いよいよ移転する先の店舗が決まった。
あまりいいイメージのビルではなかった。
しかし、今までゼロワンは、店舗が繁華街の中心地からずれていようが、ビル自体が若干さびれていようが、必ずそのビルのイメージを変えてしまうほどの結果を今までは出せていた。
ゼロワン流に、
「今日は天気が悪いから」
「時期的に今は暇なのは仕方がない」
「場所が悪いから流行らない」
等、物理的な言い訳をするのだけは絶対に禁止という考え方がある。
今回も考慮に考慮は重ね、調査等も行ったが、結局はゼロワン流でいく事にした。
用心深い私が、
とことん店舗の業者と話し合わせ、ようやく納得した条件も。
契約したとたん、相手サイドのずさんさと不誠実さに翻弄され、工事すら着手してもらえない状態やにらみ合いが続き・・・。
関係は改善されないまま、オープン日は刻一刻と迫り。
毎日がトラブルやハプニングの連続。
新店舗の現場を全て責任持ってやらせてくれ、と言った甫木は、誰よりも精一杯動いていたのは知っている。
しかし、ますます悪くなる状況に、途中何度も見てられなくなり「もうあんたには任せられん!!」「何やってんだ!」と何度怒鳴りつけた事か・・・。
それでも、「最後まで自分たちにやらせてください!」と一歩も引かなかった。
そんな皆を見て。
私も今回だけは店舗に関して「妥協する」という案を取るしかなかった。
一度、相手に会いに行った時にたまらず、爆発して感情的になった事もあったが・・・
私がゴネると、オープンが遅れるどころか、この契約自体白紙に戻りかねない。
すごく悔しかったが、折れるしか方法はなかった。
こちらには不利な相手の条件をのみ、その中でも特に譲れない部分だけは主張し、何とか店舗を完成させる為のバックアップをした。
地元の強い味方に何度も何度も協力を仰いで、サポートしてもらったおかげで、ようやく形になった。
そして。
いよいよ移転先の店舗の営業許可を取る為の警察の立ち入り検査の日も・・・
私が予定の時間に現場に行くと、緊張しながら早い時間から集合していた役職幹部がいた。
許可をおろしてもらう為に抜かりはないかと、前日から何度も何度も確認をしていたようだった。
無事許可証をもらえた時はさすがに安堵の表情を浮かべ、ゼロガールのバイト陣に嬉しそうにその事を報告していた役職幹部の姿があった。
オープンが迫ると、工事が遅れたせいで、ゼロガール役職幹部は必然的に睡眠時間を削って準備をするしかなかった。
それでも私は彼らに優しい言葉もかけず、
「寝てない、寝てないとか言って・・・それがいいと思うな!そうなったのはこんなに人数がいるのに、段取りや分担が甘いからでしょうが!ちゃんと睡眠をとって万全の態勢でオープンを迎えないと、肝心のお客様へのサービスを100%の態勢で出来なくなるでしょう!!」
・・・そんな風に、オープン前日まで叱っていた。
ショーメンバーに関しても、
「あなた達のショーは新しいお店の広さに対応していない!奥の席にまで気持ちが伝わらない!」
「今までお客様に甘やかされてたか知らんが、調子に乗るんじゃない!今までと同じで満足して頂けると思うな!」
オープン前日にも関わらず、厳しいダメだし。
それでも、ショーミーティングではショーメンバー達の本気の想いが聞けて。
朝まで何度も何度もレッスンをしていたようだった。
オープン間際。
何よりも、仲間たちの結束が強くなった物語があった。
それは、店舗内の三か所にある、「ZEROGIRL」の文字のデコレーション作業。
これも強く希望していたにもかかわらず、相手業者に却下されていた箇所だったので、やるなら自力でやる以外なかった。
一か所くらいなら、女の子全員が協力してもらう事で何とかなるのではないかと思ったが、三か所ともなるとかなりの手間と労力がかかる。
しかも、ロゴが設置されたのがオープン3日前だった為、どう考えてもオープンにはもう間に合わないのではないかと思った。
私は、甫木に「ステージ以外はデコレーション無しでも仕方がない」とか、「女の子たちにそんなに無理させなくてもいい」とか、アバウトにしか指示をしていなかったのだけど。
すると。
まきちゃんをはじめとするアルバイト陣が奮起してくれていたようで。
誰も強制することなく、営業時間外に自然に集まり、デコレーションをなんとオープンまでに完成させてくれたのだ!!
一粒一粒、気持ちを込めて貼ってくれたのが伝わる。
オープン前日に、全スタッフが集まってミーティングをとった時に、
「オープンするにあたって、私たちもお店づくりにこうやって携われた事が嬉しい」
「辛い作業にもかかわらず、新人さんも含めて誰一人文句を言わず、協力して仕上げる事が出来たのが嬉しかった」
と。そのデコレーションの話題にふれた女の子たちが何人も泣いていた。
私もその後、美しく仕上がったデコレーションを見て、こみあげてくるものが・・・。
実際、キラキラのデコレーションのおかげで、手抜き工事をされていた箇所も見違えるように綺麗に格上げされて。
最終的に、自分たちの理想の店舗を手に入れる為の戦いに勝ち負けは関係なく・・・
最高のお店が皆の協力により出来たんだなぁ、と。
私もこの出来事で一気にこの新しいお店が大好きになった!!
そしてやっとオープン当日。
朝、祈祷してもらい、その足で役職幹部陣と一緒に櫛田神社へお参りに行った。
皆、寝てないのになぜか気分は晴れやか。
しっかりこれからの事を皆で祈願した。
甫木がこの期に及んで、
「お店の事もそうですが、彼女が出来ますようにってお祈りしちゃいました!エヘヘ」
と・・・
相変わらずのKYっぷりに、苦笑するレナと私・・・( ̄ー ̄;
こんな風に皆と一緒に笑いあえたのはいつくらいぶりだろうか。
私たちが未熟だったせいで、仲間が一人また一人と離れていき・・・
福岡に出店した時のオープニングメンバーは誰も残っていない。
しかし、このメンバーとなら、今のゼロガールスタッフとなら、この先もずっとこんな風に一つになってずっと同じ方向に向かっていけるのではないだろうか。
ひとつ壁を乗り越え、固い結束と大きな成長を手に入れた。
だからこそ、オープンの日は皆のキラキラと輝いてる姿と、お客様の笑顔や嬉しいお言葉に、途中涙があふれ出た。
やっとの想いで手に入れた、この幸せをずっと仲間たちと分かち合う為にも・・・
これからも全力で最高のお店づくりをしていくことを誓いました!!(`・ω・´)ゞ
いつものchie☆節・・・長かったのに読んで頂きありがとうございましたm(u_u)m

