Nintendo SwitchXenoblade Definitive Edition

10年の時を経て529日に発売されました。

ACEはリマスタ版新録と追加ストーリー新規4曲にて

参加させて頂きました。

 

今回も多忙な作家さんたちと録音を進めるため

早くにお話をいただき、準備やアレンジやコーディネートなどはじめて

収録は2019年春~、そして追加の録音は2019年夏に行いました。

素晴らしい作品に参加させて頂いた10年の想いや思い出

とともに想いを込めて制作させて頂きました。

 

本当にこんなに沢山の方に愛されている作品に参加させて頂いたこと、

任天堂の皆さん、モノリスソフトの皆さん、そして作家仲間、

音楽家の方々、エンジニアさんやコーディネータさん、

そして最初にお声をかけて頂いたドッグイヤーレコーズ(DER)さん、

関わられた全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

ゼノブレイドのお話を頂いた時のことは今でも鮮明に覚えております。

この日は、実は自分たちの楽曲デモテープをDERプロデューサーの

方にお持ちし、145分ほどもある曲を十数曲も

一度も止めることなく聞いてくださり、

全て聴き終わった時に、今回の件をふってくださいました。

 

その後すぐ制作に入ることになり、その頃の楽曲制作は、

まずチーム内、その後DERプロデューサーOKを取れたものが、

やっとモノリスさんへ提出され、そこからまたOKやリテイクが

あったり、という今から思うと何重もの試験を経ていたことや、

このプロジェクトへの責任が大きく、全身で体当たりの日々でした。

 

楽曲制作が終わった後も、最後音量合わせや諸々の作業で

最後の最後まで作家陣と電話をしながらハラハラしながら

ギリギリ深夜に納品したことは今でも鮮明に覚えています。

必死な姿を俯瞰してみると、笑いがこみ上げます。

 

制作当時は、

全曲打ち込み納品の可能性もあったのですが

モノリスさんも生録を希望されていたことより

一部の楽曲ですがカルテットでの録音が叶い、

作家皆さんとご一緒に録音しました。

そして今回もほぼ全員の作家の方々とご一緒に録音させて

頂くことが出来ました。

とても懐かしく、また楽しく録音させて頂きました。

 

ゼノブレイド初めてのレコーディングでもお世話になった

スタジオで今回もフルートやオーボエ等一部録音することが叶いましたし、

そして、ゼノブレイド2やイーラやでお世話になった

横浜ランドマークスタジオやビクターレコーディングスタジオでも録音しています。

 

モノリスソフトのスタッフの方がゲーム制作も架橋の中ですのに

美味しいおやつを持って来てくださったこともとても嬉しかったです。

プロデューサーさんとプロジェクト始まってからずっとご一緒させて頂いておるスタッフさんです。

(そういえば、下村さんがいつも美味しいものを差し入れて

くださるのも、疲れた体に幸せでした)

 

多忙な多作家の多様な楽曲の録音であるし、

このすごい数の楽曲をその時間内でベストなものを録音できるようと

緊張はマックスなのですが、また終日寝ていないですし、

それでも本当に10年前には考えられなかった素敵な録音をさせて頂き、

幸せでした。

 

ゼノ1当初の楽曲へかけるパワーというかそういったものは、

おそらく凄かったです。

音源、楽器、諸々の音楽や(自己の技術など)の制限の中で

自分たちが望む楽曲への望みをなんとか出来るように工夫して作曲する、

それは戦争のようだったです。

(それは今も変わりませんし、皆さんそうだと思うのですが)

色で例えるなら鮮明な『赤』を生みしたいなと試行錯誤してたように個人的には思います。

今回生音の録音に差し変わり、生演奏は情報量が多く、

打ち込みでは出せない素晴らしい倍音や逆に雑音も入るのですが、

演奏家からつけて頂いた色や感情や空気も混じっていて音が仕上がりました。

なので、一見当初の音とは違って原色のような鮮明さ

ではないかもしれないのですが、よく聞くと演奏家のブレスなども

感じられる奥行きが感じられるのではと思います。

 

ですが、監督のご指示にもありますように

10年間の思い出を壊さず楽しく遊べるよう、オリジナルを壊さず

今の音にするよう、気をつけて収録しました。

でも私の中では、別のものの気がしています。

 

オリジナルの音も、今回の音も思い入れもありますので、

切り替えができる、というのは、私個人にとっても大変

嬉しい機能だと思いました。

 

そして素晴らしい音にしてくださった演奏家を

少しずつご紹介していきたいと思っております。

最初は、ストリングス。

 

今回も初代のカルテットから、ゼノ2、イーラ、今回のリマスタと

『つながる未来』全てにずっと関わって頂いている真部ストリングス。

 

ゼノブレイド2のストリングスは室屋ストリングスさんも

ご演奏してくださり、

(なんと室屋さんもファーストカルテットメンバー!)

真部さんはDrifting Soulのソロです。

 

音出しの時のガウル平原から、もうガウル平原で、

素晴らしかったです、いろんな思いが蘇って少し泣きそうでした。

そして納品して高橋監督にOKを頂いた時も少し泣きました。

 

長くなりましたが、今回の音楽が皆さんに楽しんで頂けて、

ゲームの支えに少しでもなっていたら嬉しく思います。

 

(前列右より:真部裕さん、me(CHiCO)、平松くん、清田さん

後列右より:下村さん、亀岡さん、Tomori、成田勤さん)