弓のようなイメージ
加えられる力によって
自由自在に動くけれども
軸はぶれない
こんな生き方をしている人には
そうそう出逢えない

先日、幅允孝氏の講演を拝聴しました
職業はブックディレクター
(敢えて、付けた名前だそうです)
選書、配置、提示方法を編集していらっしゃいます
まあ畏まった言い方よりも
TSUTAYA ROPPONGIや
阪急梅田メンズ館の中にあるLOBBYを
のぞいていただくと、一目瞭然
本屋さんと同じように本はあるけど、
なんだか違う
思わず手に取ってしまう
そのきっかけを創っていらっしゃるのが
この幅さんです
「めくる」 「開く」
単純な動作がいかに大切か
千里の道も一歩から、と言いますが
一歩がなければ、千里は始まらぬことを
見落としてばかりだと実感しました
幅さんと私が決定的に違うところ
それはその一歩に
どれだけ力点を置いているかに尽きると
気付きました
体裁よく置くのではなくて、
めくってもらえるように置く
それは読んでもらう人との
間合いを測る、綿密な取り組みではありますが、
そのたった一枚の扉が開かれた時、
世界はあっという間に広がっていくのです
私はめくってもらいたい衝動よりも
ただ本を所有してもらいたい感情に
溺れていた気がします
あぁ、煩悩のかまたり、もとい、かたまり
その一歩を丁寧に創りだす幅さん
以前、版元さんがおっしゃっていました
「魂のこもった棚に、置かれた本は生きる」と
今回、しみじみ納得しました
最後に幅さんが棚の創り手としてだけでなく、
読み手としても一流だと思った言葉
僕は最近思うのだ
本に「良い本」も「悪い本」もないのではないかと
そこにあるのは、
今の自分に「あう本」と「あわない本」だけなのではないだろうか
そう考えると、僕がもっとも憧れる本の読み方は、
どんな本を読んでも愉しめる状態なのかもしれない
『幅書店の88冊』(マガジンハウス)より