大河ドラマ「光る君へ」のオープニングが

映像・音楽、共に 素晴らしいですね!

 

あのオープニングを観て、

夏目漱石の「夢十夜・第一夜」を思い浮かべました。

 

§(夢十夜・第一夜  抜粋)

 

私が死んだら埋めて下さい。大きな真珠貝で穴を掘って。

そうして星の破片を墓標に置いて下さい。

また逢いに来ますから。

自分は、いつ逢いに来るかね?と聞いた。
日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。

それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。

赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、

――あなた、待っていられますか?
自分は黙って うなずいた。

静かな調子を一段張り上げて、

「百年 待っていてください」

自分はただ「待っている」と答えた。

すると、黒い瞳のなかに鮮かに見えた自分の姿が、

ぼうっと崩れて来た。

静かな水が動いて写る影を乱したように、

流れ出したと思ったら、その眼がぱちりと閉じた。

長い睫(まつげ)の間から涙が頬へ垂れた。

――もう死んでいた。

自分はの上に坐った。

これから百年の間

こうして待っているんだなと考えながら、

腕組をして、丸い墓石を眺めていた。

そのうちに、日が東から出た。大きな赤い日であった。

それがやがて西へ落ちた。

赤いまんまでのっと落ちて行った。

一つと自分は勘定した
しばらくするとまた唐紅(からくれない)の天道がのそりと上って来た。そうして黙って沈んでしまった。

二つとまた勘定した。
自分はこう云う風に一つ二つと勘定して行くうちに、

赤い日をいくつ見たか分らない。

勘定しても、勘定しても、しつくせないほど

赤い日が頭の上を通り越して行った。

それでも百年がまだ来ない。

しまいには、苔の生えた丸い石を眺めて、

自分は騙されていたのではないか、

と 思いはじめた頃、

石の下から 青い茎が自分の方へ伸びてきて

真っ白な百合の花が咲いた。

その花は、

鼻先で骨にこたえるほどの強い香りを放っている。

そこへ天上から、ぽたりと露が落ちた。

花は重みでふらふらと動き、自分は首を前へ出す。

そして露の滴るその百合の白い花弁に接吻をした。

自分が百合から顔を離す拍子に思わず

遠い空を見たら、の星が たった一つ瞬いていた。

 

「百年はもう来ていたんだな」と

この時始めて 気がついた。

 

 

 

なんという官能の世界観。

血や死を連想させながらも美しい言葉の数々。

凄過ぎて、熱いため息が出てきます。

 

 

 

「源氏物語」を

世界最古の「恋愛小説」という人もいらっしゃいますが、

私には「官能小説 + 貴族たちへの皮肉小説」に思えます。

 

~光の君に抱かれた紫の上は、

まるで鳩のような声を上げるのでした~

 

↑ これはつまり ベッドインした紫の上が、

あえぎ声を立てている という意味ですね。ピンクハート

 

 

紫式部の夫は 藤原 宣孝(のぶたか)。

既に妻が4人、子どもが5人もいました。

ドラマでは 佐々木蔵之介さんが演じています。

紫式部は 女の子を授かります。

大弐三位、本名は藤原賢子(けんし or かたいこ)。

 

もう~男の人って どうしてなんでしょうね、

違う女性のところに通うようになります。

が、 宣孝は流行り病で亡くなりますので

紫式部とは たった3年あまりの結婚生活でした。

娘の賢子は 紫式部ひとりの手で育てられます。

 

現在出演中の 坂東巳之助さん演じる円融天皇と

本郷奏多さん演じる東宮、後の花山天皇は

親子ではありません。

花山天皇(かざんてんのう)は 円融天皇の兄、

冷泉天皇の長男ですので

叔父と甥の関係にあたります。

 

 

 

光源氏のモデルは、藤原道長だと思っていましたが、

何人か モデルが居たようです。

その中のひとり、

河原左大臣(かわらのさだいじん・822~895年)は

源 融(みなもとの とおる)のことで、

元は嵯峨天皇の皇子でしたが、

皇族をはなれて 源の姓を名乗りました。

(安倍 晴明の友、源 博雅と同じですね)

嵯峨天皇の御子は なんと50人もいて

(50人って。どんだけzetsurinやねん)

多くの御子に 源の姓を与え 

皇族から離してゆきました。

 

ちなみに、姓を賜ることを賜姓(しせい)といいます。
平安時代前期は 平(たいら)の姓、
それ以降は 源の姓を賜るのが一般的だったようです。

(横笛の名手で有名な源博雅は、醍醐天皇のお孫さんです)


源融・とおるは 872年に左大臣となり、
鴨川の水を引いた大邸宅

〈河原院(かわらのいん)〉を建てて
贅沢三昧の生活を送り、政界のトップとなりました。

六条院で豪奢な暮らしを謳歌した光源氏と
見事にイメージが重なります。



 

融(とおる)は宇治と嵯峨に別荘を持っていましたが、

宇治の邸は融(とおる)が亡くなった後、

藤原道長の別荘となり、

その子どもの 関白・藤原頼通が

寺に改めたのが、

現在 世界遺産となっている「平等院」です。

 

 

「光る君へ」をとても楽しみに観ていますが、

観ている全国の皆さんは

現代の人間なので仕方ありませんから

「舞台が京都なのに なんで標準語なん?」と思いつつ、

「まぁまぁ、かたいこと思わず 標準語でええがな」

と、自分に言い聞かせておりました。

(でも坂本龍馬は土佐弁で、西郷隆盛は薩摩の言葉やんな?)

しかし、吉田羊さん演じる 

藤原 詮子(せんし・あきこ)の

「お前 好きな人がいるのね!」には

ズコーッと 引っくり返りそうになりましたww

せ、せめて関西弁のイントネーションで頼む~って感じw

     

これ以上書くと、大河ドラマのネタバレになるので

この辺で 止めておきます。

 

                                           

さぁさぁ ここからは

おジャンと イボくんの おはなしですよ~うハートハート

「陳情令」を観て、

「なんで こないにウサギがおるんや?」と

不思議に思い、以前 ブログに記しました。

 

 

↓ ウサギさんを可愛がるイボくんニコニコ

pic.twitter.com/9DBm3rJFf5

 

 

実は その答えに当てはまりそうな

中国の記述があったので紹介しますね。

長いですが お付き合いくださいませ。

 

§
御史の某は若くして科挙に及第し、

福建の巡按となった。

ちなみにこの某、水もしたたる美男であった。

時に 胡天宝という男がおり、

これが某の美貌に惚れ込んだ。

某が出かける時には必ずやって来て、

熱っぽい目つきで見つめる。

某、不審に思うのだが、

その心意がまったく解せない。

下役達にたずねても、そのわけを言わない。

実はこの福建、男色が盛んな地域であった。
 しばらくして、某は他の地方へ移ることとなった。

すると、胡もそのあとを追っていった。
 ある日、某が厠(かわや)に入ると、

誰やらのぞいている者がある。

捕えてみれば、胡であった。

なぜ、厠をのぞいた、と問い詰めても、

胡は思いつめたように某を見つめるだけで答えない。

脅したりすかしたりして、ようやく白状した。
「実は閣下の美貌を拝見してからというもの、

忘れることができず、

こうして追いかけてまいりました。閣下は天上の桂、

それがしのような並みの鳥が止まれようはずもありません。

分不相応なことは百も承知ですが、

やはり体が自然と動いてしまい、

のぞきを働いてしまったのでございます」
 男色に興味のない某に、

この心理が理解できようはずがない。

自分を女と同じに扱ったのかと激怒して、

胡を枯木の下で殺させた。
 それから一月経ったある夜、

胡が里人の夢に現れてこう言った。
「私は非礼の心で貴人を犯したのだから、

殺されたのは当然である。

しかし、これは一片の恋心であり、

一時の痴想で、人を害する普通の罪とは同じ ではない。

冥官は私のことをからかったが、怒る者はなかった。

今、冥官は私を兎児神(トゥーアルシェン)に封じて、

この世の男同士の恋愛を司らせることとした。

さあ、私のために廟を建て、香火を供えるように」
 福建では男子が男子を娶って

契弟(けいてい)とする風習がある。

里人がこの夢のことを語ると、皆、争って銭を出し、

立派な廟を建てたところ、はたして霊験あらたかであった。

思いを遂げられぬ者が祈願に訪れ、

男色の縁結びの神となった。

それが「兎児神」(トゥーアルシェン)というわけです。

 

§

中国は ヨーロッパよりも、

もっと ずーっと昔から男色文化があり、

それは日本も同じで、私が知っているだけでも

飛鳥時代から 戦国時代、江戸時代と

男色文化国でした。

あまり知られていませんが日本の春画でも

男同士の交わりを描いたものがあります。

 

 

ドラマ「陳情令」で

魏嬰(ウェイ・イン)が 

酒に酔った藍湛(ラン・ジャン)に

「ウサギは好き?」とたずねると

「好き」と答える藍湛(ラン・ジャン)。

 

「なに?この唐突な質問は」と思ったけれど、

真意は多分 こうです。

 

魏 : 男同士は大丈夫?

藍 : OKグッ

 

まぁ、藍湛のほうが先に好きになったみたいやけども。

(役に入る前の 私生活でも

 イボくんが先に おジャンに夢中になったもんね)

 

市(いち)で ウサギの絵が描かれた提灯を見て

やわらかく微笑む藍忘機(ラン・ワンジー)。

 

古代中国で ゲイを意味する兔が 

ドラマ中に わんさか出てくる事に、

ストンと納得できました。

こんな同性愛の神様の伝説があれば、

そりゃ あの草原のラブシーンに繋がるわけよね。

もうイボくんも おジャンも本気モードやもん。

 

「陳情令」の原作「魔道祖師」は BL作品ですが、

ドラマでは モロにBL!と分かるシーンは

ほとんど観られませんでした。

キスシーンも 草原ラブシーンも 

結婚式もカットされてるし。

(あれ、番外編で放送されたのかな? 知らんけど)

 

しかし、中国の人が観ると、

「これは同性愛のドラマだな」と

解るようになっています。

こっすー。

 

「陳情令。第36話」で

藍忘機(ラン・ワンジー)が酒に酔って、

よその家の敷地に入りこみ 

鶏を二羽、魏嬰(ウェイ・イン)に

差し出すシーンがあります。

これを観た私は、

「なんやのこれ? ラン・ジャン、なに盗んどんねん」

としか捉えられませんでした。

が! ちゃんと意味があったのです。

 

 

実は、つがいの鶏を贈るという行為は、

中国の昔の地方の婚儀の風習で

新婚初夜の新郎から新婦への贈物なのです。

そんな事、日本人や

他の国の視聴者には分かりませんよね!

しかも この時の鶏はオス同士。

まさに同性愛を意味していたのです。

 

 

また、江澄(ジャン・チョン)と魏嬰が

ご先祖に拝礼する時は、

二回 お辞儀をしますが、

藍湛と魏嬰は 三回。

この三回のお辞儀は 二人の結婚拝礼の意味です。

 

 

 

更に 藍忘機の部屋に、白い芍薬が

2本、生けられています。

これは「幸せな結婚」を意味しています。

分からへんって!ムカムカ 中国人ちゃうねんから!

 

 

もしもDVDや 地上波を録画されているのなら

いま一度、観かえしてご覧下さい。

違った印象を持つと思います♪

 

ドラマ「陳情令」全50話 (番外編・映画は除く)

制作期間・約2年

総製作費・日本円で 32億円だそうです。

 

魏嬰を演じた 肖战(シャオ・ジャン)も

藍湛を演じた 王一博(ワン・イーボー)も

元々、アイドルで中国の大人気スターでしたが

「陳情令」の出演により、

世界的スター俳優となりました。

 

インタビューの最中、

肖战(シャオ・ジャン)が猫を飼っている話題になり

王一博(ワン・イーボー)が「猫は甘えん坊?」と訊くと、

肖战(シャオ・ジャン)は おもわず

「お前のほうが よっぽど・・・」と 口走ってしまい

二人の関係がバレバレになった事がありました。

っていっても、とっくにバレてたけどね。

 

 

 同性愛の兎児神伝説があると知った今、

下記の動画の見方も変わってきます。

兔児神(トゥーアルシェン)を知らなかった私は、

「またウサギかいな~。なんなん?

ええ大人が ウサギのぬいぐるみなんか持ってぇ」

としか思えませんでした。 しかし!

肖战が 何故こんなに怒っているのか

今なら よく分かりまます。

 

 

イボくん、おジャンを見つめて半泣きやで 可哀想に・・・

 

 

1786年以来、「兎児神」を信仰する秘教の根絶の為

中国は同性婚を認めていません。

何千年も前から 同性愛国家だったのに。ねぇ。

今更、歴史から後退するんか?

世界各国で LGBTQ法案が可決されてるっていうのに。

 

↓ もっと手元の恋人繋ぎを見せてー!

 

 

 

 

 

 

 おまけ

本日は長文で お疲れになったでしょう?

おわびに オモロイ?動画を貼っておきますね。

見るか見ないか、ご自身でお決めください。

 

 

 

「チン毛の床屋」

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