面会2日目〜待合室
2日目の面会
ごめんね
意識はあるものの、
終始痛みが定期的に来るようで
「うぅ⋯」っと小さく声をあげる兄。
「お前何しよると?本当馬鹿なっちゃけん」
と私が言うと、
「ご め ⋯ ん ね。」
精一杯の声を振り絞って兄が言う。
そしてまたあの言葉をかける。
「頑張れるだけ頑張れ」
「無理なら守護霊になれ。」
笑いながら笑顔で伝える
少しポカーンとしていた兄だが
「うん」と返事をしてくれた。
そして兄が突然言う…
「お前ケガした??」
????
「ケガしたのはお前ね?
私じゃない
入院してるのは〇〇よ?」
「ならよかった⋯」
と兄が言う。良くはないのだ。
この言葉の意味は未だに分からないが、
それから私は事故とケガに
気をつけて暮らしている。
兄はこんな状況になっても
自分が【死に値する程】重症なのを
理解していないような顔をしていた。
そして伝える。
「私大阪に住むけん。」
一瞬びっくりしたような表情をする兄。
「入院中って暇って言うし
私が大阪に住んで病院に
通ってお前につまらん話
聞かせに来ちゃるけん」
「私が大阪に来て、近くに
おった方がお前も安心するやろ?」
というと、兄は少し考えた後、
「うん⋯」
と、ひとこと言った。
「でさ、お前ん家に住むけん
鍵どこにあるか教えて」
というと、
「サイ⋯フ」と言う。
看護師さんに貴重品を見せてもらうが
財布の中に鍵は入っておらず
兄に聞いても”財布の中”としか答えなかった。
兄の性格上開けっ放しの可能性もある為
聞いてみると”鍵は開いている”との事だった。
そして昨日お母さんと飲みに行った事を
兄に話して伝えた。
それからあのアル中の母が
今回ばかりは飲まず、私だけベロベロになった事。
そして、父の葬儀にも来なかった母が
兄の為にすぐさま遠くまで足を運んだ事。
それから貯めていたお金を兄の為に
渡してくれた事も話した。
それから、
”可愛い看護師さんが
いっぱい居ること”
を伝えると、嬉しそうに笑ってみせた。
水を欲しがる兄へ替りといっては何だが
”シャンプー”やら”髭剃り”を買ってきた事を
伝え、「看護師さんに出来たらしてもらってね」
と言っておいた。