「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」詐欺師から足を洗い、実演販売士として生きる道を選んだ武沢竹夫に、訳ありの中学生・キョウからとんでもない依頼が。母親が残酷な詐欺被害に遭ったのを境に、厳しい現実を生きることになったキョウ。武沢は彼女を救うため、かつての仲間を再集結、大仕掛けを計画する。


まーたやってしまった。シリーズものなのに前作『カラスの親指』未履修。これだけでも十分面白かったけど絶対順番に読むべきでした。登場人物たちへの理解があったらもっと楽しめたな。前後しちゃうけど読みます。


母親を騙した詐欺師を探し出して接触し、カモを演じて詐欺を仕掛けさせ、その姿を詐欺師をやっつけるテレビ番組で世の中に映像をばら撒くというのがキョウの考えた復讐。武沢はキョウの母親が自殺しようとしているのを止めた過去があり、「生まれてきたくなんかなかった、責任をとってくれ」と言われてこの計画に協力することになります。


以前はスリで生計を立てていたまひろや、マジシャンの寛太郎の活躍ももちろん鮮やかだったのですが子ども2人が凄すぎたな。テツは小学生なのに有能すぎるし、キョウも中学生で既に武沢よりも何枚も上手だったし。でもちょっと鈍臭いくらいが皆に愛されて協力してもらえていいのかも。元詐欺師なのに人情味があって支えたくなるキャラクターでした。


『キョウは武沢の子供』という安易などんでん返しがなかったのが良かったです。仄めかされてまぁそうだろうなと思ったのもつかの間、さらにひっくり返されたのが気持ちいい裏切りでした。これがオチだろうと予想した内容がそれ以上の驚きがで覆されるのエンターテイメントすぎる。


「人はどこから来たより、どこへ行くのかが大事。」という言葉はかなり沁みました。