
ジェイ・ジェイ雑誌1987年4月号
クローズアップ 国生さゆり
1966年12月22日生まれ 鹿児島出身 血液A型
おニャン子クラブの中でもひときわ光ってたさゆりさん。独り立ちしてからは、1987年の東宝映画「いとしのエリー」では本格的女優を目指し、初主演している。女優として好評を得てい
る。

今日からあなたは大人ですよ──と、まるで書類にポンとスタンプを押されるように、20歳の人間が一斉に〝大人〟に変身してしまう成人式の日。歌手としてモデルとして、そして女優として、現在フル回転に活躍している国生さゆりさんも、今年の1月15日に、そのスタンプを押されたうちのひとりだ。
「12月22日で20歳になって、今年の成人式には、人並みに着物を着て行ったんだけど、でも正直言って、まだ大人になったっていう実感はないの。3月までは、まだおニャン子の一員でもあるし、いまはまだ、大人への前夜祭っていう気分。大人ってどういうものなのかなあって、考えている時期っていうか」

ひとくちに大人と言っても、実際のイメージは人によってさまざまのばす。20歳イコール大人。この公式から、さゆりさんは、何を連想しているのだろう。
「私自身思うことは、中途半端な大人になりたくないな、ってこと。20歳っていうのは、まだまだ若いし、体力的にもとっても元気なときでしょう。ヘンに無理やり大人ぶっちゃうのは、つまらないと思うよ。髪の毛をうーんと長くして、ハイヒールの靴はいて、大人の女しちゃう人も多いみたいだけど、私は、20歳っていうのは、まだミニ・スカートで跳びはねてていい時期だと思ってるのね」

実際、さゆりさんのふだんのファッションは、活動的なジーンズにTシャツか、元気いっぱいのミニ・スカートに、歩きやすいペタンコの靴。アンニュイな大人の女のイメージからは、わざと遠く離れたスタンスを取る。
「一把ひとからげにまとめて言っちゃいけないんだけど、デロデローンとして、喫茶店なんかでタラーッとしている人たちを見かけると、どうも腹が立っちゃうのね。確かにみんなとてもキレイだけど、でも若さがないっていうか、なんか生気がない。大学行かせてもらって、時間もたっぷりあるのに、あんなに元気がなくちゃ、せっかくの20歳がもったいないよ、って言いたくなることもあるの」

ちょっぴり耳の痛い言葉だけど、でも身におぼえのある人もいるのでは?20歳を過ぎればもうオバサン、22歳過ぎたら化石になってしまうなんて、ひそかに心配している人は、案外多いに違いない。でも…。
「大人っていう意味は、まだよくわからないけど、〝ハタチ〟っていう言葉には、たくさんの可能性が込められているって感じるの。やりたいことが山ほどあって、これからそのひとつひとつに手をつけられるとき。どの可能性が伸びて行くかは、自分でも謎。でも謎だからこそ、これから!って思うしね」

その一瞬、一瞬をバチバチと決めていきたい、という彼女。あとで悔いを残すのは不細工だから、瞬間の集中力を上げて、今年一年をダッシュして走っていきたい、と語る。
「中学のとき陸上部の選手だったんだけど、そのときの考え方っていうのが、自分のなかに強く残っているみたい。〝根性〟とか〝気合い〟っていう言葉はあまり意識してないけど、でも、やるときはやるぞ!っていうね」

100mを12秒台で走り、九州の大会では準決勝、決勝というレースに臨んだこともある。当時は毎朝5時半に起きて、朝に放課後に陸上のトレーニングを欠かさなかった。
「そのころって、すごくハードだったし、練習もひと一倍してた。ただ、とっても緊張する性格だったから、練習ではいい記録が出たんだけど、試合では、どうもあがっちゃうってタイプだったのね」
それがいまでは、本番に強いタイプに変身。表情も性格も、どんどん好きな方向に変わってきている。30歳になっても勢いよく飛びまわれる大人──そんな女性像を目指して、さゆりさんはもう走りはじめているのだ。

「ドラマが忙しいし、役柄上思いきったヘアスタイルってできないんですね。だから髪はのばしっぱなしにしているんです」
さゆりさんのヘアはワンレングスのストレートロング。フロントは軽く段を入れて薄くしてあります。天然のウェーブがいい感じに。