今朝も、がっちりマンデーに出ていたねぇ。
寝坊したから途中からしか見なかったけど。


「ゆるくない」浸透戦略 止まらない快進撃「くまモン現象」(産経新聞) - goo ニュース
2013年4月7日(日)12:30

 ■「ゆるくない」浸透戦略

 熊本県のキャラクター「くまモン」の快進撃が止まらない。イベントなどへの出演は1年近くで2000回を超え、米ウォールストリート・ジャーナルでは「やんちゃな黒クマ」として紹介された。誕生からわずか3年で社会現象にまで至った人気の裏に、「ゆるくない」戦略が見えてきた。(松岡朋枝)

 ◆全国からラブコール

 黒い体に真っ赤なほお。目を大きく見開き、短い手足ながら50メートルを11秒で走る機敏な動きはひと際目をひく。バンジージャンプにも挑戦する奇抜さもあり、イベントやテレビに引っ張りだこだ。

 県くまもとブランド推進課によると、今年2月までの11カ月間で、イベントやテレビなどへの出演回数は2193回にも上る。

 地元熊本や九州だけでなく、関東や北海道など遠方からもラブコールが寄せられる。殺到する依頼に追いつかず、11カ月で約1千件の依頼を断ったという。

 呼ばれるだけではない。3月に熊本県で開かれた誕生祭には、2日間で4万5100人がお祝いに駆けつけた。全国の店舗でくまモンを招いたイベントを開催した雑貨チェーン「ロフト」の担当者は、その集客力に「自治体キャラの枠を超えている」と舌を巻く。

 ◆無償化で商品相次ぐ

 くまモンの誕生は九州新幹線鹿児島ルートの全線開通を1年後に控えた平成22年3月。熊本出身で映画「おくりびと」の脚本を手がけた脚本家、小山薫堂(こやま・くんどう)氏が提唱した「くまもとサプライズ」キャンペーンのキャラとして産声をあげた。デザインはユニクロやNTTドコモの広告も担当した経験を持つクリエーティブディレクターの水野学氏。毛並みは抜群だが、当時はひこにゃんなどで盛り上がったご当地キャラブームの終盤だった。

 後発組のくまモンが誕生からわずか3年で日本一の“人気モン”になった理由の一つが、商品などにくまモンをあしらう際の使用料を無料にする「ロイヤルティーフリー」だ。県内企業にくまモン商品を開発してもらえば、キャラの知名度が上がる。ひこにゃんもとった戦略だが、熊本は既存商品に貼るシールなどにも門戸を広げる徹底ぶりだ。

 22年12月から今年3月末までに、使用申請9353件を許諾。文房具などの定番商品に加え、仏壇なども登場し、地元の銘菓やタマネギの袋にもくまモンシールが輝く。これら関連商品の売り上げは、24年に少なくとも293億6千万円に上り、前年の約11・5倍という伸びをみせた。

 「無償にしたことで全国にあまねくグッズが広がった。民間の力でくまモンをPRしてもらっている

 くまもとブランド推進課の若杉久生(ひさお)主幹(47)が分析するように、ロイヤルティーフリーの結果、くまモンは驚くほどの早さで全国に広がった。江崎グリコの「ポッキー」など人気商品とのコラボも実現。「熊本の顔」として強力なPR力を発揮する。

 ◆米紙1面にも登場

 海外の注目も集める。昨年12月にはウォールストリート・ジャーナルが1面で日本の「ゆるキャラ」の代表格として取り上げた。

 キャラクタービジネスに詳しいアサツーディ・ケイ(東京)のキャラクターマーケティングチームリーダー、野澤智行さんは「既存の公式キャラクターで、くまモンに代わるキャラは見当たらない」と圧倒的な強さを語る。一方、「熊本県には他にもキャラがいるが、くまモンが強すぎて埋没している。くまモン人気が陰れば、何も残らなくなってしまう恐れもある」と“人気モン”ならではの不安も指摘している。

 ■計算された癒やし系

 関東学院大学文学部の新井克弥教授(メディア社会論)はくまモン人気の理由について、キャラクター設定がほとんどないという「物語性の欠如」と、見開かれた目がどこを向いているか分からない「視線の喪失」にあると分析する。

 くまモンの設定は「熊本出身の公務員」ぐらい。表情も笑っているようにも驚いているようにも見え、新井教授は「受け手が物語や表情の意味を自由に考えることができ、一つのキャラで多様なニーズに対応している」と話す。

 この特徴は「キャラが何かを訴えかけてくることがなく、押しつけがましくないため、癒やし系と呼ばれることが多い」と指摘。「くまモンはトレンドに沿った計算しつくされたキャラなのでは」と分析した。
 (略)

(産経新聞)