旅館を出た私達は夜ご飯の事を考えてうどんを食べに入って食後の運動がてらに私の大好きな場所へ向かった。
「どこ行くの?」
「ここに来たら必ず行く場所があるの・・・お気に入りの場所」
「へぇ~どんなとこ?」
「なんか癒されるんだよね・・・東京で仕事してると時々何やってるんだろって思う時は必ずここに来て気持ちをリセットする場所・・・かな・・・」
「美夏もそんな風に思う事ってあるんだ・・・」
「美夏もってユノもあるの?」
「俺はないよ!俺は幸せだから!誰にでもなれない事は俺が一番知ってるから・・・感謝しかないな・・・両親にもメンバーにも友達にもファンにもスタッフにも感謝してる・・・俺たちだけでは何もできないから・・・」
「そっか・・・」
「美夏も?って聞いたのは・・・バリバリ楽しそうに仕事してるから・・・楽しいのかと思ってた・・・」
「仕事は楽しい・・・たぶん天職だと思う・・・っていうか思ってる(笑)・・・だけど時間に追われる日々が続くといっぱいいっぱいになる時がたまにあるんだよね・・・」
「そっか・・・でも美夏が癒される場所ってどんなとこだろ?」
「ふふっ良いとこよ?」
私は彼の素晴らしい所を見た気がした・・・即答で感謝してると言える人は少ないと思う・・・ましてやアジアを股にかける人気アーティスト・・・休みもほとんどとれずプライベートもあるのかないのか分からない状態で・・・周りの人全てに感謝してると何の迷いもなく言う彼は真っ直ぐな人だ・・・私に足りない部分をたくさん持ってる人・・・だから惹かれるのかな・・・
「着いたよ」
「おおっ!ここ?」
「うん・・・寒いと思うけど良い?」
「全然平気!行こう?」
「うん」
着いた場所は湖・・・疲れて一人になりたい時に来る場所・・・車を降りて湖畔まで歩く・・・
「空気が違う・・・」
「でしょ?澄んでるの・・・」
「うん」
「冬は雪で寒いんだけど・・・すごくキレイで癒されるの・・・」
「うん分かる気がする・・・」
「景色も良いでしょ?」
「良いよねぇここ癒されるの分かる気がする・・・」
「ユノも?」
「うん」
私達は湖畔を手を繋いで散歩しながら特に何を話す訳でもなく澄んだ空気をいっぱい吸ってキレイな景色にいやされながらただゆっくり歩いた・・・
随分冬の湖畔に居たせいか冷えてしまって身体がプルっと震えると彼がダウンジャケットを貸してくれて・・・
「いいよいいよ!」
「寒いだろ?」
「だけどユノが風邪引いたら困るよ」
「俺?俺は大丈夫だよ!」
「ううん・・・それはダメだよ・・・そろそろ帰ろう?」
「うん・・・じゃ車まで着ときな?」
「ダメ・・・風邪引いたら困るって」
私はユノにダウンジャケットを返そうとすると彼は
「美夏はなんで甘えないの?俺甘えて欲しいんだけど?」
「・・・甘えないとかじゃなくて・・・ユノが心配なの・・・私のせいで体調壊すとか耐えられないのよ」
「俺そんなに弱くないけど・・・」
「それはそうだと思うけど・・・」
「美夏は俺に恥じかかせたいの?」
「・・・分かった・・・じゃ車まで借りるね?」
「うん」
「ありがとう・・・ユノ」
「うん」
そう言うと彼は白い歯を見せ微笑んだ・・・私は彼のダウンジャケットを肩にかけて再び手を繋いで車まで歩い
た・・・
続く・・・


