#1 《この新しい世界で青春を!》
その2
「ってそうだ!?
なぁめぐみん、俺たち死んだんだよな?
ならお前はエ…女神様に会ったか?」
「え、女神様?!
え…と
い、いえ、会っていないですけど。
それはそうと…ここはどこなのでしょうか?
」
そう聞かれ少し戸惑うめぐみん
まぁ普通死んだら女神様に会えるだなんて思わんだろうし、それに気づいたら見知らぬ街にいるんだ
無理もないか
しかしめぐみんもエリス様に会っていないとなると俺たちが何故日本に来たかがわからないな…
「めぐみん、周りを見る限りどうやらここは俺の住んでいた国、日本のようだ」
「ここが…日本
以前カズマが日本について話してましたが、これで納得出来ました
凄い国なのですね」
まぁ比較対象が中世時代の異世界じゃなぁ、
こっちからすれば魔法も大概だと思うが…
と考えているとめぐみんのお腹からグ~ッと音が鳴るのが聞こえた
再び顔を赤くしお腹を抑え込むめぐみんに不覚にも可愛く見えてしまった
「そうだな、考えてみれば向こうで昼を食べてからかなり時間が経ってるからな
ここまでの経緯はどうあれ、まずはこっちの通貨を持っていないから装備とかを売ったりして金を調達してから
服と飯をどうにかしよう
その状態にこの服じゃコスプレか変質者かに勘違いされるからな」
「そ、そうですね、コスプレとはなんなのかよくわかりませんが
確かに周りの視線も気になりますからね
ここがカズマの住んでいた国であるならば私から依存はありませんよ」
それから俺とめぐみんは剣を持っていたこともあり捕まらないよう警察の目を避け注意を払いながら街の骨董品屋に向かった
そこで俺の持っていた剣とめぐみんの杖を売りに出した
最初は杖を売りたくないと抵抗を見せるめぐみんだったが、杖に使用されている宝石が珍しがられ高値で買い取ってくれると聞き即売りに出した
ちょろい
俺の剣が5000円、めぐみんの杖が85万円で売れた
なに、この差は…
とにかく、これで数ヶ月は過ごせるくらいの資金を得られた俺たちは次に服屋へ足を運ぶ
俺は安めのTシャツにジャケットとジーンズ
めぐみんは店員の勧めで、
黒を基調としたワンピースに赤い上着を羽織る
色は本人の希望らしい
ファッションのために着けていた眼帯や包帯を取りあげ、代わりにハイソックスを履くように言った
めぐみんがランジェリーエリアを珍しそうに見ていたが『ブラなんて要らないだろ』と言ったらキレられた
着替えを終えて喫茶店で昼食をとり、コーヒーを飲みながら今後について話すことにする
「…ふぅ、さてあとは住む所の確保だが…オイ聞いてんのか?」
「ふぁ、ふぁい
きいてふぁふよ、…ッうん
それにしてもこの『ほっとけーき』とはふんわりとしていて凄く美味しいですね!
バターとハチミツの組み合わせがこれほど合う食べ物はないんじゃないですか?!
それにこの『めろんそーだ』と言う飲み物はシュワシュワとしていて…
これが毎日皆が飲んでいたものなのでしょうか?」
出される料理をどれも美味しそうに味わうめぐみん
向こうに比べりゃ飯が美味しく思うのはわかるのだが、話を進ませてくれ
「あぁ、住むとこを探す前に、
めぐみん、お前の本名は?」
「?
変なことを言いますね、もうすでに呼んでいるじゃないですか?」
問題その1『名前』だ
経歴についてはまだある程度誤魔化しようがあるが、これから名前の登録などをする際に「私の名前はめぐみんです」なんて言っていたら馬鹿にされ相手にされない
このままじゃこの先必ずどこかで問題になってくるだろう
「…つまり私を日本人として別の名前に詐称する訳ですね
…親から貰った名前が変と言われるのは些か不愉快ではありますが、仕方ありませんね
で、どのように名乗れば良いのですか?」
「そうだ、だがその前に
お前はこっちの勝手とかがわからないだろうし一人で住むのは無理だろう
というか一人にしたら爆裂魔法を放とうとするか心配になってくる」
「ちょっ!?私に対してどんなイメージを持っているのですか?!
流石の私でも見知らぬ地で不用意に爆裂魔法を放ちませんよ!?」
「まぁそんな訳で俺たちは一緒に暮らすことになるんだが…」
「一緒に住むなんて別に今更なことじゃないですか
私は構いませんよ、例え狭い家になろうと文句は言いません」
「問題なのはそこじゃない
問題は『俺たちの関係』だ
この国じゃ冒険者って職業は存在しないんだ
だから『冒険者仲間だから一緒に住む』なんて理由は通らない
知り合いとはいえ男女が一緒に暮らすとなるとそれ相応の理由がないと色々面倒臭いことになる」
「では付き合っている…と言うのはどうでしょうか?
お互い愛し合っているということにすれば周りもおかしく思わないでしょう?」
少し頰を赤く染めながら提案するめぐみん
んな恥ずかしいことを堂々と…
「い、いきなり何言ってんだよ?!馬鹿!
却下だ!
お前は俺を本格的にロリコンにする気か?!
あと同じ理由で結婚するのも無理だ
そもそも俺たちはまだ結婚できる年齢じゃないからな。」
ロリ扱いされためぐみんが握り拳を作るがここはグッと我慢したのか右手を抑え込む
「…ではどうするのですか?」
その解決策は…
「…めぐみん」
「は、はい!」
「俺の…、
『妹』になってくれ!」
「…なんですか?ロリコン扱いは嫌なのに変態ならいいと言うのですか?」
「いや待て違う!そうじゃない!
違うからフォークとナイフを構えるのを止めろ!?
ようは俺の『義妹』ってことにするんだ!
そうすりゃ名前に関しても『佐藤めぐみ』って名乗れば違和感なく、一緒に住むぶんにも問題がなくなる!」
幸いめぐみんは目が赤い事を除けばどこにでもいる日本人の女の子といっても通じるだろう
黒髪で年齢に合った控えめな体格(笑)がここに来て役に立つよ!
やったねめぐみん!
家族が増えるよ!
「『佐藤』…『めぐみ』…」
納得してくれたのか名前が気に入ったのか頷きながらブツブツと名前を復唱していた
ちょっと気持ち悪い…
「そうですね、とりあえずは帰れるまでの目処が立つまではそう言うことにして起きましょうか…」
「………そう、だな」
『帰れるか分からない』とは、流石に口に出せなかった…
続く