イメージ 1

 

 2012年の旅に占めるスイスの割合はたいへんに小さいのですが、わずかな宿泊地がすべてドイツ語圏だったことと、行きの飛行機がスイスの航空会社だったことで、まず成田からチューリヒのエーデルヴァイス航空で飲んだのはスイスのビールでした。チューリヒからパリ、というかやはり首都との距離があるのでロワシーとこのブログでは常にシャルル・ド・ゴール空港を表現しますが、これはハイネケン。オランダのビールですね。フランスなどほかの国の工場産かもしれませんが。ここからしばらくスイス産のものがない道中となりました。ヤホー時代にスイスでの数日のスイスビール飲み歩きをアップロードしたところ、地味ですが、スイスビールのパイオニア的なブログになっていましたが、スイスに居住している人ができるほどのことをしたわけではないので、その後、銘柄をたくさん紹介してくれているブログはみつかりました。Wikiの日本語ページはたった三社け紹介されていてそれぞれたくさん銘柄があるという説明ですが、実際に何種類も飲んだブログが見つかりません。というわけで復活と補筆です。


 とにかく飛行機会社がスイスだったからそこでのスイスビールがあり、あとはチューリヒ二拍で、他の国のビールなんてないからスイスビール飲みまくり、そして、旅の後半にベルンで一泊だけれどもスイスビール飲みまくり。居住者ならこれを超えることは簡単だと思いますが、いますかね? もちろん英語旅行者には破られていないと思います。どんなにスイス旅行が英語だけでなんとかなろうともね。短い日数とはいえ、ドイツ語、フランス語、イタリア語のスイスの公用語四つのうち三つを駆使して旅していたので、あれを超えた人がいたなら、かなりドイツ語に習熟したスイス通だと思いますが、見かけないのですね。昔、ギリシャの島の土産物屋で絵はがきを買うとき、枚数はギリシャ語で言えましたが、店のおばさんがイタリアのテレビ放送を見ていたので、そのあとはイタリア語での会話になり、やっぱりヨーロッパ居住者ね~と言われたので、そういうものなのかもしれませんが、やればできるレベルです。ブロガーならかつてやったように再びと思って2012年の旅でした。旅の様子をFacebookで再会した友人たちにはほぼそのまま、世間一般にはちょっと本場の様子をお届けすべく、いろいろ選んでいます。私はスイス留学経験者ではありませんが、スイスのすぐ近くに留学していたので、ドイツ語、フランス語、イタリア語圏でどう振る舞うかを毎年旅のたびに悩んでいて、けっきょく全部できればいいじゃん、という結論でした。英語が通じるかどうかのストレスは皆無で、外国人だからこそのぼったくりの損失もこの言語圏では皆無です。どっちがカッコいいかで、私は英語主義ではなく、現地語主義になりました。手本はスイスの車掌さんとかいろいろありましたが。留学先もたんなる語学留学ではなく、大学留学だと、英語圏と異なり、ヨーロッパだと教授達のポリグロットぶりに、予想はしていても感銘することでしょう。そして、スイスでもラテン語が遍在していて、とても死語とは言えない状況です。なにしろ通貨のCHFのCHは四つの公用語のいずれでもなく、ラテン語で、国名もヘルウェティアです。このことはすでにこのブログでも書いています。この事実は、英語旅行者はまったく感じないかもしれませんが、現地語旅行者にはどうしようもなくのしかかってきて、これを感じるか感じないかがヨーロッパ体験の質を左右するかとも思います。


 チューリヒでもベルンでも飲んだのはフェルトシュレッシェン(フェルトシュレッスヘンと標準ドイツ語ではなりますでしょうか)という銘柄です。日本語ウィキページのヨーロッパの料理の項目の間違いについて金も出ないのに直接対決する暇も無いのでこっそりブログで指摘していますが、ドイツ語ページとフランス語ページによるとラインフェルデンというドイツ国境に近い街でつくっていて、カントンという地区分けでは別になりますがバーゼルがほぼ本場でしょう。バーゼルは列車の乗り継ぎのために何度もスイス国鉄駅とフランス国鉄駅を使っていますが、宿泊したことがないので、観光案内所の地図が有料で買わなかったこともあり、街歩きは間違った方向にばかり行っていましたが、2012年はついに市庁舎に辿り着いています。逆にだから、イタリアからフランスに帰るときは、バーゼルではなくかつてスイスでは一番好きだと思った首都ベルンにかつてと同じように一泊して、同じようにビールとイモを食ったわけですね。レスティですが。かつては一番安い目玉焼きつきレスティですが、2012年は国産ソーセージでした。それだけビールも豚肉も国産にこだわるスイスは、パンの小麦も国産なので、古米のような古い麦も使っていることで、フランスのパンよりもまずいというひと 多いのですが、白パンだけがパンではないので、数少ないスイス宿泊ですが、パンに不満をおぼえた記憶はありません。料理に関しても、フランスやイタリアの影響も強いので、フランスの航空会社だけでなく、ベルギーとスイスの航空会社の機内食は基本的にフランス料理です。だから、現地の物価が高いけれども航空券は安いことを期待して北欧キャリアを考えていたら、スイス国際空港のほうが安かったので、デンマーク語を勉強しなくてもドイツ語なら注文ができるので、いかに英語を使わないですませるかの海外旅行の始まりとして、スイスの飛行機を選びました。結果的には帰りの飛行機に遅刻してしまってのルフトハンザ便の差額があるので、最初からエールフランスにしていたほうが同じような金額で、なにもかも安心だったのですが、やはりスイスの飛行機の多言語アナウンスは刺激的でした。CA長も180cmくらいの女性でしたが、ドイツ語、英語、フランス語、イタリア語をこなし,ロマンシュ語は録音のものでしたが、日本人CAはひとりもいないので、男性CAがちょっと日本語ができたりして、面白い道中でした。ちなみにスイスを出るときのバーゼルは、ただ乗り換えだけだったのですが、そこからドイツ入りしたため、初めてバーゼルのドイツ国鉄駅を通過し、はからずも、それがあの旅最後のスイスとなりました。帰りもスイスの飛行機会社の予定が、ホテルの支払い、空港バスのパリから郊外に出るまでの道路事情、空港での免税の行列、三つの時間がかかりすぎ、飛行機に乗り遅れてしまったのです。それで系列の親分、ルフトハンザになったので、金額的には最初からエールフランスで行けばよかったことになったのですが、ドイツ語圏の航空会社を三つも使ったというのも面白い経験でした。何度も書くと負け惜しみのように思われてしまうかもしれません。じっさいに飛行機に乗り遅れたことを親に報告するとさんざんばかにされましたからね。しかし、運も悪いし、これが人生最後のヨーロッパになってしまうなら、最後まで多様性というのも、現地語使い分け脳トレ旅行には良かったと思っています。頭はパンクすることなく、自分にもまだ学生時代のようなことが、目のせいであまり書籍は読めなくなりながらも、けっこう昔以上の語学水準でやっているなと思ったのです。

イメージ 2
 しかしこの銘柄は強く、旅の途中でチューリヒにフランスから入るといきなり物価が高くなるので、じつはビールはフランスよりも安くとも、夕食までは食指が動きません。その最初の夕食のビールはフェルトシュレッシェンで、料理の高さに比べると二杯飲んでもそれほど痛くなくて、葡萄酒にしなくてよかったと思ったりしました。宿は中心街だと高いので工業地帯まで歩くことになり、市内交通費をけちることで地を這う旅として街を足に刻む方針です。だから、次にヨーロッパに行くことができたとしても、体力的に同じようにはできないでしょう。そんなわけで巨大なチューリヒ中央駅にある酒場では気軽に飲むと、ハルデン・グートという銘柄です。次に歩いて四十分程度かかるホテルがある工業地帯の劇場カフェで飲むとStange Sprintとレシートから入力した家計簿にありますが、よくわからない銘柄です。そのあと二夜通ったホテルのバーはふたたびフェルトシュレッシェンになります。部屋飲み用の買い出しはスイスではしていないので、部屋飲みの酒がなく、安眠のための寝る前の調整はすべてホテル近辺のバーですることになります。そのあと風呂にでも入ればじっくりアルコールが体内に回ってくれるのですが、風呂付きは高いので、シャワーだけでした。昔、フランス語圏であるジュネーヴで、フォンデュやレスティを出している店では、ビールだとチーズが胃で固まるからと出してくれないので、紅茶で過ごして、そのあとビールを出しているバーに行きましたが、フランス語圏のビール銘柄は確認できなくて、フェルトシュレッシェンだったと記憶しています。とりあえず店がやめなさいと言っていることはしないのが食文化を経験する旅かと思います。葡萄酒だとフォンデュに必然的に入れているサクランボ酒と合わさって悪酔いの可能性もあるので、紅茶にしました。葡よくスイス本場のフォンデュの味がえぐいという人が居ますが、それは日本の店で出しているフォンデュにサクランボ酒が入っていないので、それに慣れきっているだけかと思います。あの香り付けがあるからいいのです。2012年はフランス語圏に行かなかったので食べませんでしたが。チューリヒでもフォンデュとラクレットの専門店は名前がフランス語でした。
イメージ 3
 翌日の昼食のときのビールはCALANDAです。店のレスティはあきらかに昔チューリヒ中央駅の中にあったレスティバーが駅の外にレストラン化したものなので、レスティが機械成型でもスイス的なものをイメージするのですが、カランダという名称そのものはスペインの街の名前です。長身の美人ウェイトレスもゲルマン系というよりは、たしかにラテンの雰囲気をもっていました。帰りにもチャオと言われたように記憶しています。しかし、ビールの素性はあとでわかりました。消えたと思っていた店が、別の形で存続していたことは嬉しかったのですが、支払いのときに例の美女は、カルタ、オーネと指を横に振っていました。けっこうな金額なのにクレジットカードがききません。スイスも先進国とは言えない部分が日本同様ありました。この影響はあとで出てきます。
イメージ 4
 次はチューリヒ最後の夕食でいかにも大きな武器庫を改造したビヤホールでしたが、ジョッキは店の名前がただ入っていました。オリジナルビールでしょう。レシートではただGoldsprintとなっていて銘柄としては意味をなしません。すると翌日、イタリアに出発する前にやはり駅の店に入りますが、夜通った店がまだ開いていなかったので、ビールを出す時間の早い、ピザも出している店で飲むとふたたびカランダでした。というわけで、さすがにスペインの銘柄ではなくスイスのものだろうとふたたびドイツ語Wikiで検索すると、クールの銘柄だとわかりました。ロマンシュ語圏です。現地語主義ゆえグラウビュンデン州には行ったことがなく、その前のサルガンスからリヒテンシュタインに向かった過去がありますが、スイスの大手がそこにもあったことになります。ドイツ語圏以外のビールです。ロマンシュ語はドイツ語にしたがえばレトロマン語となり、日本人がレトロなロマン語と勘違いする人がいるからか、フランス語でも英語でもロマンシュになるからか、ロマンシュ語に日本でもだいたいなっています。ロマンシュ語自体の発音ではルマンチュなので、私もルマンチュができるわけでもないのですが、ルマンチュと表記することもあるかもしれません。ラテン系の言葉なので、イタリア語の知識で理解できる文章もあるかもしれませんが、現地入りしたことはありません。かつてスイスからリヒテンシュタインを通ってオーストリアに行ったときに、郵便バスに乗るためにサルガンスに行きましたが、まだルマンチュ語圏とはいえなく、過ごしたのも列車を降りてからバスに乗るまでのわずかな時間でした。スキー目的のサンモリッツならルマンチュなのですが、スキー客向けだと英語の嵐かもしれません。北海道のニセコも、金を出して語学留学するくらいならニセコでアルバイトしたほうが金をもらって英語が蜜付くと言われますね。そもそもルマンチュ話者でドイツ語ができない人はほぼいないので、よほどできるようになってからでないと話してくれないでしょう。私もかつて初ローマのときは、駅前ホテルがイタリア語で話させてくれなくて英語でばかり話してくるため、なんとかフランス語に持っていったので、2012年はあまり英語が聞こえてこない学生街で宿と夕食をとっています。
イメージ 5
 フランス語圏とイタリア語圏でつくられたスイスビールの記憶がないだけに、スイスビールはとにかく外国のものはほぼシャットアウトして自国産に徹しているなかで、ドイツ語圏ばかりの印象でしたが、カランダの存在は大きいですね。ロマンシュ語話者はスイス人口の0.5&程度ということで、みんなドイツ語やイタリア語との多言語なわけですが、面積はスイスのイタリア語圏と同等か、むしろ大きめです。しかし、山に閉じ込められたから残っている言語圏であるからには、イタリア語圏やフランス語圏に比べると葡萄栽培に適していないことを考えると、ビールなのですね。2012年の旅の最初の飛行機で録音の多言語アナウンスのなかにロマンシュ語があったときは知的興奮をおぼえましたが、ほかの言語のアナウンスとちがってちゃんとわかるわけではなく、イタリア語の知識で少し英語よりもわかった気分になる感じだったので、かつてフィンランド航空に乗ったときに、フィン語はほとんどわからないのですが、フィンランドの公用語にはスウェーデン語もあるので、ドイツ語と似ている部分で、英語よりもなんだか親しみやすかったのを想い出します。昔ベルイマンの映画を見ていたときも、ん? このスウェーデン語の単語、ドイツ語と同じじゃん、というのもあったし。フェンスターでしたが。カランダを飲んでいたときは、どこのビールだろうと思っていただけに、あとから学んだこととなります。チューリヒでそれだけスイス国産ビールをいろいろ飲みました。
イメージ 7
 タリアからフランス方面への帰りはチューリヒよりもフランスにもドイツのライン川沿いにも近いベルンでの一泊になりますが、その夕食のビールはエッガーという銘柄でした。もちろん食後にビールのハシゴをするので、昔行ったことのあるベルン中央駅のバーに行きます。ピザ・スタンドになっていて女性店員はゲルマン系、男性店員はラテン系になっていたと記憶していますが、昔はマグレブ系と思われるマスターがフランス語で問題なく切り盛りしていました。一昨年のそこでのビールはフェルトシュレッシェンです。やはりトップ銘柄ですね。
イメージ 8
 ホテルに戻る前、物価の高いスイスなのにホテルの向かいのバーのビールが激安だったので入っています。1dlあたり1スイスフランという、フランスではありえない値段でした。スイスは葡萄酒にしてもデシリットル当たりの値段が明示されていることが多いので、かつてジュネーヴで、ほかの日本人客が理解力不足で、ちゃんと店員に量を確認されているのに、500mlきてもそのデシリットルの値段だと思って、近くに居た私が飲んでいたぶんの請求が来たのではないかと質問してきて、不愉快に思いながら説明しましたがしたが、スイスの葡萄酒には高く、それでシステムを知らない日本人の女の子達が自分たちの請求の高さを同じ東洋人の私と間違えたのと勘違いし、私のせいにしてきたのです。こういうこともあるので、英語が通じやすい国だからといって英語で通す人が居ると、迷惑なのです。だって普通に現地語でやりとりしている私にとっては冤罪なのですから。彼女たちの語学力と計算力が低いから私が犯人扱いされてしまったわけで。あのときはスイスだから当然物価が昔でも高かったわけですが、いまや欧米はどこでも日本よりも物価が高くなっています。英語で通すなら、請求を受け容れてください。現地語で頑張ってなんとか現地人と同じような感覚で食べようとしている人に自分たちの落ち度を肩代わりさせようとするのは迷惑です。日本人は算数が得意だから、欧米人よりも計算能力が優れていると考えがちですが、こんな計算もできていないわけです。日本のスーパーではパッケージで肉を買ってしまうわけですが、ヨーロッパではグラム単位、キロ単位の量り売りで買うので、その感覚があれば、単位当たりの料金表示と、実際に飲んだ値段が連動するのは当たり前です。難しい? ならツアーで行けばよいではないですか。英語で世界中なんとかなるなんて豪語しながら、数学の基本もできないなら、私だけでなく、お店にも迷惑です。だってきちんと表示して、まっとうな商売をしているのに、言葉も算数もできない人がクレームを入れるわけですからね。ビールの価格も、デシリットル単位での表示で、じっさいにどのくらい飲むかです。そんなことを想い出しながら、とにかくデシリットル主義のスイスの首都ベルンのここのビールはルーゲンブロイで、グラスにはっきりインターランケン産であることが示されています。私は街しか興味がなく、坂道も苦手なのでインターランケンに行ったことはありませんが、山歩きを目的にスイスに行く人は必ずインターランケンには行くものと思います。そこではこのビールが中心でしょう。もしかしたら原価が安いかもしれないので、ほかの銘柄よりも、インターランケンに行ったらルーゲンブロイがお得かもしれません。そのときはデシリットル表示のことを考えて、計算してください。面倒? ならツアーで。そのバーでは二杯飲んでいる間クラプトンのライブ映像を見ていました。東京でもクラプトンのライブを肉眼で似たことがあり、オールド・ストラスキャスターの音はここまで乾いているのか思ったこともありましたが、クラプトンもライブのときはけっこう飲んでいるようですね。だから逆に薬物から脱却できたようですが。あの旅のどこで野垂れ死んでもいいように旅しようと思っていたので、そんな、スイス国外ではまず飲めないビールと何曲もコピーしたギターの神様の映像というのも、悪くはありませんでした。もちろんそのあと、一泊のドイツと、そのあとのフランスで思い残すことができるだけないようにしてから死にたかったのですが、安全なルフトハンザの飛行機は墜落しませんでした。それどころか機内留学になってドイツ語の勉強をしてしまいました。短期留学よりも、現地語旅行のほうがあきらかに上だと現地語旅行を繰り返すと見えてきます。留学を語るなら、大学へのガチ留学に徹しましょう。もちろん入学は国際的には学歴にならず、卒業という言葉は曖昧なので、学位取得、それだけが本当の留学です。ディプローム取得がひとつもないなら、遊びですね。いや、それでもいいのですが、卒業のふりはしないでください。ただ授業に出ていただけの人たちがなにか学位を取得したとする嘘が暗躍しているので、ちゃんと留学した人たちも帰国するとその輩と同等に見られてしまうということで、就職できないわけですね。
イメージ 6
 スイスは狭い国土の割には農業自給率の高い国で、パンにする小麦は備蓄して、日本で言えば古米中心に使ってゆくので、新鮮な小麦を使うフランスのパンよりもスイスのパンはまずいというのが定説ですが、日本でも精白ものよりも胚芽や挽きぐるみが入ったものが好きで、牛丼屋に玄米という選択肢がないことを嘆いている私なので、まずいと感じたことはじつはありません。でも、銀シャリ主義の人にはまずいのかもしれません。しかし、私は多少旧いものにも滋養分の存在を感じてしまうし、なにぶん現地主義なので、フランスでは新鮮なパンを求めても、ドイツとスイスではもっと黒いパンを食べればよいではないか思います。私がフランス・イタリア偏重ではなく、スイス・ドイツ・オーストリアへの想いを獲得しているゆえかもしもません。
 ビールの話なのにスイスのパンの国産主義を語るのが余計だと思いますか? もしそうならあなたら完全に間違っています。スイスとはそういう国なのです。基本食をできるだけ自国産にするのが、永世中立国の条件なのです。国境封鎖されても、パンとビールとソーセージとチーズは自給できるのがスイスです。野菜は輸入が途絶えれば、便所の脇のタンポポもあるでしょう。タンポポはフランス語ではダンドリオンといって、英語のダンデライオンはなっとうやうにさんの歌で有名で、ランオンの歯ということになりますが、現実には一般的にピサンリといいます。おねしょという意味で、タンポポの利尿作用が高いゆえです。花を除いた葉と茎ですが、サラダの定番で、料理店ではほとんど見ませんが、家庭用にはフランスのマルシェでよく買っているところを見たものでした。それはそれとして、話を戻しますと、スイスはビールも国産中心で、適当に入った店でもいつもスイス産だったことになります。だから数日でも、何倍も飲んでいれば、スイスビールのハシゴに自動的になってしまい
スイスのビアライゼ(ビール紀行)が成立してしまうのです。

 そして、ほんとうは一昨年の旅では最初に飲んだスイス・ビールですが、生ではないので最後に缶ビールで。旅の行きのエーデルヴァイス航空の機内ではまさにアッペンツェラーという飲み物を飲んでいて、調べるとAppenzeller Alpenbitterという苦みのある火酒がそうなのですが、ドイツ語Wikiを見ても生産者のページを見ても食前酒にあたるのか食後酒にあたるのかわかりません。ビールはその地域のビールでクエルフリッシュです。もしかしたら、フェルトシュレッシェンがビールメーカーというよりも総合的な飲料メーカーであるのと同様、アッペンツェラーのメーカーもいろいろな製品を出しているのもしれません。ちなみに美味しんぼで、フランス料理店でウイスキーの水割りを最初に頼んでしまうのを乱暴というシーンがありましたが、現実のフランスでは、コニャックやアルマニャックのように食後酒としての地位が揺るぎないものは食後酒ですが、外国のウイスキーは食前酒にしてしまうほうが普通です。食事会がバーボンから始まったこともありました。イタリアでもグラッパが消化を助ける食後酒の地位が揺るぎないですね。いっぽう私のスイス滞在経験日数は少なく、飛行機以外でアッペンツェラーは飲んだことがないのです。

 というわけで物価の高いスイスもビールだけは安かったので、短い滞在で何種類も飲み、葡萄酒などは飛行機で最初の食事が魚しか残っていなかったので、スイス全土のブレンドの白を飲んだ程度です。次の食事で飲んだ赤はスイス産ではなく、まさにあの旅で向かったフランスの、ブレンドとは言えないペイドックのメルロー単一品種でした。だから陸に降りるとスイスではひたすらビールで、チューリヒ初日の夕食のソースに赤葡萄酒が使われていたくらいでしょうか。葡萄酒となると、これがスイス国産であるかどうかは、スイスの飛行機でも赤はフランス産だったわけですからわかりません。とにかくビールは安くても料理は高いので、二日目の武器庫レストランで180cm以上のモデルでもおかしくないウェイトレスにカード伝票にチップを書き込んでといわれても、計算が面倒で50円くらいにしてしまいました。いや、私もどちらかといえばデカフェチなので、彼女が長身だからケチったのではなく、ヨーロッパには学生として留学していたので、チップは少なめ、できればはじめからサービス料込みであってほしく、学生時代からはるかに年数を経たあの旅では、気にしたくもなかったのです。とくにカード伝票に書き込むチップについては、昔もミラノで係が不満そうになったりしていたので、面倒でこんなのなくなればいいのにと思っていたところ、2012年はキャッシュレス化率の低かったスイスで遭遇したことになります。どうせ料理が高いんだから、その一割とか二割といったらそれも高額です。そういえばオーリヤックで花嫁募金に遭遇したとき、現金は持っていないという前提で、やはり50円相当額だけあげて、新婦さんとありがとチュッチュでしたね。現在欧米に旅している方々も、物価が高いと思いますので、チップを要求されたら食事額の何割なんていったら高すぎるかと思います。フランスはサービス料込みが多いですが、それ以外の国はサービス料込みの伝統が新しいし、アメリカ合衆国に至っては、サービス係がほとんどチップで生計を立てているという話もあるので、行く国によって事前に対策を考えておくほうがよいかもしれません。ヨーロッパを数ヶ国行くなら、私のような50円主義というのもありだと思います。現金主義の終焉として。少なくとも現金のチップは、税務署が追跡できないので廃止されるべきです。カードの請求書に書き込むのも、電卓もないまま払いすぎないようにすると、サンチーム単位でないと暗算を間違えてしまいます。安くならざるをえません。それでケチとか思われるのだとしたら面倒です。
 ヤホー時代の記事を復活させて補筆したら、ちょっと段落のレイアウトが左詰にできなくて中央寄せの部分ができてしまいました。でも今回はあの不思議な人気のあったものを活かしたいので、そのままにしています。話は時系列をいろいろ飛んでしまうのでビールの写真も順番通りとは言えませんが、いちおうほぼすべての銘柄の写真を出しています。それにしてもネットでスイスビールがなかなか見つかりません。現地で飲むものですかね。というわけでベルンの時計台にもラテン語が。ぜんぜん死語ではないわけですね。

【HIS】旅行プログラム