心臓を貫かれて/マイケル ギルモア
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やっと読了。

村上春樹さんはあとがきで

「・・・この本を読みとおすことで(性格にいえば二年近い歳月をかけて翻訳することによって)、ぼくの人間に対する基本的な考え方は、少なからぬ変更を余儀なくされたのではないかと思う。この本をひとつのテキストとして、「ある種の精神の傷は、一定のポイントを越えてしまえば、人間にとって治癒不能なものになる。それはもはや傷として完結するしかないのだ」ということを、僕は理解できたような気がする。頭によってではなく、皮膚によって。理論としてではなく、ひとつの深いリアルな実感として。」

と書いている。

『心臓を貫かれて』は、ゲイリー・ギルモアを取り巻く、「一定のポイントを越えて」しまった傷の歴史と環境を、弟のマイケル・ギルモアがノンフィクションとして書き記したものである。

驚くことにその傷はゲイリーだけでなく、両親、フランクをはじめとする四兄弟すべてが負っている。

ゲイリー・ギルモアの事件とは、1976年にアメリカで起きた2件の強盗殺人のことである。

この事件が注目された理由は、犯人のゲイリー自身が銃殺刑を求め、そして行われ、死刑廃止の流れにあったアメリカの潮流を変えてしまったこと、そしてゲイリーが人を魅了する男であったこと。

冒頭には

「本書は兄のフランク・ギルモア・ジュニアに捧げられる。兄は辛さに耐えつつ、僕がこの物語を語ることを助けてくれた」

とあり、始めはわからなくても読了後に嫌というほどその意味を知ることになる。

村上さんも書いているが、この本を短い言葉で言い表すのは難しい。

本当にみっちりとしている本で、読む力とたたみかけてくる不幸(呪い?)にめげない心が必要です。

でも読んでほしい!

圧倒的な、驚くべき本。