義父の長兄の娘、ダンナから見ると従兄弟にあたる「淑江さん」という人がいた。


従兄弟と言っても昭和4年生まれ。


ダンナが入社するまで、うちの会社は長兄が社長で、淑江さん、義父、別の従兄弟、他何人かの従業員でやっていた。


家族運のなかった長兄は淑江さんの母親にも早くに亡くなられて、ずっと淑江さんと2人暮らしだった。


まあ、同じ敷地に義父一家も一緒に住んでいて、最終的には義父母が長兄の面倒をみたのだが。


淑江さんは30年程前に49歳で脳卒中で亡くなったが、ずっと独身だった。


若い頃には結婚の話もあったらしいが、長兄の反対で結婚させてもらえなかったらしい。


父親の身の回りのことをやりながら仕事をしただけで終わってしまった人生。


ずっと父親と2人の生活で、「家庭」というものを経験せずに亡くなった淑江さんは、すごく可哀想な人だと思う。


淑江さんが亡くなった翌年に長兄が亡くなり、最終的には義父が家と会社を継ぎ、ダンナが継いでいる。


お墓も、うちが継ぐ形になった。


うちのお寺は、仏壇に位牌や写真を置かない主義(?)らしく、それではあまりに寂しいということで義父の写真だけは飾っている。


義父の命日にお墓参りには行っても、淑江さんの命日には行ったことがない。


先日、ふと気が付いて過去帳を見てみると、先月30日が淑江さんの命日だった。


私が会社で使っている机は、多分淑江さんが使っていた机。


淑江さんが使っていたゴム印なども残っている。


淑江さんの一生に比べたら、今の私は幸せなんだろうな…なんて考えながら机に向かいながら考えている。