先日、ご依頼品相談のあった方の
制作依頼を検討されている建物の
現地取材に行きました。

取材日の翌日には解体工事がスタートする
築80年の、亡きお祖父様の家。
隣に建つ、ご依頼主が生まれ育った家も
一緒に解体してしまうそうです。


まだ充分に住めそうな立派な家。





お祖父様お祖母様が長く
暮らしていらっしゃったという家は
今のプレカットで建てられた
規格品みたいな家と違い
大工さんの腕で丁寧に作られたのでしょう。
言葉で簡単に言い表せられない
何とも言えない趣きがありました。




​お庭の池





解体工事を控えて水は抜かれていましたが
お庭には立派な池。
ご家族が住まれていた頃
この広くて立派なお庭では
どんな家族風景があったのかなぁ?

まだご契約頂けるかは検討中ですが
何かの形で残したい!
という思いは強いみたいです。





東京23区内となると
若い世代には大きな家屋敷の維持管理は
大変過ぎて泣く泣く処分
というのは少なくないお話。

悔しいだろうなぁ
さみしいだろうなぁ
申し訳なさもあるだろうなぁ

私はご依頼主のそういう思いを受け止めて
精一杯、心を込めて
大切な思い出を再現することしか出来ない。

けど、この仕事の根底にある願いは

「これだけ寂しい思いをされる方が
いるのだから、
味わいのある古い建物に価値を認めて
安心して次世代へ受け継いでいけるような
仕組みが出来て欲しい。
その為にも、こういうご依頼にまつわる
エピソードを広く公開して、
皆で一緒に考えていく
きっかけになって欲しい」

というところにあります。

解体してしまったら
そこにあった歴史や時間は
二度と戻らない。
同じものを再現しても
それはもう同じものじゃない。

でも解体処分する持ち主さんには
何も罪はない。
とても複雑な気持ちを抱えてらっしゃる。
こういう寂しいことが
少しでも減ればいいのにね。

私の思い出を残すミニチュア制作では
納品の時、9割近い方が
作品を見るなり涙を流されます。
私の作品でほんのちょっとでも
心が慰められるのなら嬉しい。
でも、同時に
(こんなに泣くほど、寂しかったんだなぁ)
と複雑な気持ちになる。




現在制作中の作品も
その次に控えている作品も
同じようなご事情のご依頼品です。

複雑な思いはあるけれど
私にしか出来ないことだと思ってるから
今回のご相談についても
成約となったら
いっぱい家族の思い出エピソードを
インタビューさせて頂いて
温かみのある優しい作品にしていこう
と思っています。




ミニチュアドールハウスRUNA

http://dollhouse-runa.com/



東京八王子・JR高尾駅から徒歩約5分の所に

私の作品展示販売ギャラリー併設の工房が

あります。

AM11:0018:00 

木曜日定休(他に臨時休業あり)

お気軽にお立ち寄りくださいね。