東日本大震災の爪痕が生々しく残る東北地方の小学校に、神戸から赴任した応援教師・小野寺徹平。かつて阪神・淡路大震災を経験した彼は、心に傷を負った子どもたち、父兄たちとの"本音の交流"を通して、被災地が抱える問題と向き合っていく。「ハゲタカ」シリーズの真山仁が挑んだ、渾身の震災文学。


教師が足りなくなった被災地に志願して駆り出された小野寺は、典型的な関西人で思ったことはすぐに口にしちゃうし、デリカシーに欠けるところもありますが、問題には正面から立ち向かう熱い人間で、子どもたちのために破天荒に奮闘していきます。


大人に気を遣って子どもが心の奥にしまい込んだ苦しみを吐き出させるために作った「わがんね新聞」や、福島原子力発電所に勤める父親を持つ転校生と在校生とのトラブルを描いた「"ゲンパツ"が来た!」、ボランティアに参加した若者と地元の人たちとの軋轢を描く「小さな親切、大きな・・・・・・」など被災地の様々な問題への取り組みが語られている短編連作の物語。


ナイーブなテーマですが小野寺の明るいキャラクターを通すことで、やたらと涙を誘ったり説教臭くなったりせずに本質が伝わってくるなと思いました。被災の経験はあるが東日本大震災では部外者だという、割り切ったスタンスのちょうどいい距離感で寄り添ってくれる小野寺みたいな先生がいたらかなり救いだな。あとのらりくらりとしているようで決めるところはビシッと決める校長先生本当にかっこいいです。


私自身被災とまではいかなくてもかなり揺れた地域にいたし、身内に原発の影響を受けた人もいるし、他人事とではないんだけど今の今まで忘れてたこともたくさんあって身につまされる思いがしました。