「先生から話がありますのでいいですか?」




そう言われ唐突に終わりを告げた
1回目の面会時間。









ICUを出た瞬間涙が止まらない。

なぜ、こんな事になってしまったのか。

何故、こんなに状態が悪いのが。

なぜ、兄は若くして・・・死ぬのか。














先生からの病状説明






「お兄さんはですね、

今、肝不全を起こしています。」






「それに人工透析をしていて肝臓の回復を
待っていますが、恐らく回復の見込みは
ありません。」







「それから、肝臓をかばってしまっている為
腎臓がダメージを受けていて、
腎不全もおこしています。」







先生が病気に疎い私達に分かり易い様に
説明してくださった。






「肝臓以外の臓器は、今の医療では
機械により変わりの機能をしてくれる
ものも存在します。」









「ですが、肝臓に関しては今の医療では
替りになるものは存在しません」

と・・・












なんてものを兄は無くし、
大事にしてこなかったんだと思った。












「こんなに若くして、ここまで酷い
状態を僕達は見たことがありません」と。










そして、
「この状態で回復した人も見たことがありません」

と伝えられる。














先生にダメ元ではあるが
後悔が残らない様、聞いてみる。







「正直、近くでサポートしたいと思っていて
関東に転院なんて⋯
そんな事は今の状況では厳しいですか?」
と聞いてみる。





そしてやはり


「今、転院できる状態では
ないです。もちません。」
と言われてしまった。







あの状況を見たら自ずと先生が
言っている言葉が理解出来た。











先生は、

「まだ若いし、治る見込みがあるなら
僕達も手を尽くしたいです。

ですが・・・希望を持たせる発言をするのは
酷な事になってしまいますので
言えません。」とおっしゃってくれた。













そして


「どのぐらい持つかわかりません。
明日かもしれないし、明後日かもしれない。
1年後の可能性もあります。

掛けるとするなら ”まだ若い”という事です。」
と。











人工呼吸器を着けたとしても、

心肺蘇生の際に

ボロボロの内臓を傷つけ、骨を折られ、

頑張って延命した後絶命するとの話で、

そんな事はとてもではないが、させたくない為









母と2人で即答で


心臓が止まった際は
延命措置をしない。

という、決断となった。













私たちは若さに掛けるしかなかった。

何故か、思ったより骨太で

黄疸もあるくせに肉付きが良くて

それなのに、目が開けられない

話すことも出来ない

兄の生命力に掛けるしかなかった。









明日も兄に会いたい私は

急遽ではあるが、看護師さんに確認を取り

次の日も面会の予約を入れた。









母も会いたいとの事で、

次の日もまた、兄に会えることになった。