続き。

 

部屋に入る。

すると、マンガを読んでいた。

 

ホッとし、少し話した。

「なんで学校休むん?」

「ゲームしたいから」

「学校終わってからじゃアカンの?」

「……」

 

 

 

そうして、話している間に、近くにカッターが落ちている

事に気づいた。

話しながら、手首をさりげなく確認する。

長女も隠しているのか中々、手首を見せない仕草をしている。

そして、見えた。

 

 

 

手首に赤い筋。

 

 

 

遅かった…。

 

 

 

それに気づいた瞬間、母の言葉が蘇ってきた。

「あんたの子どもが同じことしとったら、どう思うよ!?」

今なら、わかる。

 

 

 

 

「長女……お願いやから、自分のこと傷つけんといて…」

後悔と悲しみで、泣きながら話した。

 

長女が、どんな顔をしていたか、わからない。

 

ただ、必死にお願いした。

 

 

 

ひとしきり、泣いて話して、落ち着いた後

下りてきて、旦那に事の顛末を話した。

 

 

何十分話しただろうか…

頭に入ってきたのは、ほんの少しの言葉だけ。

 

 

「切らせないなら、刃物類を全部隠すしかない。

でも、ママならどうする?

切るなって言われたところで切るよね?

切るやつはトイレで隠れてだって切るんだよ。

ただ、切るものを間違えないように見ておく必要はある」

 

 

 

まさに、そうだと思った。

私も、手首を切ったらバレて怒られてしまう。

なら、足首を…という経験がある。

 

 

 

そして、長女がお風呂に入っていたので、突入した。

一緒に入りながら、たわいもない話をする。

そして、長女が手首をゴシゴシ洗っている。

 

「痛いやろ?笑」

「ん?全然」

「うそやん!ズキズキせん?」

「せーへんよ。だってペンで描いただけやもん…」

 

私は、床にへたり込んだ。

 

「ママが、泣きだしたから言えんかった。

イタズラで描いただけやで」

 

「よかったぁー!ママ本気で心配したやん!」

 

二人で笑いあった。

でも、その時に一つだけ、長女と約束をした。

 

“絶対に自分を傷つけないで。

何かあるなら必ず相談して。”

 

と。

 

 

 

翌日、タブレットの件も含めて父に電話した。

 

「タブレットは壊していい。

手首はお前が一番気持ちわかるんちゃうんか」

 

と、言われた。

そうだな、私にしかわからない事だな、と思った。

 

 

私の後悔であり、使命だと。

 

 

続く。

 

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