旅の追想の時期なので遅くなりましたが、フランソワーズ・アルディが八十歳で亡くなりました。現在だと、八十歳でも、長寿国のフランスとしては若い、という感じでしたが、同じ日に日本ではざこば師匠が76歳で亡くなってしまったので、いろいろです。日本ではほとんどニュースになっていませんが、いずれ説明しますが、Facebook友達が非常に増えたので、もう持ちきりです。
 アルディの歌を聴くようになったのは中学生の頃なので、英語ではない欧州語として、自分のフランス語原体験とも言えるかもしれません。このブログのYoutubeリンクでも、旦那のジャック・デュトロンは何度か貼ったのですが、デュトロンがどれだけすごいヒット歌手かを知ったのはむしろ留学してからで、それまでは俳優としての認識が大きかったといえます。しかし、アルディのほうは、女優としてはグランプリという映画でちょっと出てきて、レーサー達のナンパに塩対応するというアンニュイなイメージを確立していたので、歌手としての印象が強いですね。息子は一時右翼に走って、それが母親への批判にもなってしまっていましたが。デュトロンが元の鞘に落ち着くまではシングルマザーだったのです。新しい女の生き方を体現している有名人の息子が右翼というのも、締まらない話でした。浮気男の父への反感もあったのでしょうが、右翼のほうが男性優位絶対ですから矛盾しています。
 フランスを旅するのに英語だけで押し通す人があまり大人っぽく見えないのは、中学生の時からフランス語の歌を聴いていたからかも知れません。また、大学でドイツ語をやってみると、英語とドイツ語の区別が付かない人はインテリには見えません。
 Comment te dire adieuは何十年もあとに日本語版を戸川純が歌っていましたが、妹の自殺で引きこもったと思っていたら、その後も活動はしているようですね。本人も自殺未遂していますが。

 電話の話し中を意味するOccupéはフランソワーズ・アルディを初めて聴いた歌でした。最近、ここ空いてますか? と訊かれて、埋まってます、と言ったらわかってくれなかったので、外国人だと判断し、It's occupiedと言ったら、え?オッパイ?と言われたので、だったら日本語ちゃんとしてくれよと思ってしまいました。

 そんなことも想い出しながら、2012年の旅を振り返ると、あの旅ではパリの地下鉄の地上駅コルヴィザールを何度か通りかかっていました。