ジェイ・ジェイ雑誌 1989年11月
クローズアップ 柳葉敏郎 やなぎばとしろう
1961年1月3日生まれ  秋田県出身  血液O型
「一世風靡(いっせいふうび)セプア」10月25日
にはシングル、11月にはLP をリリース予定。
また10月16日~テレビドラマ「愛し合ってるかい!」(フジテレビ系)に出演。

結婚?俺と一緒になったことに幸せを感じてくれれば、ねえ!?

俺の青春だったとも言うべき「一世風靡セプア」が今年7月で解散して、何かすごいプレッシャーを感じていますよ。
メンバーでやってきたことを、これからソロでどうやって表現していこうか、あまり考えこまないようにはしてるんですけど、自然と心の中に生まれてきてしまう。
でも一世風靡でやってきたことを基盤にして、メンバーそれぞれがソロで行動し始めたら、また違った何かがきっと生まれるはずですよ。

固体でいるとメンバー全員でできることしか考えが浮かばないし、一人一人のポジションが暗黙のうちに出来上がってきてしまい、対等に話し合っているつもりが何か気を使ってる奴がいたりってこと、あったんじゃないかな。
それが今、そういう余計な考えなんか全部取っ払って、本当に解散前以上に好きなこと言い合えてますからね。解散は絶対みんなにとっていい結果になっていると思うな。

この間封切られた映画「螢」は、俳優になって
初めて主役をやらせていただいた作品なんですが、俳優志してからちょうど10年目という時期の仕事だったし、一世風靡をやめようかと考え始めてた頃でもあったんで、まあ何ていうか自分の気持ちに一つの区切りがつけられて、新たなステップを踏み出すいいきっかけになった出来事でしたね。

ただ主役って、もっと気持ちいいもんかと思ってましたからねー(笑)、いやー、実際、ホントにシンドかった。
監督さん、プロデューサー、制作にたずさわっているクライアント…もうとにかくおおぜいの人達の思い入れが激しいんですよ。
「頼むぞ!」
「すべては君にかかってるッ!」
みたいなすっげープレッシャーがビシバシ伝わってくる。

今までドラマ演ってても、視聴率がいいとか悪いとか全然気にならないで過ごしてきましたし、悪かったら悪かったで
「ま、いいんじゃないの?現場楽しいから」でやってきましたからね。いやもう「螢」ん時は肩凝ってしようがなかった(笑)。
主役ってやっぱり魅力あるけど、俺はまだ今の時期、ストーリーのかなめになる俳優が何人かいて、その中で一人の人間を役作っていくというのがホント楽しくてしようがないんですよ。

『アイツはこれは演んないだろうな』とか
『彼女だったらこのセリフ、こういう風に言うだろうな。だったら俺はどう出ていこうかな』
とか色々考えてチームワークで作品を創って
いくのが好きなんですよね。だいたいが自分はメリハリの激しいヤツですから(笑)。

11月にはソロアルバムを出す。現在約3分の2は出来上がったのだという。
「ソロアルバムは2枚目なんだけれど、今度は精神的にも〝ホントにソロのソロ〟という気持ちで」と語り、思い入れが激しいのか、なかなか進まないんですよ、と付け加える。
「まあ自分は役者ですから、やっぱり曲もステージでどんな風に使えるか、というのを最終目的に置いて制作してますから、例えばすごくいいアルバムが出来上がったとしても、そこで満足しちゃアカンぞ、って常に思ってる」
仕事の話になると真剣だ。結婚のほうは当分考えてない?

いや、結婚したいです(笑)。
仕事の話するといつも全力投球!みたいな発言しちゃいますけど、田舎(秋田)へ帰ったりすると、高校時代一緒んなって遊んでた奴らがもうみんな結婚してて
『お前、27歳にもなってまだはしゃいでんの?』みたいな感じで「早く嫁、もらえよ」とか落ち着いて言われちゃうと、結構ズーンときますよね。

みんなね、昔に比べて、ホント口数が少なくなってるんですよ。で、俺って青いなってすっごい自分がガキに思えてくる。

結婚を経験されてる方達に、決意した時の気持ちとかその時どういう状況でどんなことを言ったのか、とかいわゆるアンケートっつうんですか?
それはかなり聞いてまわりましたけど(笑)、うーん、やっぱり十人十色でした。
ただ一つだけ「結婚は勢いだ」っていう言葉だけは皆から必ず返ってきましたね。
でも俺、ホントは結構みんな計画立てていってると思うんですよ。

結婚までの階段踏んで、親に会わせたり、その時どういう服装でどんな応対したか、とかちゃんと計算して事を運んでるはずです(笑)。
で、最終的に決める瞬間だけのことを「勢いだ」って言ってる気がするんですよ。
俺、半年前に彼女と別れたばっかりですから、ここ当分結婚はないだろうなァ。
俺、つき合い始めはね、料理作るのすきだから相手に作ってあげたりするんだけど、
「これが俺の味だよ」みたいにポイントポイントが結構厳しいかな。

結婚生活の理想をポンポン出していくわけですよ。
俺、子供は絶対田舎で育てたい。で「俺の仕事は東京じゃないとできないから、子供は俺のばあちゃんの元で田舎で育てろ。できるだけ帰るようにするから」という話までしちゃうから、だいたいフラレます(笑)。
でも何を幸せと思うか、ですよね。
俺と一緒になったことに幸せを感じてくれれば、ねえ⁉️
これじゃ当分結婚できるわけ、ないですよね。
30歳迎えたらもう少し丸い考えになってることを自分に対して期待してます(笑)。