女性セブン 1991年6月

小麦色に焼けた肌に、ブルーのアイシャドー。
そしてサーファーカットのヘアにアロハシャツ。
中山美穂の変身ぶりにおもわず取材陣からも驚きの声があがった。
15日、美穂が2年ぶりに主演する映画
『波の数だけ抱きしめて』(東宝系)がクランク・インとなった。映画は、湘南を舞台に、ミニFM局した大学生ら男女4人の恋模様を描いたもので、設定が昭和57年ということから、冒頭のようなファッションとなったわけだ。
あいにくの雨で撮影は中止になったが、「多くの人の胸から忘れられない作品にしたい」と美穂は、日焼けサロンに2回ほど通って撮影に臨むなど、この作品にかなり意欲を燃やしているようだ。
さらに24日に発売される初のエッセイ集『P .S.I  LOVE  YOU 』(ニッポン放送出版・1300円)が大きな話題を集めている。

美穂は現在、同名のラジオ番組でパーソナリティを努めており、その番組の中に、2年ほど前から始まった、美穂が自分で綴ったエッセイを朗読する〝美穂のポートフォリオ〟というコーナーがある。そこで披露したエッセイをまとめたのがこの本だ。
内容は、家族のこと、仕事のこと、人生のことなど全36章にわたっており、21才の美穂が、心の中をありのままに綴った、いわば日記ともいえる内容。もちろん、その中には、21才の美穂の恋心についてのエッセイもいくつか収められている。例えば、そのうちのひとつ、〝私が思う恋〟と題される章をみてみると─

《本当の恋、本当の恋と言ってるけど、それはいったいどういうものか?というと実は、初恋の時にすでに覚えてしまっているのではないでしょうか?それでも、初恋を過ぎた時点から、〝本当の恋はどこにあるのかしら?〟と、メガネをかけているのにメガネを探しているのと同じように、あちこち探してしまうから、
「何か違うな…」と何度もつぶやくことになる。そして、その100年の恋とは、ある日突然やってくる。運命の出逢い。(中略)
求めているものは、少女にさせてくれる人なのでは…ということです。といっても、恋しているその時がいちばん!なんだよね。》
100年の恋なんていうフレーズを読むと、やっぱり美穂の恋は命がけなんて思えてくるが、これ以上の〝告白〟もエッセイには収められているという。
「ここまではっきりと好きな人のこと、女心を文章にするとは思いませんでしたね。美穂ちゃんとしては、書かずにはいられないほど幸せな日々が続いているということなんじゃないですか。もっと具体的な恋のエピソードも、いくつか紹介されているともきいてますしね…」

ある芸能関係者がこう話すとおり、番組のなかで美穂はかつてこんなエッセイも披露している。
「ずーっとずーっと前、大雪が降った2月のある日、深夜、どうしても彼に会いたくて、次の日、朝早いにもかかわらず外に出た。タクシーなんか走っていない。傘を持っていなかった私は、コンビニエンスでビニール傘を買ってひたすら歩いた。(中略)  彼の家に着いたとき、表で待っていた彼が冷ややかな顔で〝何してるんだ?〟と一言だけいうと、家の中に黙って入っていった。(中略)  彼が洗面器に熱いお湯を入れて私の手を温めてくれた。会えてよかった。そんな安心感のためだったら、私は眠る時間なんかいらない」やっぱり、これは現実にあったことなの?細かな描写についそんな思いがもたげてくる。ほかにも〝電話〟と題して、こんな話をしたことも…。

「昔々、夜中にある人とお話していた時のこと。しゃべることもないけど切るのもいやだからって、ずっと無言でいたら、ふたりして眠っちゃって…。目覚めたら、朝。〝おはよう〟なんてこともありました」
美穂の恋の成長がうかがえる、ほほえましいエピソードでもある。
「ひとつひとつの話を結びつけてゆけば、美穂ちゃんの心の軌跡をたどっていけると思いますよ。もちろん、最終的な夢はきっと結婚ということになるでしょうけどね」(ある音楽関係者)
「20代の始まりは、人生の中でもものを考えることの多い季節」という美穂。

注目されている〝結婚〟についてはエッセイの中で、こんな願いを抱いている。
《その恋をつかむ時は、遠いあの頃の自分にいつのまにか戻って、かすかに覚えていた感情がよみがえる。そしてその時点から、さらに純粋なもの、純粋なものを求めるようになって、二人の気持ちが合ったところでめでなくゴールイン‼️パチパチ》

映画『波の数だけ抱きしめて』では、冒頭に、31才になった美穂(田中真理子役)の結婚シーンがある。そのことについて尋ねられた美穂は、笑顔でこう答えた。
「31才の私なんて、想像できないなぁ。この仕事を続けているか、主婦しているか、半々くらいかな」ねえ、美穂ちゃん、これって本心!?