こんにちは!

 

伊坂幸太郎さんのチルドレンという本を読みました。

チルドレン(伊坂幸太郎) : 講談社文庫 | ソニーの電子書籍ストア -Reader Store

この本は短編集がつながった長編作品という少し変わった本なのですが、

僕はこの作品に出てくる主人公の陣内という男が非常に好きだなと感じたので、書いていこうと思います。

 

まず、あらすじなのですが、この物語の主人公である陣内は「俺たちの奇跡を起こすんだ」と独自の価値観を持っていて、

いつも周りを振り回す男なのですが、なぜか憎めない男です。

 

彼は思いついたことを言わずにはいられない性格で、ある日彼が銀行にいる際に、銀行強盗に会い手足を縛られている状況で、陣内は強盗犯に向かって 「この俺が、大人しくおまえたちの言う通りになると思うなよ」 と歯向かい反抗するなど、圧倒的不利な状況でも自分が正しいと思ったことを言うことを厭いません。

 

そうした彼の正義感あふれる行動は本を読んでいて非常に感心させられました。また、彼のまっすぐで不器用な性格が自分と似たようなものを感じ、読んでいて非常に面白い作品でした。

 

 さらに銀行強盗から12年後、陣内は家庭裁判所の調査員になり、同じく家庭裁判所の調査員である真面目な後輩・武藤に、「仕事は適当でいい」というなど中々個性的な性格をしています。

 

「適当」で済ましているはずなのに、少年の心を掴むのが巧みな陣内は、武藤が担当する万引き高校生・木原志朗と父親のわだかまりを取り除くきっかけを作り出す。もしかしたら、陣内にとって、家裁調査員という職は天職なのかもしれない。

 

居酒屋で、管理職の会社員らしき中年男たちに絡まれた陣内たちは、「少年法はなってない」「駄目な奴は何をやっても駄目なんだよ。更生させるなんて、奇跡みたいなもんだな」と真剣な怒りをぶつけられる。そんな中年男たちに、陣内はこう啖呵を切る。「俺たちは奇跡を起こすんだ」。「少年の健全な育成とか、平和な家庭生活とか、少年法とか家事審判法の目的になんて、全部嘘でさ、どうでもいいんだ。俺たちの目的は、奇跡を起こすこと、それだ」。「俺たちは奇跡をやってみせるってわけだ。ところで、あんたたちの仕事では、奇跡は起こせるのか?」「そもそも、大人が恰好良ければ、子供はグレねえんだよ」。

 

 ああいえば、こういう。いつも屁理屈をこねてばかりいる陣内は、決して友達にしたい存在ではない。しかし、なぜか気にかかってしまう。物事の本質をズバッと見抜く能力と、「適当」なようで、実直に仕事に向き合うその姿勢に、なんだかちょっぴり感動してしまう。

 

 陣内が活躍するファニーな物語は、多くの人の心を温めるに違いない。普段小説を読む人も読まない人も、『チルドレン』は心温まる作品で、読書好きな人だけでなく、苦手な人にも是非読んでほしい作品です。

 

陣内をもっと知りたいと思った方は、本を手に取って是非読んでみて下さい。

 

伊坂幸太郎さんの作品がすきなので、今後も読んだら紹介していきたいと思います。