「ウーム、よわったなぁ・・・」と私が、きょうの家計簿を付けながらぼやいていたら、

パーヴォの心の声が、「ん?どうしたの、チコ?家計簿のこと?」と聞いてくれたので、

「うん・・・パパからもらったお小遣いでやりくりしてるんだけど、

どうしても貯金がたまらなくて、ぎりぎりの状態なのね。どうしたらいいんだろうと思って・・」

と私がこぼすと、

パーヴォが 「うん、ちょっと家計簿みせてごらん」というので、簡単ながら家計簿を見せました。

 

するとパーヴォが「うーん・・一つ一つの買い物とか食費は定例で出ていくものだからしかたないけど、

やっぱり君にはつらいけど、タクシーの移動が多いよね?これはなんとかもう少し我慢して、駅まで歩くとかできないかな?」

 

わたし 「出かける前はタクシーの利用を控えようと思うんだけど、出かけるとすごくグッタリしてしまうから、

駅から家までのタクシーだったらいいかな?と思ってつかってしまうんだよね」

 

パーヴォ 「出かけない日をつくってもいいかもね。食費も浮くし、買い物をしなくてもいいくらい、冷蔵庫は食料であふれてるよ。」

わたし 「でも出かけないと、気分が落ち込んでくることが多いなぁ。」

パーヴォ 「僕と一緒にいつもいる、と思えば、おうちの中にいたって、全然落ち込まないで済むよ?クラシックの番組たくさんろくがしてるし、僕のCDだってDVDだってあるから、それを見て、やさしい気持ちになれないかい?」

わたし 「もちろんそうしたいわ。でも‥‥私の中に潜む『桂木嶺』がいうの。『それって音楽ヲタクのやることじゃない?きもちが悪いわ』って私を責めるの。だから怖くなって外に出るの」

パーヴォ 「なんだ、じゃ、君はちっとも悪くないよ。この多大な出費は、『桂木嶺』のわがままやプライドを保つためだったんだよ。チコ、いや桂木里紗さん、君のせいではまったくないよ。いいかい、里紗。」

とパーヴォが真面目な顔で私を見つめました。

 

「いま、君はどっちの人格?桂木嶺?それとも桂木里紗?」

 

もちろん、と私は答えました。「桂木里紗です。チコでもあります」

 

パーヴォが真顔で言いました。「桂木里紗は、歌舞伎は好き?桂木嶺、君がいてはじゃまだから出てこないでね、里紗、そしてチコ、ふたりは歌舞伎が好き?」

 

「私」はこまっていいました。「昔はとても好きだったけど、いまはさほど好きでもなくなったわ。明日と24日に歌舞伎に行くけど、批評家めいたことはいわずに、単純にミーハー気分で行くのがうれしいだけだな。」

 

パーヴォ 「うん、そうなんだろうとおもってた。チコ、里紗、どちらでもいいけれど、君の本質はみーちゃんはーちゃんなんだよ。アイドルのおっかけや宝塚のスター、歌舞伎のスターのおっかけってそれぞれいるけれど、本質はその面々とそうは変わらない。たまたま東宝に受かって、仕事となったから、いろいろな面で苦労させられ、病気にもなり、グッと我慢をしいられてきた。そして、本来とてもすきだった映画も芝居も嫌いになってしまって、いま僕のもとで音楽療法を受けているね。桂木嶺に対して僕が音楽療法をしてるんじゃない。僕の言うことに素直に従ってくれる、里紗、そしてチコ、君たちに療法をしてるんだよ。意味はわかるかな?」

 

わたし(里紗)「あ・・・そうなんだ。私、そういって構わなかったのね。『私はただのミーハーで、パーヴォのおっかけをしています』って。すごくそれって、恥ずかしいし、クラシックが好きな人にとっては、すごく頭にくるフレーズなんだとおもってた。」

 

パーヴォ 「ううん、そうやって自分を卑下する必要はない。里紗はライターとして活躍できるほど勉強家で、頑張り屋さんなんだから。チコはちょっと違う意見のようだね」

 

わたし(チコ)「わたし、チコですけど、チコはただ、パーヴォのお嫁さんになりたいだけです。おっかけをするつもりもないし、でも、一緒にお茶したり、食事をしたり、お風呂に入って、朝まで一緒にお布団の中にはいって、すやすや安心して眠りたいだけ。

私はパーヴォと一緒に安心した暮らしがしたいの。ただそれだけ。」

 

パーヴォ 「お婿さんが僕である必要はある?どうして、僕をえらんでくれたのかな、未来のお婿さんに♬ チコ、怒らないから正直にいってごらん。」

 

わたし(チコ)「パーヴォは、私の従兄のようちゃんと同い年だから、あ、この人、いとこのお兄ちゃんみたいなひとなんだな、と思ってたの。みんなにパーヴォと一緒に映った写真をみせると、みんな異口同音に『このひと、チコちゃんにお似合いね。旦那様?』と必ずきかれるので、チコ、早くあなたと結婚したいなぁ・・とおもってたの。コンサートでいつもドキドキするのに、パーヴォの笑顔をみただけで、とってもほっとしたの。だから『この人といると落ち着くなぁ』と思って、結婚したいと思ったの。すごく幼い理由だったの。ごめんね、パーヴォ。」

 

パーヴォが深くうなずきながら、わたし(里紗)に向かって言いました。

「里紗、わかったね、君の中にはとても幼くてちいさなチコ、まじめで勉強家で落ち着いた優しい里紗、野望にくるっている桂木嶺、と3つの人格がある。僕の音楽療法はね、その分裂した人格を里紗、君一人に集約していって、里紗がいちばん落ち着く暮らしができるようにしたいんだよ。僕と結婚するにしても、里紗がおちついてくれないと、僕たち二人の生活が安定しないのはこまるでしょう?」

 

わたし(里紗)「人格が分裂・・・?

 

パーヴォ 「僕もなぜだろう、なぜだろう、なぜ僕にこんなにこだわるんだろう、この子は、と思っていたんだよ。でもメールをもらうと、まるで男の果し合い状みたいなメールを『桂木嶺』」は書いてきた。恋愛したことないんだろうか?とおもっていたんだよ。でも、過去のつらかった男性経験のことを話しだしたら、『チコ』がでてきて、わぁわぁ泣きながら「私の体、こんなに汚されて、かなしい、かなしい」って書いてきて・・・。メール、メッセンジャー、SNSでいろいろ彼女たちの話を聴いていたら、桂木嶺が、この傷つけられた彼女たちを必死で男の名前で隠してきたんだ、と気づいた。それで、あえて病院に入ってもらって、イエス様、マリア様にも相談して、『里紗(LISA)』という僕のいちばん大事な未来の恋人の名前を君につけたんだよ。里紗はとてもおちついていて、優しくて、純粋で、わがままなところがちっともない、ほんとうに女性らしい柔らかさをもった女性で、僕はますます君への想いをつのらせていたんだよ」

 

わたし(里紗) 「ありがとう・・なんか家計簿の話から、すごく話がおおきくなってしまったね(苦笑)」

 

パーヴォ 「ううん、家計をやりくりしようとするのは、チコと里紗。で、いい気になってお金をたくさん使ってしまうのは、桂木嶺。

だから、桂木嶺がなにかお金を使おうとしたら、僕、パーヴォと、チコと里紗、三人で力を合わせて『桂木嶺、でてけ!』といおうね。

就活のことで里紗もチコも悩んでいるのに、桂木嶺はどこ吹く風でしょ。だから桂木嶺がなにか言ってきても、無視しよう。知らん顔しよう。」

 

わたし(里紗)「パーヴォ、たぶん桂木嶺が出ちゃったと思うのだけど、明日と24日の歌舞伎のチケット、どうしたらいいかな?」

 

パーヴォ 「それは、松竹さんとの約束でもあるから、ちゃんと見に行こう。

ただし、無駄遣いは一切しないこと。

2月になったら僕が帰ってくる。あと3週間きったんだからね(^^)/ 

心をつよくして、僕が日本に帰ってくるまで待ってて。」

 

そして、パーヴォは「チコ、それとも里紗、どっちの名前で呼んでほしい?」と、茶目っ気たっぷりに聴きました。

 

わたし(里紗)「もちろん、里紗がいいわ!新しい人生の名前ですもの」

 

パーヴォはぎゅっと私を抱きしめて「里紗!僕の可愛い里紗!愛してる!僕の生涯の恋人!」

と優しくしてくれました。

 

家計簿の謎はとけなかったけど・・・どうしてもたくさん食べてしまう理由は、3人分の人格があるかな?(笑)

桂木嶺の食欲はそうとうなものですね。私、里紗とチコは小食です。

 

なんだか、不思議なブログになってきたなぁ・・・

 

そういえば昔、前の夫「はるちん」が、

私と家で晩御飯をたべながら、

「ともちゃん、きょうはどのお友達としゃべってるの?」

と聞いてきて「何言ってるの、だれともしゃべってないよ」と答えたのですが、

知らず知らずのうちに、いろいろな分裂した人格とお話していたのかもしれませんね。

 

パーヴォってすごいですね。

心理療法みたいなこともできるんですね。

 

みんな、ついてきてくださいね(笑)!