以前の記事で、スーパーマーケットバイヤーの仕事の一つ、商談と商品選定について紹介しました。
今回は、バイヤーの仕事の一つである販売計画の策定について紹介していきます。
バイヤーを目指したい、どんな仕事か興味あるという方は、ぜひ読んでみてくださいね。
それではどうぞ!
スーパーマーケットのバイヤーが担当する販売計画の策定は、商品の調達から売上戦略まで幅広い責務を担う中で、最も重要な仕事だとわたしは考えています。
バイヤーはどのようにして年間、月間、週間の売上計画を策定し、お店の売上アップに貢献しているのでしょうか?
今回は、スーパーマーケットバイヤーが行う販売計画の策定について紹介していきますね。
販売計画の策定方法
スーパーマーケットバイヤーが行う販売計画の策定は、どのようにして行われているのでしょうか?
ここからは、わたしがバイヤー時代に実際に行っていた策定方法になります。
会社によってやり方や考え方が一部違うところもあるかと思いますが、将来バイヤーを目指す方はぜひ参考にしてみてくださいね。
1.過去の実績の確認・分析
バイヤーはまず、過去の販売実績を詳しく分析します。
販売計画の策定は、前年の同じ時期や過去数年間のデータを検討し、売上の傾向とパターンを把握するところから始まります。
バイヤーがこれまで自社が積み上げてきた「これまでの実績データ」を確認し分析できていないと、外部からデータを貰っても有効活用できませんからね。
まずは自社が持っている、これまで積み上げてきたデータを確認・分析し、「自社にとってどんなデータが必要なのか」を理解してこそ、正しい販売計画を作ることができるんですよ。
最新トレンドの調査
自社の過去データを分析し、自社にとって必要なデータを理解できたら、次は最新のトレンド情報を入手します。
各食品メーカーの新商品情報やCM、最近ではYouTubeでの商品紹介など、幅広い視点から情報を集めます。
なぜ最新のトレンド情報が必要なのか?
それは日々変化する「お客様のニーズ」を把握するためです。
毎年同じ商品ばかり販売していては、いつかお客様は
「このお店、いつも同じ商品しか置いてない」
「YouTubeで話題の商品が買えなかった」
など、来店されたお客様をガッカリさせてしまう結果となってしまいます。
毎年売れている定番商品を販売することも大切ですが、トレンドを把握し、お客様の最新ニーズに合致する商品を販売計画に盛り込むことは、お客様を飽きさせないためには必須条件なんですね。
メーカーからの情報
最新のトレンド情報を集め、お客様のニーズを把握したら、最後はメーカーさんから情報を集めます。
メーカーさんから集める情報は過去の出荷実績データはもちろん、新商品のリリース情報、値上げなどによる卸価格の変動、CMなど販促情報、在庫状況などが含まれます。
自社の販売データがあるのに、なぜメーカーさんから出荷実績のデータを貰うのか?
それは自社の持っている情報だけでは、データに偏りがある可能性があるから。
幅広い判断材料を必要とするバイヤーの仕事は、偏った情報だけで販売計画を決定するわけにはいきません。
そのためにも、メーカーさんの持つ出荷実績のデータは必要なんですね。
またメーカーさんからの情報は、お店での販売価格や品揃えに大きな影響を与えます。
最近の値上げなどで卸売り価格が上昇している商品などは、別の商品に切り替えるなどの判断が必要となる場合もあります。
多方面からデータを確認し、正しい販売計画の策定を行うことがバイヤーの責務ですよ。
販売計画の策定事例
ここからは、わたしが食品部門(レトルトカレーやタレ、カップラーメンなど)バイヤー時代、実際に行っていた販売計画策定事例をいくつか紹介します。
スーパーマーケットに勤めていない人でもわかりやすい、代表的なケースです。
季節ごとの戦略
春夏秋冬の季節に応じて、バイヤーは販売計画を策定します。
例えば、夏季にはや焼き肉のタレや素麺の販売を増やし、冬季には鍋つゆや袋ラーメンを重点的に販売します。
ここでバイヤーにとって大切なのは、「季節商品を何月から販売強化するか」です。
真夏の暑い時期に素麺が売れるのは当たり前。
暑くなってから素麺を販売強化するのではなく、少し暑くなり始める頃から販売をしていかなければ、予定していた売上を達成することは難しくなります。
ですが反対に、あまりに早すぎれば「本来その時期に売れていた商品」を販売するチャンスを逃す可能性もあります。
この絶妙なタイミングを、過去の数字やお客様ニーズ、メーカーさんからの情報などから分析し、販売計画を策定していくんですね。
みなさんがお店に来店された際、「もうそんな季節か〜」と季節感を感じることができるのは、陰ながらお店を支えているバイヤーの努力があるからなんですよ。
イベントプロモーション
バレンタインデーやクリスマスなどの特別なイベントに向けて、バイヤーは特別な販売計画を策定します。
セール価格の設定や時期限定商品の導入タイミングなど、一時的なイベントでも決めなければならないことはたくさんあります。
以前は大きなイベントといえば年末年始、節分、バレンタイン、ゴールデンウィーク、土用の丑の日、夏休み、クリスマスぐらいでしたが、最近ではハロウィンやブラックフライデーなど多くのイベントに対応しなければなりません。
このイベントごとにバイヤーは「どの商品」を「どんなタイミング」で販売していくか、一つずつ計画していくんですね。
地域別戦略
一部の商品は地域ごとにお客様のニーズが大きく変わります。
代表的なのは、お正月のお雑煮ですね。
香川では白味噌に餡餅をいれたお雑煮を食べますので、年末には白味噌の需要が上がります
ですかお隣の愛媛や徳島になると、香川に接した一部地域を除き白味噌の需要はほとんどありません。
バイヤーは手元にある情報を分析し、地域の文化やお客様の嗜好に合わせて、各店舗に適切な商品ラインナップしなければいけないんですね。
スーパーマーケットのバイヤーが行う販売計画の策定は、会社の成功とお店の繁盛に不可欠です。
バイヤーが過去のデータやトレンド情報、メーカーさんとの連携を駆使し、緻密な計画を立てているからこそ、お客様に喜ばれる商品を提供することができているんですね。
最後までお読みいただきありがとうございます!
他にもバイヤーの仕事について書いた記事がありますので、そちらもぜひ読んでくださいね。