今回は 外務省 の予算です。

 

 

 

外務省は、日本の ”外交” を担当します。

外交とは、外国との交渉や交際のこと。

 

最近、外国にばかりお金を使わないで、国内に使えというご意見もちらほら聞くのですが、果たして実際はいかほどか。

 

 

所在地は、東京都千代田区霞が関2-2-1 です。

 

 

大臣は、

 上川 陽子 さんです。(2024年9月現在)

 

 

 

予算を見てみましょう。

 

 

 

総額は

 7434億4954万3000円 です。

 

 

外務本省と、在外公館(大使館、総領事館、政府代表部)に分かれています。

 

 

 

 

外務本省の内訳はこんな感じです。

 

 

 

総額は

 5673億2389万6000円 です。

 

 

  • 職員基本給  147億1238万3000円
  • 職員諸手当  77億3336万1000円
  • 超過勤務手当  31億9086万5000円
  • 待命職員給与  1億5566万1000円
  • 非常勤職員手当  5479万2000円
  • 休職者給与  1億2105万9000円
  • 国際機関等派遣職員給与  5877万7000円
  • 短時間勤務職員給与  4億2072万9000円
  • 公務災害補償費  1億8719万9000円
  • 退職手当  40億4370万4000円
  • 児童手当  1億1520万円
  • 国家公務員共済組合負担金  92億9091万7000円
  • 基礎年金等国家公務員共済組合負担金  24億6610万3000円
  • 育児休業手当金国家公務員共済組合負担金  203万9000円

特別職員が 9人 働いています。

 大臣 1人

 副大臣 2人

 大臣政務官 3人

 大臣補佐官 1人

 2025年日本国際博覧会政府代表 1人

 秘書官 1人

 

ほかに

一般職員 2940人

待命職員 8人

非常勤職員 29人

国際機関等派遣職員 18人

短時間勤務職員 96人

  が働いています。

 

 

 

  • 報償費  10億円

外交交渉に必要な経費として計上されます。

ただ使いみちが明確にされない場合もあり、2001年にはちょっときな臭い事件もあった項目。

使いみちを明らかにできない場合があるのも分かりますが、なおのこと信頼は重要。

 

ただこの項目には、”賞じゅつ金” とよばれる見舞金も含まれます。

外交官には、外国での危険な任務もあります。

高度な危険が予測されるにもかかわらず、職務を遂行し、その結果死亡もしくは障害を負った場合、この見舞金が支給されます。 

 

 

 

  • 文化人等派遣旅費  1億8790万6000円

たとえばこんな支出。

公邸料理人派遣旅費  3694万4000円

”公邸料理人” とは、外国の日本大使館や総領事館の公邸で、外国の要人などをもてなす料理をつくる料理人たちのこと。

和食は、ある意味、日本が持つ大きな武器のひとつかもしれません。

公邸料理人のX(旧ツイッター)があります。

めっちゃウマそう。

 

https://twitter.com/mofa_japan_chef

 

 

 

  • 航空機借料  10億8702万円

たとえばこんな支出。

海外邦人退避関係費  1億4262万円

外国で緊急事態が発生した時、邦人退避のための航空機を借り上げるための経費です。

 

ほかにも、内閣総理大臣や外務大臣などが外国を訪問する際の経費が含まれます。

 

 

 

  • 土地建物借料  4730万2000円

成田分室という部署の借料です。

所在地は、千葉県成田市成田国際空港第2駐車場ビル3階 。

成田空港にあります。

お仕事は、成田国際空港での、外国要人の接遇、お出迎えやお見送りです。

 

ここの担当大使をしておられた方のコラムがありまして、けっこうおもしろいです。

リンクを貼っておきますね。

 

 

 

 

 

  • 地域別外交費  56億6101万8000円

地域別に見ていきましょう。

まずはアジア大洋州です。

経済協力に係るアジア大洋州地域外交に必要な経費  6億5316万円

アジア大洋州地域外交に必要な経費  35億4226万3000円

アジアはここ。

パキスタンから東の地域のことです。

 

大洋州はここ。

オーストラリア、ニュージーランドと太平洋の島国です。

(イラストは外務省のものです)

たとえば、

 

・東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター拠出金 2億7261万円

”東南アジア諸国連合” は、通称 ”ASEAN” とも呼ばれます。

ブルネイ

カンボジア

インドネシア

ラオス

マレーシア

ミャンマー

フィリピン

シンガポール

タイ

ベトナム

 の10か国が加盟しています。

このセンターは、1981年に設立されました。

日本とASEAN諸国間の貿易、投資、観光、交流の促進を、主な目的としています。

所在地は、東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル 1階 。

イベント会場も併設しています。

ホームページはこちら。

 

 

 

・太平洋諸島フォーラム拠出金 426万2000円

太平洋諸島フォーラムは、通称 ”PIF” とも呼ばれます。

オーストラリア

ニュージーランド

パプアニューギニア

フィジー

サモア

ソロモン諸島

バヌアツ

トンガ

ナウル

ツバル

ミクロネシア連邦

パラオ

マーシャル諸島

キリバス

クック諸島

ニウエ

仏領ポリネシア

ニューカレドニア

 の16か国と2地域が加盟しています。

日本は域外ですが、1991年から毎年、域外国対話に出席しています。

 

 

・南太平洋経済交流支援センター拠出金 5208万2000円

このセンターは、日本と先ほどでてきたPIFとにより、1996年に設立されました。

日本と太平洋諸島の貿易、投資、観光を促進することを、主な目的としています。

所在地は、東京都千代田区神田小川町3-22-14 明治大学紫紺館1階 。

ホームページはこちら。

 

 

 

・日韓学術文化青少年交流基金拠出金 6036万4000円

”日韓文化交流基金” という公益財団法人があります。

設立は、1983年です。

所在地は、東京都千代田区神田三崎町2-21-2 プライム水道橋ビル5階 。

日本と韓国の人的交流、学術・文化交流を深めるための事業を実施しています。

特に力を入れているのは、青少年交流事業。

ホームページはこちら。

 

 

 

・在サハリン韓国人支援特別基金拠出金 6950万6000円

戦前、様々な経緯でサハリンに渡った朝鮮半島出身者は、戦後、サンフランシスコ平和条約の発効によって日本国籍を喪失しました。

しかし、1990年まで旧ソ連と韓国との間に国交はなく、大部分は引揚げの機会がないまま、長期間サハリンに残留を余儀なくされました。

この”在サハリン韓国人”を支援する事業を、日韓共同で実施しています。

スタートは1989年から。

具体的には永住帰国支援(2015年度で終了)、一時帰国支援、サハリン再訪問支援などの事業になります。

 

 

・日韓産業技術協力共同事業体拠出金 1268万2000円

日本と韓国のビジネス交流、産業技術交流を目的として、財団が設立されています。

”日韓産業技術協力財団” という一般財団法人です。

韓国側にも同様の財団があり、共同で事業をしています。

1992年からスタートしました。

中小企業向けのマッチングサイトや、人材交流事業を実施しています。

所在地は、東京都千代田区有楽町一丁目7番1号 有楽町電気ビル南館3階 。

ホームページはこちら。

 

 

 

・日中韓協力事務局拠出金 1億8165万4000円

”日中韓協力事務局” という国際機関があります。

日本、中国、韓国の三国の協定に基づいて設立されています。

所在地は、韓国です。

 ソウル特別市 鍾路区 新門安路82 Sタワー20階 03185 。

三国の政府間協議に関する支援などを実施しています。

運営費の1/3ずつを、各国が負担しています。

ホームページはこちら。

 

 

 

・旧外地職員給与費 37万3000円

・旧外地特別会計承継債務払戻金 1002万1000円

太平洋戦争当時、朝鮮や台湾、樺太、関東州及び南洋群島といった”外地”に勤務していた公務員にかかわる経費です。

給与のほうは、帰還された方の未払いの給与および退職金の支給です。

 

 

・遺棄化学兵器調査事業等委託費 3億8914万5000円

内閣府の予算でもでてきた項目です。

第2次世界大戦の終結までに、中国で遺棄された化学兵器を調査するための経費です。

国際条約に基づき、日本に処理する義務があります。

繰り返しになりますが、戦争の傷跡のひとつといえるかもしれません。

 

 

・国際友好団体補助金 20億1113万5000円

1972年に日本と中国が国交を正常化した時、同時に台湾とは断交しました。

今でも日本は台湾を独立国とは認めていません。

ですので、外務省が台湾との実務を実施しているわけではありません。

かわりに、”日本台湾交流協会” という公益財団法人があります。

東京本部のほか、台北と高雄に事務所があり、在外公館の役割を果たしています。

上記は、この法人へ交付されます。

 

 

 

 

つぎは北米地域。

北米地域外交に必要な経費  2億1969万1000円

北米地域は、アメリカとカナダになります。

(イラストは外務省のものです)

たとえば、

 

・マンスフィールド研修計画 1527万4000円

”マンスフィールド研修” は、アメリカ合衆国の連邦法により、米国政府関係者が日本の政府機関等で研修を受けるプログラムです。

日本語学習と日本の中央省庁での研修を通して、日本の行政システムに詳しい知日派の米国官僚を養成しようという目的があります。

すでに188名がこの研修制度を活用しました。

上記は、この研修の日本語学習の経費となります。

主催しているマンスフィールド財団のリンクを貼っておきますね。

 

 

 

・沖縄事務所運営経費 5075万7000円

外務省にも沖縄事務所があります。

在沖縄米軍や、日米地位協定の運用についての、外務省の窓口となります。

所在地は、沖縄県那覇市久米2-2-20 大同火災久米ビル5階 。

上記には、事務所の土地建物借料などが含まれます。

 

 

 

つぎは中南米地域。

経済協力に係る中南米地域外交に必要な経費  415万8000円

中南米地域外交に必要な経費  8354万7000円

中南米地域はこちら。

メキシコから南の地域です。

(イラストは外務省のものです)

たとえば、

 

・カリブ共同体拠出金 415万8000円

”カリブ共同体” は、通称 ”CARICOM” とも呼ばれます。

アンティグア・バーブーダ

ガイアナ

グレナダ

ジャマイカ

スリナム

セントクリストファー・ネービス

セントビンセント及びグレナディーン諸島

セントルシア

ドミニカ国

トリニダード・トバゴ

ハイチ

バハマ

バルバドス

ベリーズ

英領モンセラット

 の14か国と1地域が加盟しています。

 

 

・中南米日系人を通じた対外発信強化 777万円

中南米諸国から発信力の高い日系人を招いて、日本を理解してもらうための研修や視察などを実施するための経費です。

こういう取り組みもしているんですね。

 

 

 

つぎは欧州地域。

経済協力に係る欧州地域外交に必要な経費  1億2600万円

欧州地域外交に必要な経費  6億8616万4000円

欧州地域はこちら。

ヨーロッパと、旧ソビエト連邦の各国が含まれます。

ちなみにEUを含みますが、トルコは違います。

(イラストは外務省のものです)

たとえば、

 

・ベルリン日独センター分担金 1億2600万円

”ベルリン日独センター” は、日本とドイツの交流を支援し深めることを目的とした、公益財団法人です。

所在地は、ドイツのベルリンです。

 Saargemünder Str. 2 14195 Berlin 。読めにゃい。

 

 

・原発事故後協力協定関係費 58万2000円

対象は、ウクライナとベラルーシです。

チェルノブイリ原発事故の経験があるため、福島第一原発事故の対応にあたり、事故後の対応に有益な経験や情報の共有を受けるとともに、中・長期的な共同研究や協力関係の可能性を模索するための経費です。

なるほど。

 

 

・北方領土対策事業費補助金 3732万9000円

内閣府の予算でも見ましたが、”北方領土” の問題は、日本とロシアの間にある大きな問題です。

日本は、この北方領土の問題を解決して、ロシアと平和条約を締結するという基本方針で交渉をしています。

ただ残念ながら、ロシアのウクライナ侵略を受けて、交渉はストップしている模様。

領土問題はそんな簡単な問題ではないと思いますが、早く解決したいものです。

上記は、”北方領土復帰期成同盟” という公益社団法人へ交付されます。

第2次世界大戦後まもなく、根室で進められた返還要求運動がもとになっている団体です。

所在地は、札幌市中央区北1条西3丁目3番地 敷島プラザビル 3階 。

ホームページはこちら。

 

 

 

・「中央アジア+日本」SOM会合本邦開催費 390万3000円

中央アジアとは、

ウズベキスタン

カザフスタン

キルギス

タジキスタン

トルクメニスタン

 といった国を指します。

対話や協力の枠組みとして、継続的に会合が実施されています。

 

 

 

つぎは中東地域。

経済協力に係る中東地域外交に必要な経費  5780万1000円

中東地域外交に必要な経費  1億2558万8000円

中東地域はこちら。

(イラストは外務省のものです)

たとえば、

 

・国際連合開発計画拠出金 5780万1000円

”国際連合開発計画” は、通称 ”UNDP” とも呼ばれます。

貧困の根絶や不平等の是正、持続可能な開発を促進する国連の主要な開発支援機関です。

日本はこの機関に、上記の金額を「日本・パレスチナ開発基金」として拠出しています。

2006年、当時の小泉純一郎総理大臣がパレスチナを訪問した際に、「平和と繁栄の回廊」という構想を提唱しました。

パレスチナの経済的自立を促す中長期的取組です。

主な事業として、ジェリコ市郊外に農産加工団地を建設する計画が進んでいます。

 

 

・ガザ教員招へい 781万5000円

パレスチナのガザ地区では、パレスチナ武装勢力とイスラエルとの間での武力衝突と停戦が繰り返されており、人道的にいまだに厳しい状況です。

そこで日本は、ガザ地区から小中学校の教員を招き、平和教育や道徳、情操教育の重要性を伝え、その経験や成果をガザの教育現場を通じてガザの子どもたちに還元してもらおうという取り組みをしています。

2019年に第1回が実施されましたが、コロナ禍で実施が見送られており、今年が2回目です。

これも面白い取り組みですね。

 

 

・多国籍部隊・監視団拠出金 325万8000円

”多国籍部隊・監視団” は、通称 ”MFO” とも呼ばれます。

内閣府のPKOの予算で見た、シナイ半島国際平和協⼒業務への拠出金になります。

日本は1988年度から2022年度までの累計で、約3081万ドル(約33.8億円)を拠出してきました。

 

 

・中東淡水化研究センター拠出金 219万7000円

オマーンに中東淡水化研究センター(MEDRC)が設立されています。

中東での水問題は、死活的に重要な問題。

センターのホームページのリンクをのせておきますね。

英語だけど。

 

 

 

 

最後にアフリカ地域。

経済協力に係るアフリカ地域外交に必要な経費  7169万2000円

アフリカ地域外交に必要な経費  9095万4000円

アフリカ地域はこちらです。

(イラストは外務省のものです)

たとえば、

 

・国際連合開発計画拠出金 5799万2000円

中東の場合と同じく、”国際連合開発計画(UNDP)” に拠出されます。

日本は、UNDP、国連、世界銀行およびアフリカ連合委員会と共同で、 ”TICAD(アフリカ開発会議)"を開催しています。

TICADは、”Tokyo International Conference on African Development” の略。

Tokyoとあることからわかるとおり、日本が主導しています。

1993年から始まりました。

直近では2022年に第8回が、チュニジアで開催され、アフリカ48か国が参加しました。

上記の金額は、UNPDのTICAD部局に拠出されます。

 

 

・アフリカ連合拠出金 1370万円(10万ドル)

”アフリカ連合” は、通称 ”AU” とも呼ばれます。

アフリカのすべての国と地域が加盟している、世界最大級の地域機関です。

本部はエチオピアのアディスアベバにあります。

上記の金額は、AU平和基金に拠出され、紛争予防や解決を支援する目的で拠出されます。

リンクを貼っておきますね。

英語だけど。

https://au.int/

 

 

・国際連合開発計画拠出金 6165万円

こちらも”国際連合開発計画(UNDP)” に拠出されますが、目的がまた別です。

こちらはアフリカにあるPKO訓練センターのために拠出されます。

アフリカ諸国出身の平和維持要員の訓練を実施しています。

これまで2008年から、13か所のPKO訓練センターに、総額約3660万ドルの支援を実施してきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

まだまだ続くんですが、とりあえずここまで。

明日またつづきを投稿します。

 

外務省のホームページのリンクを貼っておきますね。

 

 

 

 

最後まで見ていただき、ありがとうございました。

 

ではまた。