仕事帰りに上大岡TOHOシネマズで『おかえり寅さん』を観てきた。
私は久々に映画が楽しいと思えた。
この作品が楽しいのではなく観客が楽しかった。
車寅次郎が登場すると劇場の空気が瞬間に変わりわっ!とわいて笑いが溢れる。
どのお客さんも幸せそうだ。
この映画は面白いシーンで声を出して笑って良いのだもの、そりゃあ楽しい。
確か渥美清さんが生前に言ってたが新作が上映されるとこっそり劇場へ観に行き観客が沸いているのを1番後ろで確認すると嬉しかったとかホッとしたとか…
映画好きな私が映画館に行かなくなったのは笑う場面でも鼻息が聞こえてくるほど静まりかえっている今時の映画館が窮屈でたまらないからだ。
声を出して笑うのはマナー違反になるらしい。
『ワイルドスピード』でも『ジュマンジ』でも笑いが用意されてる場面でさえ絶対に誰も笑わない。
ただ爆音が響くだけ。
役者さんは、絶対にここは笑って欲しいところだよ、どうしちゃったのみんな!とガッカリする。
今日の寅さんはそんな違和感が無くてみんなで笑った。
作品としてはいろいろ個人的に言いたいことはある。
せめて「寅のアリア」をひとつでも聞かせて欲しかったとか満男の喋り方がキモいとか桑田佳祐いらないとか。おかえりというならもっと寅さん出せとか。
渥美清の圧倒的なオーラと強い喪失感。
でもすべていいです。30年前の映画館がそうだったように渥美さんが登場するだけで皆が声をあげてわく。それだけで十分満足した。
騒げと言ってる訳じゃないです。
反応したいだけです。