子供の命か父の命か






頑固で亭主関白な父だった。






そんな父親だからこそ尚更


デキ婚を許してもらえるか





お相手がボコボコに

殴られてしまうのではないか?







不安はあるものの

安定期に入ったら2人揃って

報告しに行こうと思っていた。








退院後の励ましの為にも


とりあえず手紙を書いた










妊娠して母親になること


そして出来たら認めて欲しいこと


お相手にも手紙を書いてもらった








返事は無かった。


最初は怒っているのだと思った。








しかし違った。


父は恐らく読めなかったのだ。











お医者さんからのイキナリの連絡に


呆然とする。






なぜ今まで連絡がなかったのか?


手紙を2回も送る位の間


父の容態は急変していっていたのだ。










それは父の兄弟が理由だった



父の入院のサポートを叔父夫婦が


してくれていたのだ。








小さな田舎町では近所に救急車が止まれば


大騒ぎになる。





疎遠にしていた近所に住む叔父夫婦は


仕方無しに世話をしていたのだ。







私に一切の連絡も無く。







それも今考えれば無理のない話だ。


父親の素行に嫌気が差し皆が


家から出ていったのを


叔父夫婦は知っていた。







そんな中私が密に連絡している事など


知らなかったのだ。







子供の命か、父の命か、


究極の選択を強いられているような


そんな気分になった








お金にゆとりがない私達は


選択肢として





 ・ 夜行バス、飛行機、新幹線

・行かない                        


       

      

という選択肢の中から

選ぶ事になった





新幹線は高いし2人で

行くとすればとてつもない金額になる。




夜行バスは安いが移動時間を考えれば

お腹の子に良くない事もわかる。




飛行機は新幹線より割安だが

気圧の変化が怖かった。

何より安定期前なのだ。







行かない選択肢もあった


若い頃は父を恨んだ事もあった。






でも…結局父が好きだった。







私はリスク込みで飛行機で


父に会いに行く決断をした。


子供の生命力をただただ願うしかなかった。











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