虹色コート

虹色コート

高校を舞台にした自作小説を綴っていきます。少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。

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ジャカジャカジャ~ン!

おそるおそる音楽室のドアを開けると、エレキギターの甲高い音が僕を直撃した。
髪の毛をつんつんに立てて、ハードロックを演奏する男の子達の中心に、浅黄孝介はいた。
180センチの長身。短髪で精悍な顔立ち。男の僕から見てもカッコいい孝介は、肩から下げたギターも物凄く様になっているように見える。

…ただ、その腕前はお世辞にも上手とはいえなかった。


「ん?誰か来てんのか?」
音楽室のドアからのぞいていた僕に気付いて、孝介が演奏を止めた。
バンドメンバーたちの注目を一斉にあびて、僕は体が硬直する。
それでも僕は勇気を出して、ドアを開けた。

「おお真琴かよ?どうした?」

てっちゃんとは少し違うけれど、爽やかな笑顔だった。
孝介の当たり前の反応に少しほっとしつつ、僕は話を切り出した。

「えっと、バスケ部の話なんだけどさ…」
「何? オレに戻って来て欲しいって?」

聞き返した孝介の顔から笑顔が消えている。
僕は一瞬、何も言えなくなった。

それでも、頼まなきゃいけない。
僕は頷く。千秋にそうしたように、当たり前のように言った。

「うん。一緒に練習しようよ。前みたいに」

孝介は腕を組むと、少しだけ考え込んでいるような素振りを見せた。

「赤座くんっていう新入部員が入ったんだよ。また活動しようって思ってる。孝介が戻ってくれれば…」
「わるい! 興味ないわ!」

孝介はおちゃらけたように、頭を下げた。



部員募集!4に続く








僕は改めて、紫藤千秋をまじまじと見つめた。
「しばらく見ない間に…」
「なによ」
「ますます、女の子になってるね千秋」
「だから、あんたも似たようなもんだって。天然か養殖かの違いだけで」
そう言って千秋は笑いながらぺろりと下を出してみせた。

千秋はお父さんが歌舞伎の女形。
お母さんが元グラビアモデル。
当然というべきか、容姿にも恵まれて女の子のファンも多かったけれど
高校に入ってから自分の心に正直になったそうだ。

今ではすっかりこのキャラクターが定着している。

「ほんと、うらやましいなぁ。真琴は小さいし細いし…」

僕は千秋に見つめられるといつもドキリと心臓が鳴る。
流し目が妙に色っぽいのだ。
まさに女形のような独特、男にしか出せない色気のような…。


「で、何の用なのよ?」
放心していた僕は、千秋の声で我に返った。
「ああ、そうだった。あのさ、今日、一緒に練習しようよ。久しぶりに」

当たり前の会話のように言ったつもりだったけれど
僕の声はやっぱり不自然だった。
千秋は笑顔は崩さなかったが、ため息をついて
「そんな環境じゃないでしょ」
と言った。

「3年生も全員辞めたって聞いたけど? もう真琴ちゃんだけなんでしょ?」
「ううん。ひとり入ってくれたんだ。新入部員」
「あら、良かったわね」
「その人がすごく、良い人で、初心者なんだけど、みんなでバスケやるの楽しみにしててさ…だから…、だからね」

僕は千秋に向かって頭を下げた。

「みんなでもう一度、やり直したいんだ」

千秋は、じっと僕の目を見つめるともう一度小さくため息をついた。

「うん…って言ってあげたいけど…ごめんなさいね」
「…」

予想していたとはいえ、やっぱりショックな言葉だった。
千秋なら、笑って頷いてくれるかもという期待もあったから。

「一年生達のことは確かに最悪だったけど、それと同時にわかったの
アタシはそんなにバスケットが好きじゃなかったんだな…って」
「そんなことないよ!千秋は練習だってちゃんと…」
「本当に好きなら、あんなことくらいで行かなくなったりしないわ。真琴ちゃんみたいに耐えたと思う」
「……でも、」

千秋の長い人差し指が、僕の唇の前にたてられた。
「だから、ちょっと考えさせてね…」


「千秋ちゃーん。家庭科部いこうよー」

廊下から女子達が千秋を呼ぶ声がした。
その声に
「ごめ~ん。先に行ってて~♪」
と答える千秋。

「家庭科部入ったの?」
と口を尖らせた僕をなだめる様に
「悲しい顔しないで。見学くらいなら行ってあげるから」
と手を合わせた。

別れ際に、千秋が僕を振り返って聞いた。
「あなた、孝介ちゃんのところにもいくつもり?」
「…うん。どこにいるか知ってる?」
「多分、音楽室にいるわね」
「なんで?」
「バンドやってるのよアイツ 今」
「バ、バンド!?」

もう1人の二年生
浅黄孝介(あさぎこうすけ)の現状に
僕は驚いて聞き返した。

そんな僕を見て千秋はクスクスと笑った。
「孝介ちゃんは…アタシより手強いわよ」

てっちゃんには悪いけれど、
僕はまたしても弱気な思いが沸き上がってくるのを感じていた。





部員募集! 3 へ続く







インセプション



虹色コート-インセプション


友人の勧めもあって観てきました。
すっごく面白かったけど頭の横側が…痛くなった。
普段から頭を使っていないと見終わった後にぐったりするかもしれません。

ディカプリオも渡辺謙も渋かったけれど、
主人公の相棒役(画像では左から3人目)
ジョセフ ゴードン レヴィットなる役者さんが終始カッコ良かったなぁ。

知的で、冷静
緊急時にも動じないって 最強です。



話は変わるけれど、最近映画やドラマの感動が長続きしないような気がします。
「アリスインワンダーランド」や、先日テレビで見た「サマーウォーズ」も 見終わった直後は興奮しているのに
数分後にはもう忘れてる。
インセプションの感動も帰りの電車ではすっかり冷めていました。

昔はジブリ映画とか、タイタニックとか、とにかく面白い映画を観ると
数日間は頭の中から離れなかったのに…。年なんでしょうかね。

同じ映画を何回も観に行く人ってたまにいるけれど
少しうらやましくも思うのです。