今回も 厚生労働本 の予算のつづきです。

 

 

総額は

 32兆9777億4991万7000円 です。

 

 

予算の内訳はこんな感じ。

 

 

 

 

 

 

今回は、感染症対策費の項目から。

 

  • 感染症対策費 1536億3009万4000円

感染症にかかわる支出です。

コロナだけではありません。

 

たとえば、結核についての支出。

結核医療費補助金 3億3314万4000円

結核医療費負担金 28億7821万7000円

”結核” は、いまでも患者がでている感染症です。

2022年に、新たに結核患者として登録された人数は、1万0235人。

年間1600人以上が命を落としています。

進行すると、咳やくしゃみによって周りの人への感染リスクが高くなることから、早期発見・早期治療が重要。

治療ですが、入院隔離が必要な方は半分程度です。

他は、外来で治療が可能。

入院隔離が必要な方の場合、入院期間はたいてい1〜3か月になります。

しかし、治療期間は6ヶ月以上と長くかかります。

結核の治療は、基本的に自己負担のほぼ全額が公費負担となります(高額所得者は一部負担あり)。

詳細は、各市町村で確認してください。

補助金のほうは医療費、負担金のほうは入院費の支出になります。

 

 (図は厚生労働省からの引用です)

 

結核療養諸費補助金 42万2000円

沖縄県の結核患者の県外委託治療についての支出です。

 

入国前結核スクリーニング精度管理事業委託費 1億0040万3000円

上のポスターにもありますが、結核罹患率の高い国の出生者が、日本滞在時に結核を発症する例が増えています。

そのため、在留中に診断された結核患者数の多い国の国籍を有し、中長期在留者として日本に入国・在留しようとする方を対象に、入国前(査証の発給前)に、結核のスクリーニングを実施しようという取組みです。

対象国は、ベトナム、フィリピン、中国、インドネシア、ネパール、ミャンマーです。

ちなみに2023年10月現在、まだ実施されてはいません。

 

結核研究所 補助金 4億6119万7000円

政府開発援助 結核研究所 補助金 1700万7000円

結核を中心に、肺がん、その他の呼吸器疾患の予防事業、調査研究、国際協力を実施している公益財団法人です。

総裁は、秋篠宮妃紀子殿下。

所在地 : 東京都清瀬市松山3-1-24

HPはこちら。

 

 

 

結核については、”複十字シール運動” という活動が実施されています。

 (図は結核予防会からの引用です)

イメージキャラクターは、”シールぼうや” 。

 

 

 

 

つづけて、新型インフルエンザについての支出。

新型インフルエンザ等対策事業費負担金 4500万円

新型インフルエンザが発生した場合、予防接種や、臨時の医療施設における医療の提供にかかわる経費などを補助します。

ちょっとおもしろい資料がありましたので、ご参考までに。

 (図は厚生労働省からの引用です)

ここ数年発生していませんので予算執行はありませんが、いつ起きてもおかしくないため、予算は確保されています。

 

新型インフルエンザについては、政府広報に専用ページがありますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

新型インフルエンザ予防接種健康被害給付金 7692万4000円

新型インフルエンザワクチンの予防接種による、健康被害者への給付金です。

 

抗インフルエンザウイルス薬買上費 48億3086万5000円

新型インフルエンザワクチンの被害想定では、全人口の25%がかかると想定されています。

そのため、予防投与や季節性インフルエンザが同時に流行した場合も想定して、4500万人分を目標として、抗インフルエンザウイルス薬を備蓄することにしています。

抗インフルエンザウイルス薬とは、代表的なものとしてタミフルやリレンザなど。

この備蓄目標から、流通備蓄分の1000万人分を除き、国と都道府県で均等に備蓄する計画です。

 

 (図は厚生労働省からの引用です)

 

医薬品製剤化等業務庁費 4億3074万4000円

国が備蓄している、

抗インフルエンザウイルス薬のうち、期限が切れたものの廃棄

プレパンデミックワクチンのうち、期限が切れたものの廃棄

プレパンデミックワクチンの一部の製剤化

 にかかる費用です。

 

抗インフルエンザウイルス薬保管料 1億1197万4000円

プレパンデミックワクチン保管料 1246万7000円

国が備蓄している抗インフルエンザウイルス薬と、ワクチンの保管にかかる費用です。

 

 

 

 

エイズについての取組み。

エイズ予防対策事業委託費 2億5712万7000円

・HIV感染者の相談窓口の運営、大都市における検査・相談体制の充実や、患者支援など
・総合的な医療提供体制を確保するために、エイズ治療拠点病院を中心とする医療従事者への実務研修や診療情報網の強化など

・国際的な連携

・エイズに対する関心と理解を深めるための、普及啓発活動

・HIV感染症やエイズ患者の在宅医療、介護の環境整備

 に支出されます。

 

 

 

 

新型コロナウイルスについての取組み。

新型コロナウイルス感染症治療薬候補等保管料 1731万2000円

 

新型コロナウイルス感染症収束を見据えた感染症対策強化事業委託費 1億3545万1000円

2つの項目があります。

・新型コロナウイルス感染症が他の感染症におよぼした影響について、医療機関や保健所に調査を実施します。

そこから感染症対策の現状の把握と評価を行い、包括的な見直し・強化を行うための支出です。
・国際的な感染症の危機管理に対応できる専門人材を育成するための研修を実施し、人材の管理を行います。

 

新型コロナウイルス予防接種健康被害給付費負担金 3億5985万9000円

新型コロナウイルスの予防接種による、健康被害者への給付金です。

 

 

 

 

B型肝炎についての取組み。

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給業務費交付金 1177億5677万2000円

昭和23年から昭和63年までの間に、集団予防接種(予防接種またはツベルクリン反応検査)などで注射器が連続使用されたことが原因で、B型肝炎ウイルスに感染した方たちがいます。

国内で、最大40万人以上とされています。

国の責任を求めて訴訟が起きましたが、平成27年3月に、国と原告との間で和解が成立しました。

その被害者への給付金になります。

 

 

 


HTLV-1についての取組み。

HTLV-1に関する普及啓発事業委託費 819万4000円

”HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)” は、成人T細胞白血病・リンパ腫、HTLV-1関連脊髄症、HTLV-1ぶどう膜炎などの疾患を引き起こす感染症です。

主な感染ルートは、母子感染(主に母乳)、性行為による感染、血液感染です。 

それ以外の日常生活では感染しません。

少し古いデータですが、2010年のデータでは、このウイルスの感染者は約108万人以上とも。

ただ発症までに期間があり、また発症しない人も多く、感染者が生涯でこの病気を発症する可能性は5%あるいはそれ以下ともいわれます。

つまり、知らずにほかの人に感染させてしまう可能性が高いということ。

そこで、この感染症についての普及啓発活動が実施されています。

詳しく知りたい方は、こちらのサイトをどうぞ。

 

 

 

 


ヒトパピローマウイルスについての取組み。

HPV相談支援体制・医療体制強化事業 1億1188万8000円

”HPV(ヒトパピローマウイルス)” は、子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマなど、多くの病気の発生にかかわるウイルスです。

特に近年、このウイルスによる若い女性の子宮頸がんへの罹患が増えています。
そこで、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、ワクチンの定期接種が行われています。

上記の支出は、

拠点となる医療機関を地域ブロックごとに選定し、地域の医療機関の診療体制を強化

医療機関、都道府県、医師会等の関係者の連携の強化

 など、十分な相談支援体制や医療体制を築くために支出されます。

 

 

 

予防接種についての取組み。

予防接種健康被害者保健福祉相談事業費補助金 1億0769万8000円

予防接種による健康被害者のアフターフォローのための取組みです。

・保健福祉相談員や、健康被害者の介護を行う家族などを対象とした講習会の実施

・予防接種についての正しい知識の啓発普及

 に補助金がでます。

”公益財団法人 予防接種リサーチセンター” に支出されます。

 

予防接種の有効性・安全性の効果測定に関するデータ収集等事業費補助金 2719万4000円

予防接種情報と診療情報を紐付けたデータがないため、始められた取組みです。

市町村が有している予防接種情報と、保険者が有している保険診療に関する情報を連結することで、予防接種の有効性・安全性を迅速に評価できるデータベースを構築しようとしています。

 

 (図は厚生労働省からの引用です)

埼玉県川口市が対象です。

 

予防接種対策費負担金 11億8651万2000円

予防接種による健康被害者に対する給付金です。

 

予防接種従事者研修等委託費 1億9959万1000円

予防接種に従事する医療者のための研修

肝炎ウイルスについての相談事業

 などに支出されます。

 

 

 

 

薬物耐性菌についての取組み。

抗菌薬確保支援事業委託費 6484万4000円

細菌の薬剤耐性による死亡者数は、今後増えることが予測されています。

しかし、耐性菌にたいする抗菌薬(抗生物質)の数は、減少傾向。

この背景には、新規抗菌薬の開発には多額の費用が必要なものの、高い薬価がつかない、使用量のコントロールなどの理由から収益性が低いことで、製薬企業の参入に高いハードルがあることがあげられています。

そこで、販売量を適正な水準にとどめることで生じる減収を、一定程度、国が補助しようという取組みです。

 

 (図は厚生労働省からの引用です)

 

AMRに関する臨床情報センター事業委託費 3億8693万9000円

”AMR:Antimicrobial Resistance” とは、上記の ”薬物耐性” のことです。

国立国際医療研究センターに、薬剤耐性に関する臨床情報を集約し、医療従事者などに向けたオンラインでの情報や研修を提供しています。

サイトはこちら。

薬物耐性あるある川柳を募集してますよ。

 

 

 

 

 

そのほか、感染症についての支出。

感染症医療費負担金 1億4770万円

結核以外の指定感染症についても、医療費が補助されます。

 

 

ワクチン等購入費 7億3168万3000円

抗毒素等買上費 7011万9000円

抗毒素等保管料 425万7000円

感染症は発生の予測ができず、なおかつその抗毒素については、製造に長期間が必要です。

そのため、ガスえそ、ジフテリアなど、感染症のワクチンを一定量備蓄するための支出です。

 

 

感染症危機管理医薬品等保管料 1800万円

感染症危機管理医薬品の保管にかかる費用です。

 

 

疾病予防対策事業費等補助金 182億0476万1000円

いくつかの項目に分かれます。

 

・感染症対策特別促進事業

感染症の予防体制の整備、結核対策、新型インフルエンザ対策、抗菌薬の適正使用についての推進モデル事業、肝炎患者の支援、肝炎治療の促進などに支出されます。

 

・特定感染症検査等事業

性感染症(クラミジア、ヘルペス、コンジローマ、梅毒、淋病、HIVなど)の検査、相談体制の整備などに支出されます。

 

・肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業

肝がん、重度肝硬変の治療研究を促進するための仕組みづくりに支出されます。

 

・予防接種事故対策事業

予防接種による健康被害が発生した時、実態を把握し、健康被害の各種給付の認定にかかわる基礎資料を得るために支出されます。

 

・予防接種センター機能推進事業

予防接種要注意者であっても安心して予防接種が受けられる体制の整備

予防接種の事前・事後の医療相談

休日・時間外の予防接種の実施

定期接種対象ワクチンの流通状況についての情報収集

 などに支出されます。

 

・ポリオ生ワクチン2次感染対策事業

ポリオの生ワクチンは、極めてまれですが、被接種者の家族などが感染して麻痺を起こす2次感染が起きます。

予防接種による健康被害は、被接種者が給付を受け取れますが、2次感染が対象外。

そのため、その救済措置としての給付金の支払いです。

ちなみに2012年から、生ワクチンは、注射による不活化ワクチンに切替えられています。

 

すべて、地方公共団体へ支出されます。

 

 

 

医療施設運営費等補助金 7億7739万2000円

”感染症指定医療機関” の運営費に補助金がでます。

結核病床は除きます。

 

感染症指定医療機関には、

”特定感染症指定医療機関”

”第一種感染症指定医療機関”

”第二種感染症指定医療機関”

 があります。

医療機関と感染症の関係を図にするとこんな感じ。

 

 (図は厚生労働省からの引用です)

 

”新感染症” とは、感染性疾病と考えられるものの、原因(病原体)が不明である「未知」の感染症をさします。

”一類感染症” は、危険性が極めて高い感染症で、エボラ出血熱やペストなど、7つの感染症が指定されています。

”二類感染症” は、危険性が高い感染症で、SARSやMERS、鳥インフルエンザなど、7つの感染症が指定されています。

ちなみに、5月8日から、新型コロナウイルス感染症は、二類から五類へ指定変更されました。

 

現在、

特定感染症指定医療機関は、4医療機関(10床)

第一種感染症指定医療機関は、56医療機関(105床)

第二種感染症指定医療機関は、感染症病床を有する指定医療機関が、348医療機関(1,742床)、結核病床を有する指定医療機関が157医療機関(2,840床)

 指定されています。

一覧をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。

 

 

 

 

感染症予防事業費等負担金 24億3272万7000円

いくつかの項目に分かれます。

 

・感染症予防事業

地方公共団体の感染症予防の取組みに、補助金がでます。

 

・感染症発生動向調査事業

国内の感染症に関する情報を迅速に収集、解析、還元するための発生動向調査に、補助金がでます。

 

・密入国検疫等事業

密入国者の検疫、検疫港以外の港などでの検疫に、補助金がでます。

 

すべて、地方公共団体へ支出されます。


 

 

感染症流行予測調査費 1億1757万2000円

定期接種の対象となっている感染症について、集団免疫の現況把握(感受性調査)、病原体検索(感染源調査)などの調査を実施しています。

それを各種の疫学資料と合わせて検討し、感染症の流行を予測する取組みです

厚生労働省、国立感染症研究所、都道府県・都道府県衛生研究所などが協力して実施しています。

興味のある方はこちらのサイトをどうぞ。

 

 

 

 

新興・再興感染症データバンク事業委託費 2億1303万6000円

新興・再興感染症に対して、病態解明の研究や、予防法・診断法・治療法の開発などを進めるための基盤として、データバンクをつくる取組みです。

・全国から生体試料や医療情報を収集、ゲノム解析の実施

・収集保管した生体試料・医療情報・ゲノム解析結果の提供

 を実施しています。

サイトはこちら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はここまで。

つづき、明日はきびしいかも。。。

すみませぬ。

 

厚生労働省のホームページのリンクを貼っておきます。

 

 

 

 

 

 

 

最後まで見ていただき、ありがとうございました。

 

ではまた。