次男が会いに来た日。
父は元気でした。
食事もとれていない状態でしたが、
普通に座り、
普通に話し、
孫の前では普通のじーちゃんでした。
もう何度も聞かされてきた、
コメントのしようのない昔の武勇伝を、
次男は優しく笑いながら聞いてあげていました。
じーちゃん。
元気そうで良かった!
頑張るとか言うから、
俺。心配しとったよ!
ゆっくり頷きながら、
父は言いました。
また帰ってくるか?
寂しそうにそう言っていました。
けれどもこれ以上元気な姿を保つ事はしんどい。
弱い姿は見せれない、
精一杯の姿でした。
3人の中でも、
一緒に過ごした時間が長いのは次男でしたから。
そして、
次男が寂しい思いをしてきた事も知っています。
誰よりも次男に対しての愛情が強かったのかもしれません。
もしかしたら、
母親である私よりも。
子供に対しての愛情と、
孫に対しての愛情。
父にとってはどう違ったのか。
私や兄を可愛いと思った事が少しはあったのか。
父からは何も聞けないまま。
これから先も知る術はありません。
大人になってから、
ああして欲しかった。
こうして欲しかった。
そんな事を親に伝えるつもりなど、
毛頭ありませんでしたが、
時々ふとした事で、
なぜあの時こうしてくれなかったのだろうと思う事はありました。
それをしてくれたからと言って
私の人生を左右したのかはわかりませんが、
少なくとも、
私の人生の中の生きづらさみたいなものは、
無かったのではないかと思います。
我慢することが美徳とされていた昔とは違い、
今は表現するという事の方が尊重されていますから。
私が長男や次男が大人になった時に、
真っ先に感じた事は、
沢山の後悔でした。
その気持ちがあったから、
父として出来なかった事を、
孫にしていたのかな。