新潟駅から30分。
人里離れた田舎町に向ってバスは走る。
周りには、畑、畑、畑。
平たく広大な田園風景がどこまでも続きそうな勢いで伸びている。
ガードレールの下にはスイセンや紫の小さな花がほこびて、前方にはまだ雪の残る山がたたずんでいる。
健やかで清々しい心地、になるはずなのだが、どうにも具合が悪い。
というのも、車内でクラシックが響いているのだ。
しかも転調のきいた、繊細さと厳かさがある旋律。
試行錯誤を重ねた農作と、高貴な音楽家たちが創造してきた音楽には相容れない何かがある。
どうしてもイメージが重ねられない。ちぐはぐなのだ。
なぜに運転手は、このタイミングでクラシックを選曲したのか。
地元だから何を聞いても同じなのか。
はてまたクラシックの気分だったのか。
それともそういうルールか。
やはりBGMなど気にとめない気質か。
さっぱりわからないが、あまりにもバランスを欠いていて、可笑しくて一人笑いそうになる。
わびしい田舎に厳かな音楽を纏って都会の女が現る。
それもなかなかいいかもしれない。