深夜の病院に到着






やっと病院へ着く。


この大きな病院には地下通路なるものが


存在するらしく、裏路地へ行く為に


常駐の警備員さんが居る窓口へと向かう。










「すいません兄がICUに

入院していまして…面会に来ました」

と告げる。










「え?こんな時間にですか?」








「あ、はい…危篤状態でして

何時でも大丈夫と言われ

裏通路から来て下さいとの事でした…」










「あー。そうですか

確認しますのでお待ちください」









そう言われしばらく待つことになった。























「お待たせしました」




と言われ1枚の紙が渡される。


裏通路の紙だ。














紙には簡単な地図と


古びたエレベーターの写真


が貼ってあった。














エレベーターを目指して歩いていく訳だが


常駐さんは着いてきてくれず、





深夜の病院内を

1人で歩く事となった。





















「まーっ直ぐ進んで左へ

向かうとエレベーターが

ありますから」








″なぁんだ。簡単じゃん″


そう思い扉の先へと1人で進む…













と思ったのも束の間…









(嘘でしょ…怖すぎる…!!)














昼間見た光景とは違う


夜の病院に一瞬腰が抜けそうになった。










明かりもほとんど無く、


真っ暗闇の中に待合室椅子が


数え切れないほど並び、





おまけに異常な静けさだった。







引き返したい気持ちは山々だが


兄に会うためには先に進まなければ


ならない為先へと進む。















真っ直ぐ行って…


曲がって…


地下の階段…


紙に書いてある地図を見ながら進む。




















″カサカサ…ガタン!″










静まり返った広いホールで


誰も居ないはずの場所から妙な音がした。












あまりの怖さに一瞬で体が反応し

常駐員のいる館内へ走る。












病院内を競走馬の様なスピードで

走り抜けた。






恐らくあんなに静かだったのは

診察室の前だったのだろう。








音の原因は全く分からないが、

街灯は、全くなかった。



















そしてふと、我に返る。






何をしてるんだ。

兄が死ぬほうが怖いだろ。




こうしてる場合じゃない

がんばれ私!!








意を決し、再び同じルートを駆け抜ける。


心臓は今にも飛び出しそうだ。









何分か迷いに迷い彷徨う。




たまにある頭上の

謎のミラーがやけに怖い。




搬送中の衝突などを防ぐ為の物だろうが


心臓に悪い。






″頼むから映らないでくれ″

と、願っていた。














そして、やっとたどり着いた


噂のエレベーターの前。










が、なんとも古臭い。


年期と、薄暗さで何かのホラー映画でも


思い出してしまいそうになるくらいだ。












多分コレに乗れば

会えるよね?



合ってるよね?

変な所に行かないよね?




お願い早く会わせて!!






様々な2つの【目に見えない恐怖】と


戦いながら、


1Fのボタンを押したのだった。

















三ツ星ファーム