続きを。

 

 

引っ越してきた翌月の7月。

いつも通りに床についた。

まだ家具も全ては揃っていなく、床に直接、布団を敷いて

寝ていた。

 

さぁ、今日も1日終わったー

と思っていると、湊の口から

 

「結婚してくれませんか?」

 

と。

 

一瞬、理解するのに時間がかかった。

その後、喜びと共に、もちろん

 

「はい」

 

と答えた。

 

私は2度結婚を経験しているわけだが、初めて

プロポーズというものを経験した。

素直に、嬉しかった。

 

 

それから、数日後、自宅に荷物が届いた。

私宛だ。

開けてみると、私の大好きなバラの花束。

そこにメッセージカードが添えられていた。

 

「これからも5人で!

おちびさん、結婚してください!湊」

 

泣きそうになった。

湊は不器用だし、感情が欠落している部分があり

理論的に物事を考えるタイプ。

 

その人が、私の好きなバラを選び、本数の意味を調べ

メッセージまで添える……

その気持ちが何より嬉しかった。

 

 

そして7月の某日。

私と子どもは、湊の姓を名乗ることになった。

 

 

余談ではあるが、正真正銘、次男も私の子どもなのだが

戸籍上は「養母」と書かれている。

なぜだったか…手続きがややこしく忘れてしまった。

全ては離婚後に産まれたからなのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平凡な幸せな生活を、送っていた。

 

私は、周りに知り合いもいない。

私は引っ越しと同時にケータイを変え

引っ越し前の繋がりを一切絶ち、連絡先は身内のみにした。

新しい生活で何もかもリセットしたかったのだ。

 

 

 

 

約5か月後のこと、猫を迎え入れた。

ノルウェージャンフォレストキャットだ。

湊は小さいころから、猫を飼うのが夢だったらしい。

私も昔はよく野良猫を拾ってきて飼っていた。

 

それから1か月後のクリスマス翌日。

私は、食器洗いをしていた。

よくその場に猫は来ていた。

箸を咥えようとするので、いつも阻止するのだが

その日、私が目を離した隙に、箸を咥えてキッチンから

飛び降りた。

周りは血だらけ。

急いで、湊を呼び、タオルで抑える。

私と長男で動物病院に電話をかけまわる。

 

幸いにも、早い段階で病院が見つかった。

ケージに入れ、病院へ走る。

 

病院に着くと、先生が先に猫を処置室へ連れて行く。

その間に、名前や住所を書いておいてください

と言われたのだが

 

手が震えて書けない…

 

湊に書いてもらった。

 

 

しばらくして、呼ばれた。

逃げようと反応はするし、脳にまでは達していない

とのこと。

とりあえずは、炎症を抑えるのに点滴を打つので

入院となった。

 

帰宅すると、長女と次男は寝かされ、長男が掃除を

してくれていた。

そこら中、血だらけだったのを、全て拭いて

ゴミをまとめてくれていた。

 

 

私がちゃんと見ていれば…

 

 

その、後悔の念だけが押し寄せてくる。

 

 

 

 

 

 

そして、年末。

無事に退院できた。

まだ、ふやかし気味のご飯ではあったが、しっかり

食べてくれた。

この退院するまでの間、台所に入らないように

完璧に柵をつけた。

床は、滑らないように、ほぼ全面にマットを敷いた。

 

 

しかし、私の心の中にトラウマとして、後悔として

残っていた。

 

 

 

長くなったので、次回。

 

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