ローズが残していってくれた、息子・まろん。

もっと一緒の時間を過ごしたかった。

 

まろんが生まれたのは、2001年4月29日の「緑の日」。

桜が散っていた。

祭日で寝坊した私は、何故たくさんの赤ちゃんがいたのか

分らなかった。ローズなんてまだまだ子供だと思っていたから。

6羽生まれた兄弟も次々、月に帰ってしまって

唯一元気なまろんをローズは大事に大事に育てた。

目の開いていないネズミみたいだった。

でも、今のまろんの顔つきをしていた。

最初は真っ白で、薄茶になってきて小さな栗みたいで・・・

 

ローズ、ごめんね。まろんを長生きさせてあげられなかった。

許してくれる?もうローズの所だよね?

 

 幼少時のまろん

 

まろんとキャロルは、仲がいい夫婦だったね。

キャロルは向こうを向いたきり、水切り籠にも

入ろうとしないよ。

あそこは、まろんがいるから入りたい場所だったんだね。

まろんが具合の悪いときは、ちゃんと水切り籠を譲って

外からなめたりしていた。

また、一緒に入って温め合ったりしていた。

 


いつも後悔する。何故、もっと時間を作らなかった。

まろんは苦しかったんだよ。いつも、季節の変わり目・・・冬の寒さとか春になるときには

決まって体調を崩すけれど、すぐ元気になってくれるから、つい油断していた。

 

月曜、出勤は絶対だった。金曜に資金繰りでもめて・・・

決算はあるし、支払いはあるし、休みに社長から電話はあるし・・・母に頼んでみたが、母も経理で休みも遅刻も出来ない

といわれた。

 

あの日の朝、バッグを持った私をまろんは座ったまま

じっと見ていた。「行かないで」

「この苦しさを何とかして」「病院へ連れていって」

 

そう訴えていたのかも知れない。

 

黒い目でじっとこっちを見ていた、あの目を思い出す。

焼きついている。

 

帰って、まろんのところに走り寄ってケージの扉を開けると

まろんは、それまで手を伸ばして腹ばいになっていたのに

何故か外へ飛び出してきた。

いつもはそんなことないのに。でも、それ以上は走れなかった。

布団に寄りかかるようにして、私がキャリーを出して病院へ連れて行くまで、そのまま待っていた。

 

まろんは、土曜は元気そのもの。走って脱走するわ、

キャロルのおやつは全部一口で食べてしまうわで。

 

でも、この頃からあの小さな毛玉はまろんに詰まってしまって

いたんだ。胃から腸への管をふさいでしまっていた。

日曜の朝も元気に食べた。

牧草が大好きだった。その牧草が発酵して

日曜の夜中あたりには胃はパンパンになってしまったんだね。

まろんは換毛じゃかなった。キャロルをなめていた。

キャロルだって、もう換毛は殆ど終わっていたんだ。

キャロルへの優しさが、仇になってしまった。

 

 

まろんの手術を見た。開腹されて、腸とか胃とか・・・

そこらじゅう緑色の液体が胃からもれていた。

胃はパンパンに膨れ、ちょっと押すと風船みたいに

割れそうだった。

どんなに苦しかっただろう。口から管を入れられ、

上を向いて一生懸命に小さな口をあけて生きようと

頑張っていた。

 

手術1時間。内臓は綺麗になって、胃も小さくなって、

いらないものは全部除去されて・・・

すっかり楽になったのに、まろんには麻酔から覚める体力が

残っていなかった。

麻酔で眠ってから、そのまま虹の橋に旅立ってしまった。

病んだのは、二日程度。

急だった。ウサギの病気はいつも急変・・・

 

綺麗で可愛くて、安らかな顔をしていた。起き上がって、

飛び出して行きそうだった。

ダメだよ、まろん。お父さん(ぴゅあ)よりも先に逝って

しまうなんて。

 

まろんが帰宅すると、やはりうさぎたちは一斉にこちらを見た。他のうさぎを抱っこしようものなら、普段なら牧草くわえて

これ見よがしにグルグル走り回るチビボビーもただじっと見ていた。くりむが一番神妙な顔をしていた。

 

 

火葬の前に・・・

 

みんなに「さよなら」の挨拶をした。

いつもはライバル視してる、チビボビーもくりむも、

目つきが違うと思いませんか?

優しい、本当に送るような目をして、みんな同じように

舐めてる・・・

奥さんだったキャロルは、最初は固まったように

なってしまって、広すぎる部屋につけてあげた

トイレから出てきませんでした。

 

  くりむ、つきあいは短かったけどさよなら言ってくれるよね

 

     チビボビー、よく喧嘩したけどお別れだよ.

 

    まろん、お父さんだよ。優しいお父さんじゃない

 

       キャロル、寂しいよね・・・

 

まろん、前は甘ったれのくせに私には凶暴な子だった。

掃除が怖かった。小さい頃、若い頃はすぐに噛んだ。

多分、ずっと残るであろう傷が手首に残っている。

今となっては消えないで欲しい。

まろんと一緒に過ごしたってことの証拠だから。

まろんは一人暮らしが長かった。なかなか女の子に

気に入られない。

キャロルがぴゅあとうまくいかなくなり、会わせてみると

すぐに仲良くなった。

息子に嫁さんを取られたお父さんのぴゅあは、

心配そうにキャロルを見ていたけど

ぴゅあも幼馴染で、チャーを亡くしたばかりのグレーと

落ち着いた。

伴侶が出来てからは、本当に優しい甘ったれのヤキモチ焼き

うさぎになり二度と「噛む」なんてことはしなかった。

それからのまろん&キャロル夫妻は、悔しくなる位の仲良し夫婦だった。

キャロルの方が行動的で、ケージから出るときも、まずキャロルが走って出ていってしまって、

それをじっと見ていて何事も無いとついていく・・・

そんなまろんだった。

寝る時も

 

遊びに行くのも

 

相談?

 

いたずら

 

通院もいつも一緒

 

度胸が無い。病院へ行くと、必ず死んだフリをして

出てこなかった。

精一杯の演技だったよ、まろん。可愛かった。

寝るのも一緒  食べるのも一緒 相談するのも一緒 

たまに喧嘩もしたけど、とにかく何でも一緒。

 

チビボビーが来てから、ヤキモチ焼きが二人になった。

上下にいる。まろんは「子守唄」が好きだった。

一人っ子のせいか、大きな子供みたいで

キャロルに甘えていたね。

「う~さぎうさぎ まろんちゃんはうさぎ ローズが大事に育ててくれました」

なんて、背中を軽く叩きながら歌うと、安心して寝てしまう。

 

いつも考える。

私じゃなくて、もっといい家庭があったんじゃないか。

日本にどれだけの「うさぎ飼い」がいるだろう。

その中の、私のところという場所で生まれて育って・・・

うちだから、こんな旅立ち方をしてしまったんじゃないか?

他の家で生まれていたら、もっと楽しくてもっと

長生きできたんじゃないか?

 

 

 

夜中にお線香をたきながら、ずっと冷たくなったまろんを

抱いていた。まろんは抱っこも好きだった。

もっともっと抱っこしてあげれば良かったのに。

まろんは、もう動かない目でこっちをずっと見上げていた。

見えていたの?

 

まろん、何か言いたかった?幸せだった?

どんな形でもいいから教えてよ。

虹の橋に着いて、忙しくなる前に・・・

 

キャロルは今もこんな感じで元気が無いよ。

 

お骨になっていつもの水切り籠に戻ってきたまろん。

喉仏もしっかりしていて、「成仏してます」と言われました。

 

まろん、今ごろは親子でお話してるの?

ローズ、ごめんね。まろんをよろしくね

 

最後の写真も

  二人でぎっしりだったね

 

 

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当時の日記より

 

まろん、また不調  

2006.02.27.Mon / 01:22 

土曜の夜は走り回っていた。ちょっとしたスキを見て

ケージから出たりして。
日曜は昼は寝ていた。いつもそうだから気づかなかったのか?
風呂は相変わらずなので、サウナに行って帰ってくると

元気が無い。食べない。大好物のおやつもりんごも。。。

あったかくして、今朝見てもダメ。
休めない。遅刻も無理。これからが一番大変なとき。

金曜はひどい一日だったし。
まろん、待ってて。急いで帰るから病院へ行こう。。。
ごめんね、まろん。。。頑張って。。。

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急いで家に帰りました。まろんは待っていてくれました。
キャリーを出している間も、私の布団の上で腹ばいになって

しまって。でも耳はピンっと立っていて、一生懸命に立ち上が

ろうと元気な目を見せます。

でも、、、、ダメでした。頑張って待っていてくれたけど。
1時間の緊急手術になって。。。
病院に着いたときは、体も冷えてきていたので体力が無かったのでしょう。
綺麗に手術は終わって、成功だったんですが、まろんは麻酔から醒める体力が残っていなかったみたいです。

胃から腸につながる管に、1センチちょっとの大きさの毛玉が何かの拍子で詰まってしまいました。毛球症とか、ちょっとずつ毛玉が溜まってく感じでは無く、
一度にスッとそこに詰まってしまい、胃が風船みたいに膨れていました。
少しずつ溜まっていったのなら、お腹を開けたときにひどい匂いがするそうです。
少し、捻転をおこしていて胃の中の液体が体の中にこぼれて

いました。
それも全部綺麗に取って、胃も小さくなったけど。。。
まろんは帰ってきませんでした。
牧草をいつもモグモグやってるような子でした。
その牧草が発酵して、詰まった胃を急激に膨らませて

しまったそうです。

まろんはいつも突然・・・。
生まれたのも、ケージから飛び出してくるのも、キャロルと

仲良くなったのもそして、虹の橋に旅立ってしまうのも・・・

 

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あの日は、飲みのお誘いがあった。

うさぎが死んでどうにもならないから来れないとマスター

に話したらしく、店の常連とかマスターはみんな、

まろんのことを聞いてきた。

で、ボトルを取ろうとしたとき。。。
ボトルには、私が名前とうさぎのイラストを書いておいたのだが
そのうさぎのイラストの目のところから雫がたれている。
涙みたいに。
マスターが驚いていた。
「びっくりしたよ、取ろうと思ったらちょうどこのうさぎの目から涙みたいなのが 出て来てるんだもん」って。
蒸気とか、そんなものなんだろうけど・・・
まろん、何が言いたかったの?

 

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まろんが夢に・・・ 

2006.03.16.Thu / 01:00 

昨日、キャロル&くりむと遊んでいるときから

キャロルが変だった。
あらぬ方をじっと見て、何回も「足ダン!」を繰り返す。
くりむはキャロルとは一緒にいなくて、仏壇前のみんなの

お骨が置いてあるテーブルの下にもぐって出て来ないし。

で、寝てからまろんが夢に出てきた。
亡くなった祖父母も出てきて、一緒にまろんと遊んでいる。

「まろんはすごいよね。一回死んで、冷たく硬くなって氷で冷やしたりしてたのに、ちょっと人工呼吸してもらっただけで

またこんなに元気になって。本当に火葬になんてしなくて

良かったね」

あったかいフワフワのまろんを囲んで話している。

まろんは、キャロルに怒ってるの?
まだまだ一緒にいて元気に遊んでいたかったんだよね。。。