今回も 外務省 の予算のつづきです。
外務省全体の予算はこんなかんじ。
総額は
7434億4954万3000円 です。
先回までで外務本省を見ましたので、今回は、在外公館 になります。
在外公館とは、外国にある日本の大使館、総領事館、政府代表部のことです。
在外公館がある国と外交をするための拠点になります。
大使館:
基本的に各国の首都に置かれます。
その国に対して日本を代表します。
世界の195か国にあります。
総領事館:
主要な都市に置かれます。
その地方での業務を行います。
政府代表部:
国際機関に対して日本政府を代表します。
在外公館の予算の内訳はこんな感じです。
基本的な予算項目は、外務本省と同じです。
総額は
1761億2564万7000円 です。
- 職員基本給 104億8002万6000円
- 政府開発援助職員基本給 65億4162万8000円
- 職員諸手当 276億7205万4000円
- 政府開発援助職員諸手当 172億7287万6000円
- 現地補助員給与 222億8467万1000円
- 政府開発援助現地補助員給与 139億1007万9000円
特別職員が 171人 働いています。
大使 167人
公使 4人
”大使” とは、外国に派遣されている外交官の長のことです。
自国の代表として、政府の名で発言し、約束する権限があります。
”公使” は、2番目に偉いひと。
ほかに
一般職員 3484人
現地補助員 5651人
が働いています。
職員諸手当の中には、
・特殊語学手当(54人) 444万3000円
・在外住居手当(3257人) 71億5815万7000円
・子女教育手当(1421人) 12億7422万円
といった項目も。
外務省ならではという感じですね。
- 諸謝金 93億9393万5000円
- 政府開発援助諸謝金 58億6368万5000円
たとえばこんな支出。
日本人墓地管理謝金 1151万3000円、718万6000円
世界各地に、日本人墓地があります。
第2次世界大戦やそれに関連して亡くなられた方々をまつる墓地もあれば、それ以前から日本人にゆかりのある土地にもあります。
たとえば、ニューカレドニア。
オーストラリアの東、南太平洋に浮かぶ島々で、旅行でも人気です。
1892年以降、ニッケル鉱山の労働者として移り住んだ日本人たちがいました。
1919年までに、約5600名もの日本人が移り住んだといわれています。
こんなコラムがあります。
ぜひご覧あれ。
ほかにも、ウズベキスタンのタシケント。
シベリア抑留で亡くなられた方がまつられています。
春になると美しい桜の花で埋めつくされるのだとか。
こちらのリンクもぜひどうぞ。
とても胸を打たれます。
外交の素晴らしい一面が垣間見える感じ。
- 報償費 19億円
外務本省と同じく、外交交渉に必要な経費として計上されます。
ただ使いみちが明確にされない場合もあり、信頼してもらえる組織作りは重要。
あと、”賞じゅつ金“ もこの項目に含まれます。
- 褒賞品費 141万円
- 政府開発援助褒賞品費 88万円
現地職員永年勤務者表彰
優秀公邸料理人表彰
の2種類があります。
公邸料理人については前にも触れましたが、大切な外交の手段です。
料理で外国と仲良くなるってすごいことですよね。
BS日テレで、動画もあります。
ここではインスタグラムのリンクを貼っておきますね。
https://www.instagram.com/amazingembassycooking/
- 在外職員等旅費 21億2496万5000円
- 政府開発援助在外職員等旅費 13億3916万9000円
- 赴任帰朝旅費 21億2496万5000円
- 政府開発援助赴任帰朝旅費 13億2640万円
たとえばこんな支出。
医務官巡回検診等旅費 2289万9000円、1429万3000円
健康管理休暇費 2億4246万7000円、1億5134万8000円
高地在勤者健康保護対策費 301万1000円、187万9000円
不健康地出産対策費 204万8000円、127万8000円
外交官の厚生のために必要な経費です。
日本とは医療水準が違う国も多いでしょうからね。
休暇帰国旅費 2億8097万9000円、1億7538万7000円
忌引帰国旅費 68万3000円、42万6000円
国・公賓等来日随行旅費 1701万8000円、1062万2000円
赴任帰朝旅費は、職員と家族などの赴任、帰国及び転勤にかかわる旅費になります。
外交官ならではの支出という感じです。
- 庁費 56億0254万1000円
- 政府開発援助庁費 34億9706万9000円
- 在外公館設備整備費 17億3509万7000円
- 政府開発援助在外公館設備整備費 10億8304万5000円
- 在外公館等借料 117億7351万4000円
- 政府開発援助在外公館等借料 73億4901万7000円
- 各所修繕 5億5191万6000円
- 政府開発援助各所修繕 3億4450万6000円
- 在外公館施設費 53億4889万3000円
在外公館の維持管理や運営一般に必要な経費です。
たとえばこんな支出。
光熱水料 17億6092万8000円、10億9917万円
備品購入や修繕費も含まれます。
ほかにこんな経費も。
タクシー代 2500万2000円、1560万6000円
自動車借上費 2973万4000円、1856万円
それからこんな経費も。
飲料水対策費(浄水装置) 864万5000円、539万6000円
自家発電機設置関連経費 6703万2000円、4184万1000円
大気汚染対策費(空気清浄機) 1137万1000円、709万8000円
定電圧機器設置費 341万4000円、213万2000円
なんとなく海外ならでは。
在外公館施設の国有化を推進するために施設を新築したり、不動産を購入したりする経費、既存施設の老朽化に対応する経費もあります。
不動産の購入は、在メキシコ大使館事務所と在エジプト大使館事務所のぶんです。
- 在外公館交流諸費 17億1593万8000円
- 政府開発援助在外公館交流諸費 10億7108万5000円
- 交際費 1億3354万5000円
- 政府開発援助交際費 8335万9000円
外務省だと、交際費はやっぱりたくさんかかるイメージがありますよね。
総理大臣や外務大臣などの外国訪問、天皇皇后両陛下の外国御訪問にかかわる費用も含まれます。
ほかにはたとえばこんな支出が。
日本産酒類推進関連経費 6542万6000円、4083万9000円
- 車両購入費 4億4332万9000円
- 政府開発援助車両購入費 2億7672万5000円
車もたくさん必要です。
在外公館の警備車両も含まれます。
- 医薬品等買上費 4796万7000円
- 政府開発援助医薬品等買上費 2994万1000円
こちらも外交官の福利厚生のために必要な経費。
- 公共施設等維持管理運営費 1億2718万5000円
- 政府開発援助公共施設等維持管理運営費 7938万9000円
在エジプト大使館の整備事業です。
- 無体財産権購入費 3億9222万4000円
- 政府開発援助無体財産権購入費 2億4482万6000円
在ミャンマー大使館公邸にかかわる経費です。
”無体財産” とは、”知的財産” のこと。
- 地域別外交費 10億3004万3000円
外務本省と同じく、この項目は地域別に分かれています。
まずはアジア大洋州。
アジア大洋州地域外交に必要な経費 6801万5000円
アジアはここ。
パキスタンから東の地域のことです。
大洋州はここ。
オーストラリア、ニュージーランドと太平洋の島国です。
(イラストは外務省のものです)
ちなみにですが、日本は南アジア・インド洋諸国を、戦略的に最も重要な地域と位置付けています。
「自由で開かれたインド太平洋(FOIP:Free and Open Indo-Pacific)」という外交政策です。
日本が主導している、けっこう話題の政策ですね。
政策の概要がわかる資料を貼っておきます。
つぎは北米地域。
北米地域外交に必要な経費 3億7041万9000円
北米地域は、アメリカとカナダになります。
(イラストは外務省のものです)
つぎは中南米地域。
中南米地域外交に必要な経費 3216万9000円
中南米地域はこちら。
メキシコから南の地域です。
(イラストは外務省のものです)
たとえば、
・政府開発援助在外公館交流諸費 337万7000円
今年(2023年)は、日本とペルーの外交関係樹立150周年です。
関係する事業についての経費になります。
外務省とは関係ないですが、郵便局で記念切手も売ってます。
綺麗。
つぎは欧州地域。
欧州地域外交に必要な経費 5億5012万6000円
欧州地域はこちら。
ヨーロッパと、旧ソビエト連邦の各国が含まれます。
ちなみにEUを含みますが、トルコは違います。
(イラストは外務省のものです)
たとえば、
・経済改革促進支援事業等委託費 5億1696万3000円
”日本センター” という、独立非営利法人に支払われます。
ロシア連邦の6都市(ハバロフスク、ウラジオストク、サハリン、モスクワ、サンクト・ペテルブルグ、ニジニー・ノヴゴロド)に設置されています。
日本とロシアの経済分野で活躍することが期待される人材を発掘し育成するため、様々な技術支援を実施しています。
つぎは中東地域。
中東地域外交に必要な経費 804万7000円
中東地域はこちら。
(イラストは外務省のものです)
最後にアフリカ地域。
アフリカ地域外交に必要な経費 126万7000円
アフリカ地域はこちらです。
(イラストは外務省のものです)
- 分野別外交費 8億0069万円
たとえばこんな支出。
国際の平和と安定に対する取組に必要な経費 3億4315万3000円
・国際テロ情報収集等活動費 1億3380万円
名前のとおり、国際テロの情報収集に必要な経費です。
使いみちは明らかにされません。
国際経済に関する取組に必要な経費 3億3715万5000円
東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)
環太平洋パートナーシップ経済連携協定(TPP)
など、さまざまな経済協定を推進するための経費です。
「2025年に34兆円のインフラ受注」という政府の目標もありまして、その目標達成に向けて、機能強化を図ったりもしています。
国際法の形成・発展に向けた取組に必要な経費 1億0934万8000円
・在外公館交流諸費 356万円
国際海洋法裁判所(ITLOS)の裁判官選挙において、日本への支持獲得の働きかけを行うために必要な経費です。
国際情勢に関する情報収集・分析・調査に必要な経費 1103万4000円
- 広報文化交流及報道対策費 14億2442万5000円
たとえばこんな支出。
諸謝金 2億6610万5000円
在外公館の文化事業にかんする謝金が含まれます。
たとえば、ジャパン・ボウル。
アメリカ合衆国でワシントンDC日米協会が開催している、日本語・日本文化の知識を競う大会です。
ほかには、パリ日本館の管理謝金。
フランス、パリに、”パリ国際大学都市” という施設があります。
学生や研究者の宿舎ですが、あわせて文化・学術の交流を推進することを目的としています。
日本は1929年に日本館を竣工しています。
啓発宣伝費 2億2184万6000円
”広報文化センター” がいろいろな国に設置されています。
その維持経費が含まれます。
- 領事政策費 50億5834万6000円
たとえばこんな支出。
海外子女教育費 37億1926万8000円
海外に在留する日本人の教育の充実、強化のための経費です。
校舎の借料や、施設の安全対策費なども含まれます。
海外邦人援護短期貸出金 1700万円
盗難や紛失などで所持金を失った方に、送金が届くまでの滞在費を貸し付けることも実施しています。
海外で困ったら、必ず大使館や領事館に御相談を。
緊急邦人無線整備費 5981万3000円
緊急事態が発生し、国内で、または国内外との通信が途絶えてしまう場合が、実際にあり得ます。
そういった時でも、その国に在留する日本人の安否確認や連絡体制を確保するために、緊急連絡用の無線機を配備しています。
そのための設備工事や保守、消耗品費など。
どんな時でも日本人として保護を期待できるというのは、日本の外交の成果の一つといえるかもしれません。
在外邦人用緊急備蓄 1億0612万6000円
同じく緊急事態が起きた時のため、備蓄品を公館に備えておく経費です。
在外選挙事務謝金 1233万3000円
在外選挙事務庁費 4311万7000円
外務本省の予算でもでてきましたが、在外選挙を実施するための経費です。
以上が、在外公館の予算の抜粋になります。
外務省のホームページのリンクを貼っておきますね。
最後まで見ていただき、ありがとうございました。
次回は、ちょっと気分を変えて、本の紹介でもしようかな。
ではまた。