このアルバムから、琵琶湖の素晴らしい大自然とエネルギーを感じ取ってもらえたら、とても嬉しいです。各楽曲で使用したシンセサイザー、参加メンバーのお話もあります。


「Morning Haze」

『満天の星空に薄い光が差し込み、鳥たちが目覚めた。湖岸に充満した朝霧が徐々に照らされ、虫たちのスーパーハッチに呼応する小魚たちのライズが始まっている。そして、静寂を突き破る肉食魚たちの躍動。何万年と繰り広げられてきた食物連鎖だ。溶け込むように静かにウェーディングを開始した』


【メンバー】
奥村斉 (Syn)
【Synthメモ】
KORG WAVESTATION A/D+Prologue+M1Rで作成したPad。リード音は、AKAI EWI3000mをX335iでブレスコントロールしています。

当初、コード進行とPadだけの予定でしたが、EWIを引っぱり出して吹いてみると、いい感じの共演になりました。8オクターブをフル活用した演奏を楽しんでください。

 

 


「Silver Assailants」

『太古から琵琶湖に棲む “銀色の襲撃者”ケタバス。彼らの補食スピードと遊泳力は、最速と言っていいだろう。「この魚を狙うときは、ルアーをできるだけライナーでキャストするとよい」と昔の本には記されている。飛行中すら彼らは追尾している。あらゆる小魚たちは、この“神の矢”からは逃れられないのだ』

【メンバー】
奥村斉 (Syn,EP)
関よしのり (EG)
石村義弘(EB)
井口なつみ(Ds)
【Synthメモ】
KORG Prologueによるリード、ブラス音には反応速度の早いYAMAHA SY77、エレピ音には、SV-1+YAMAHA DX7Ⅱを使用しています。

 

Allan Holdsworth研究家、ギタリスト関くんに捧げた曲です。世界一Allan Holdsworthに近い男。と言って過言ではない、驚愕テクニックとインテリジェンスの持ち主。この曲のコードチェンジは、難易度高めなんですが、彼のアドリブは、圧倒的スピードで襲いかかる野生の魚そのものです。終盤での、なつみちゃんのパワフルで緻密なドラムソロも、とにかく圧巻です。
 

 


「View from the Green train」

『信頼できるパックロッドとリール、少数精鋭を詰め込んだルアーケース。あとは適当にパッキングして、気の合う仲間と電車に乗れば、快適に湖畔へと連れて行ってくれる。車窓からの眺めも最高だ。風を読んで降りる駅を決めればいい。新しい風景が出迎えてくれるはず』

【メンバー】
奥村斉 (Syn,Perc)
米澤美玖(Sax)
石村義弘(EB)
松本慎吾(Ds,Perc)
【Syntheメモ】
KORG PPrologueで作成したベロシティで音色変化するオルガンとブラス。車掌さんのアナウンスのようなシンセボイスでもPrologueを使用してます。ハーモニカ音は、KORG PS60を使用しました。

 

美玖ちゃんの強烈コンテンポラリーで、素晴らしいテナーブロウが大炸裂です。抜群の音色で、”さあ!琵琶湖に行くぞー!!”って気分にさせてくれるワクワク感が最高です。リズム隊には、5弦フレットレスベースの石村さん。ベースラインもアドリブもドライヴしててノリノリ。そして、ドラマーは長年の相棒、マツシンこと慎吾ちゃん。いつも説明不要!なアイデア溢れる芸術センスに、絶大な信頼を置いてます。別バージョンでは、僕がシンセハーモニカソロをとっています。

 



「Zone 512」

『琵琶湖に棲むコイ科の魚たちは時として肉食化する。雑食とはよく言ったものだ。特に完全肉食のニゴイは悪食家で、小魚は無論、石を鼻でひっくり返して甲殻類や水生昆虫も食べる。大型のパワーは凄まじいので、ライトタックルだと痛い目に遭う。彼らに限らず琵琶湖では、カマツカ、野鯉のほか、ギンブナ、ゲンゴロウブナさえも、ルアーを襲ってくるので、まったく侮れない』

【メンバー】
奥村斉 (Syn,EP)
関よしのり (EG)
宮地遼(EB)
井口なつみ(Ds)
【Syntheメモ】
エレピには、KORG SV-1のRhodes音をクランチさせて弾いています。 リード音とブラスには、KORG Prophecy、Prologue、PS60 Mono/Polyを使い分けています。Pad音はPrologueです。

 

アルバム中、最も変態チックな曲ですが、皆さんのトンデモない演奏のおかげで、中毒性の高いエモい曲になっちゃいました。いつ襲ってくるかわわからない、大鯉たちの恐怖のパワートルクを感じてくださいw。なつみちゃんの地を這うようなGrooveが怪しさ満点でカッコいいです。ベーシストは、名実ともに若手ナンバーワン!の宮地くん。スーパープレイが炸裂しています。呼応する素晴らしいコンピングもお聴き逃しなく。トリを務める関くんのアドリブも、洗練されててぶっ飛びです。それにしても、アドリブ部分だけ聴いてると、誰のアルバムやねん!ってぐらい皆さん、弾きまくってますよね(;^^A

 



「Silent Rainbow (Reincarnation)」

『晩秋の琵琶湖では産卵を終え、最期を迎えようとする鮎たちで賑やかになる。サギたちが湖岸に並び、魚食魚たちも食べ放題だ。それでも食べきられなかった圧倒的な数の亡骸。豪雨が止んだ。怖いぐらい美しく明るい虹が、音もなく目の前に姿を現す。おびただしい数の命が渡る虹は、美しいエネルギーが満ち溢れている』

【メンバー】
奥村斉 (Syn,EP,Perc)
池田清美(Fl)
石村義弘(EB)
松本慎吾(Ds,Perc)
【Syntheメモ】
KORG WAVESTATION A/D+PrologueによるPad、中盤からのSEやStringsなどでもPrologueが活躍しています。

 

今回の楽曲中最もシンセ・トラック数の多かった曲で、絶妙な音色変化とダイナミクスが聴きどころです。チックはバラードをあまり弾かないんですが、なぜかこの曲が最もチックっぽいアドリブになったかと(^^ゞ。フルートは、これまでのChick Coreaアルバム全曲制覇企画でも、長年サポートしてもらっている池田さん。複雑な和声も完璧に掌握する抜群の耳の良さと、天才的アドリブセンスの持ち主。慎吾ちゃんのドラマチックで壮大なドラミングも感動的で素晴らしいです。フルートソロバージョン、シンセバージョン、の2テイク収められています。

 

 


「101 Silurus」

『日が暮れると、二本のアンテナを前方に向け、いろんなナマズ(Silurus)たちが押し寄せてくる。そして、この湖の食物連鎖の頂点に君臨しているビワコオオナマズは、圧倒的に神々しい。世界中でここにしか生息しない』

【メンバー】
奥村斉 (Syn)
【Syntheメモ】
Roland SH-101の全パラメータを操作して作成したリズムフレーズ。KORG PrologueのPadとSEで出来ています。

 

40年以上使い続けてる、SH-101はなかなかの芸達者で、ドカドカ食い散らしながら押し寄せてくるナマズたちの迫力までも再現してくれてますw。小魚に生まれてこなくて良かった(;^^A。因みに、シーケンサーやアルペジエータは使用せず、LFOのみで作成しています。

 



「Lake Current」

『琵琶湖には流れはない、って聞いたことがあるが、とんでもない嘘だ。僕は、秒速40㎝の湖流(Lake Current)を体で感じながらいつも魚たちと対峙している。足元ではヨシノボリが飛ぶように流れ、ホンモロコと小鮎は途切れなく川のように押し寄せてくる。それらをジャンプしながら捕食するさまざまなフィッシュイーター達。まるでここは海。そして遂に、360° スーパーボイルに取り囲まれてしまった』

【メンバー】
奥村斉 (Syn,EP)
関よしのり (EG)
宮地遼(EB)
井口なつみ(Ds)
【Syntheメモ】
KORG Prologueのリード、ブラス、SE、Padを、中盤からは、YAMAHA SY77のベル音などが出てきます。

 

湖流に合わせて刻々ゾクゾクと変化する状況を表現しています。関くんの華麗でワイルドなギターソロに続いて、宮地くんのエレガントなベースソロが、次の展開の橋渡しになり、そして、なつみちゃんのタイトでエネルギッシュなドラミングに乗って、エンディングになだれ込みます。ラストのPrologueのシンクモジュレーションしながらのソロは、シンセイストの意地とでもいいましょうかw。
 

 


「Ancient Lake」

『ヒトが発生する何百万年も前に出来た古代湖。今、ここに来ている時間は一瞬過ぎて、途方に暮れてしまうが、万物創成に想いを馳せてみた』

【メンバー】
奥村斉 (Syn)
【Syntheメモ】
KORG Prologueの16ボイスシングルモードのみで作成。

 

この曲を聴きながら琵琶湖に浸かると、水深104メートルの深みに吸い込まれてしまうので、ご遠慮ください(;^^A。KORG Prologueの16ボイスシングルモードのみで、丸一日かけて作成しました。破綻しないボイシングのグラデーション、同時別々に変化する多数のパラメーター、シームレスで劇的な変化を生み出すモジュレーション。現代アナログシンセの成せる技です。さらに、小川悦司さんによる、宇宙的立体音像も相まって、ヤバい音色変化に身を委ねてみてください。

 

 

 

最後までご視聴ありがとうございました!!