌 父親のくせにとは言わないの。

アン イマイチ言えないじゃない。

本誌 意外!アンらしくないみたい。(笑)

アン 1回、私のために何かをやってくれたら、一生言うタイプなのね。(笑)ヘビ年なわけよ。「あのとき、俺がやっただろ」と言うのを奥着せがましく言うのよ。それがまた悔しいからイヤなのね。私が何か引け目を感じたくないわけ。彼が本気で、機嫌がよくて心からやってくれているというとき以外はね。

本誌 それ以外は黙って背負って、カリカリしながら、かなり引き受けちゃう。(笑)

アン 向こうに言わしたらいろいろと言いたいことあると思うけどね。(笑)

本誌 そうよね。日本の男性としては、すごくガンバっている感じですものね。

アン そう思うでしょ。(笑)向こうも、思っていると思うよ、きっと。

本誌 〟これ以上やれと言うのか〝って。(笑)でも、今まではお休み期間だったからまだしも、仕事を再開したら大変になるわね。

アン こっちの仕事も、向こうがハッキリ認めてくれれば…ね。この1年半で、向こうは女房っていうのに慣れちゃったみたいなのよ、家にいる私っていうことに。その前だったら、出会ったときから私はすでに仕事してたから、あんまり言えなかったけど、これからは、ちょっと難しいだろうね。本気で仕事が始まったら…。だけど彼はよくやってくれていると思うよ。ご飯も作ってくれるしね。すごく好きなの、ご飯を作ったりすることが。どっちかって言うと私たち女って、結構簡単なものとか…。


本誌 手早くできるものって感じでやるわね。

アン ネ。でも、男の人はすごい手の込んだ…。

本誌 材料から吟味したり、完璧に自分の方法で全部やってみるとか…。

アン そうなんだな。ちょっとでも手伝うと自分で作りましたって、人に言えないじゃない。(笑)そういうタイプなのよ。(笑)

本誌 女の手助けは要らネェというわけね。

アン 逆に、私がご飯を作ってるじゃない、ヒュッて横にくるわけよ。邪魔クサイなと思うんだけど、パセリのスパイスあるじゃない?シュシュッとか入れるわけ。私は何にも言わない。そうすると誰か来て「これ、おいしいね。誰が作ったの」って聞かれると、「ふたりで作ったの」。(爆笑)

本誌 彼は育児をしたり、料理をすることに初めから偏見のなかった人なの。

アン うん。出会ったときから、結構、アメリカナイズされてるところはあったみたいね。その代わり、違う意味ではすごく明治時代みたいな、〟日本の男〝を持っているけどね。私も、どっちも持ってるからね、ぶつかるの、戦うわけよ。私がすごくアメリカっぽい考えを持ってる場合に、向こうが日本人っぽかったりね。こっちが日本人ぽいと、向こうがあっさりカラッとしているとかね。

本誌 逆に、そこが面白いわけね。

アン ケンカはすごいよ。お互いに結構リーダー派で、すごい意地っ張りだからね。

本誌 最悪になったときの仲直り法は?

アン 最初はね、結構陰険なのよね。(笑)昔だったらほら、最後に抱きついておしまいみたいなのはあったけど、今は、間に美しい結果(美勇士クン)があるっていうことで、後ろ向いて寝ちゃうみたいな…。だけど、ひと晩寝ると結構忘れてるふたりだけど、朝になって、どっちが覚えてるとだめね、陰険になる。男よりは1歩下がっていてもいいんだけど、話題によっては、女に発言力があってもいいような話題のときには一緒のところにいたいわけよ。女だからとかさ、そういうの絶対いやなわけ。特に向こうに言われるとね。だけど、ケンカがあって愛を確かめ合うみたいなのあるじゃない。ノロケじゃなくて。仲直りしたときにさ、ケンカする前よりは仲よくなるわけだから、いいじゃないかな。