少子化対策は簡単 | 秋山のブログ

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日本は急速に少子化が進んでいる。現在多くの先進国がその傾向にあるが、日本程顕著ではない。参考のために過去の他の国の例はないかと探したところ、一世紀以上前のフランスが少子化で困っていた。しかし現在は、問題ないレベルに落ち着いている。それでは何を一体おこなったのかと言えば、移民などの話では全くなく、子供を持つことに対する徹底的な金銭的優遇である。少子化の原因に関しては様々な原因が上げられ、それらのほとんどが間違っていない主張であるが、もっとも大きな要因が子育て世代の収入の減少だ。

 

日々技術は進歩し、昔なら莫大な費用がかかるものが簡単に買えたりもする。しかし現代人が贅沢になったために、生活が困窮しているわけではない。贅沢しなくても生活のための費用を安くあげることは困難であるし、より優れた商品を提供しているのは現在生きている人間に他ならないのだ。一般的な国民の生活が悪化していっているのは、利益の配分がおかしくなっているからである。

 

国民の収入を考える時に、階層間の格差や、非正規の増加などのような構造の変化を考慮しなくてはいけないが、生活費の増減も必須の要素だ。

20年来の不況を考えると、デフレで物価が下がるなどと言いながら、公共料金や交通費、大学の授業料など大凡上昇している。各種控除の打ち切り、交付金の廃止なども相次いでいる。これらは収入減と等価だ。要するに分かりにくい形で、国民の収入は下がり続けてきたということである。その結果、最も所得の低い層は、働いてもまともに生活できない状況にまでなっている。一般的な家庭でも共働きでなければ、まともな収入が得られなくなっている。繰り返しになるが、利益の配分がおかしいのだ。

 

利益を多くもらっているものとして、公務員があげられることがある。医師や弁護士、銀行の重役などがあげられることもある。民間の中小企業の賃金の下がり方などと比べて、それらの賃金は下がっていないが、その分それらの賃金が上がっているわけではない。生活費が上昇している分、高所得層の所得も下がっているとも言い得る。ジニ係数は、日本ではあまり拡大していない。

それではどこに配分されているかといえば、融資に対する利息、株に対する配当、内部留保などへである。ピケティがデータによって証明している通りだ。日本は現在ゼロ金利であるが、企業の払っている配当は以前より上昇している。インフレ率が低いにも関わらずである。内部留保も配当を払っているのと等価だ。すなわち日本では以前に比べて高い利息が払われているということになる。

 

利率があがれば、需要は抑制され、成長も抑制される。利率の上昇に経済に対するよい作用はない。利率の上昇が投資を増やすなどというのはマクロでは誤謬である。均衡によって利率が決まるなどというのも事実ではない。もちろん利息自体は経済活動には必須のものでもあるから悩ましいが、構造的にも実証的にも、成長率以下の利率であれば経済の循環を阻害しない。すなわち成長率を上げるか、利率(配当や内部留保を考慮した利率である)を下げる必要がある。この場合、インフレは都合がいい。成長率を底上げしてくれるからだ(内部留保を貯めるインセンティブも減らす)。しかし実際に政策として行なわれたのは、実証による根拠なくインフレがない方がよいとした愚かな経済学者に従い、インフレを利率を上げることによって抑制したという愚行だ。既に述べたように、インフレも所得減と等価であるが、通常は所得が上がってから物価が上がる。所得が増えなければ、より高いものを買うことは困難であるからと容易に理解できるであろう。実際多くの場合、所得が先に且つインフレ率より大きく上昇している。インフレの害を強調する意図で、例外的な出来事(例えばオイルショックや消費税等によるコストプッシュインフレの時)が喧伝されているのである。

成長を促す方法は、マネーサプライを増やすというものだ。マネーサプライの増加に遅れて、所得の増加が観察される。人々により多く生産する余力があったならば、物価をあまり上昇させずに、より多くのモノを人々は購入することになる。余力がなければ物価が上昇する。どちらにせよ成長は達成されることになるだろう。しかし貯めるよりも借りたほうが得の状況(銀行の機能不全も関係している)になるまでは、企業は投資(設備を作るという意味ではなく、金を借りて使うの意味)をしないだろう。よって必然的に、国が借りて使うことになる。今までも国は財政政策を行ってきたが、十分な成長を引き起こすのに十分な規模ではなかったし、企業が投資を開始する前に収支を改善しようとするなど全く愚かだった。財政政策が無効であったとか、今後はするべきでないといった主張に価値はないであろう。

さて、ここでもう一つ見落としてはいけないことがある。それは折角実体経済に注入した貨幣を抜き取られないようにすることである。例えば、箱物を作るための代金の一部が内部留保になっていたら効果は減弱するだろう。そういう意味では、公共工事は財政政策として効率が悪い。現金の給付も貯金になる率が大きいのでベターとは言えないだろう。最善なのは、健康保険のように使用に対して補助としておこなうことだ。もちろん教育や育児に対する補助もいいだろう。例えば授業料を無償化したり、給食を無料にしたり、いくらでも効率よく財政政策ができる。赤字は気にする必要はない。貨幣を供給するのが目的だからだ。家計や企業と違い(混同してはいけない)破綻する可能性もない。

 

結局、少子化対策として何をすればいいかと言えば、出産、育児、教育に対する費用を財政政策として国が払うようにすればいいのである。少子化対策なんて、簡単である。