転校してから約半年ほど
長男は初めての親友と呼べる子が出来た
家に遊びに来る子達はいたが、
長男が親友と呼ぶ子の顔はそれまで一度も見た事が無かった。
三年生にあがり学校から連絡がある事も増えていた。
最も多かったのが手が出る事だった。
もともと、口で説明する事が苦手で周りの子よりも体格が良かったのもあったが、大きい事を小馬鹿にされる事もあったようで、それに対して手が出てしまうというような経緯だった。
この時はジャイアンまではいかないにしろ、それに近いものがあった。
トラブルがあるたびに先生や相手の家族に謝った。
一体何度頭を下げた事かわからない。
そんな日が続いた。
夏休みを挟み、二学期になってすぐだった。
土曜日いつも通り、長男は近くの公園へと遊びに行った。
その公園を中心に半径100メートル以内だけで、子どもがいる家庭がたくさん有り、週末になれば公園にたくさんの子ども達が集まった。
公園に行けば、誰かに会えるという感覚だったのもあったのだろう。
私も小さい頃は毎日のようにそこで遊んでいたし
車通りも少ない場所で心配をする事もなかった。
お昼一時をまわったが、長男は帰ってこなかった。
両親は何かあったのではと心配したが、私はまだ遊んでるのだろうと言った。
お昼ごはんも食べてないしと、更に心配していたが、一食抜いた所で死ぬ訳じゃあるまいしと笑った。
30分ほど経つと長男が帰ってきた。
ただいま〜!
おかえりー
遅かったなー
手と顔洗ってきて〜
じーちゃんとばーちゃんが心配するから、もうちょっと早く帰ってこなよ〜
ママ、いいから早くして‼︎
ごはん‼︎
え?
何でよ⁈
〇〇が待ってるから‼︎
早く!
家の前で?
上がってもらったらいいやんか!
わからんけど、上がったらダメって言われてるって‼︎
あー親から言われてるのか。
うちは大丈夫よ
ママが言いに行くから、ごはん食べよって!
ん?〇〇君ごはん食べたん?
食べてない‼︎
なら家に帰らな‼︎
家おらん!
両親が共働きなのだろうと思った。
私も小さい頃から共働きだったし、土曜日に帰って来てお昼ごはんも自分で作って食べていた。
時代の流れもあるが、私が小学校の頃は別に珍しくも何ともなかった。
家に誰もいないから、ごはんが無いと言うわけではなく、作るのが面倒だから食べなくて良いという考えなのだろうと思った。
玄関を出ると誰もいなかった。
自宅は数メートル路地奥のような場所だったから、表にいるのだろうと思い靴を履いた。
表に出ると、長男よりもずっと小柄な子の背中が見えた。
足音で気付いたその子が振り返った。
振り返った瞬間まさかと衝撃を受けた。
コラッ‼︎‼︎
私はその子に近寄り口にくわえているタバコを取り、足で火元をギュッと消した。
こんな所で、こんなもん
ダメ。
絶対に。
したらいけん。
わかった?
小さくその子は頷いた。
中に入りなさい。
そう言うと、首を横に振った。
ならもう食べ終わるから待ってて。
私はそう言って家の中へと戻った。
※4へと続きます