
平凡1975年2月号
南沙織 SAORI シンシア
100パーセントの愛ってないのかしら

100パーセントの愛ってないのかしら…フトもらした20歳のシンシアのひとり言 北風にのせてキミにとどけよう

別に感想なんてない、成人っていわれても。成人式にも出る予定ないし、出ないと思うな。
シンシア(南沙織)ももう大人、なんてよく言われるけど、そうは思わないんだ。むかしから大人だから、今さら…って、ほんとう。だってそう思ってるんだから、しかたないでしょ。前から大人ぶってもいないし、今も子供ぶってもいないし。その必要なかったし、これからもないし。シンシアはシンシア。変わりない。
デビューした時と、シンシア変わってる?
別に気負ってわけじゃない。いつも通りのシンシア。自分の、本当に思ってることをそのまま言う。いつものシンシアだ。デビューしたての時と、ちっとも変わっていない。そして20歳のシンシア。

だから、20歳になって恋愛は、なんていわれても困っちゃう。だって、しようと思ってできるものじゃないでしょ、恋愛は。まして20歳になったから、なんてねー。シンシア、ぜいたくなのかもしれない。100パーセントの愛しか信じられないから。それしか、考えられないから。100パーセント愛してくれなきゃ、だめ。もちろん、シンシアが100パーセント愛している人から。だから、むずかしいんだ。愛ってそういうものだと思ってる。理屈じゃない。100パーセントの愛。女の子って、だれでも、愛されるのが好きでしょ。それをじっと待ってる。シンシアもふつうの女の子。愛されたい。でも、100パーセントの愛なんて無理なのかな。シンシアの、子供っぽい空想なのかしら。でもいいんだ。安全な形じゃなきぁいやなんだから。ぜいたくって言われてもいい。妥協するよりいい。シンシアとつきあう人、大変だネ。ウフフフ。
こういう事を、チャーント言える女の子、芸能界では彼女の他ないぐらい。言いたいことはいう。だから以前、引退騒ぎを起こしたこともある。でもそこが彼女の魅力の一つ。だれにもおどらされないで、自分の思うようにやっていく。だから、気ままにやっているフォークの人達にも、彼女は特別人気があるかもしれない。たくろうにしてもガロにしても猫にしても、みんなシンシア・ファン。

お正月休みは、沖縄にも帰らないつもり。ウン、12月の初めに1週間ぐらい帰ってきたし。もう親孝行もすんだしネ。家で、ノーンビリするつもり、着物なんか一人で着ちゃったりして。ワインなんか飲んでね、ウフフフ。酔っぱらっちゃうかな。
新しい年に、別に特別抱負なんてないけど、やっぱり世界旅行したい、船にのって。一人ぽっちで。でもすぐ寂しくなって、帰りたくなるんだろうけど。3か月ぐらい休んだら、どうなるかなー。アフリカでノーンビリ、なんて。
そうだ、ロージィと二人で決めたんだ。二人の時は、日本語しゃべるのやめようって。英語へたになっちゃうから。
大学、途中でやめちゃおうと思ったこともあったけど、3科目中、2科目はパスできるはず。成績は悪いだろうけどしようがない。
自分の思う道をまっすぐ歩いていくシンシア。今度の新曲は『女性(おんな)』。いっそう女らしくなっていくシンシア。最後に、ふともらした言葉は⎯⎯
だれも信じてくれないけど100パーセントの愛ってないのかしら?

平凡1976年1月号
スター情報 ヤング・レーダー