川崎市高津区にある能満寺で文化財の特別公開があるようです。
平成27年度指定文化財等現地特別公開「能満寺の文化財」ならびに関連講座のお知らせ
指定文化財等現地特別公開「能満寺の文化財」
川崎市教育委員会では、日ごろ、文化財保存上の理由から、その多くが常時公開されていない川崎市内の指定文化財を、所有者の御理解と御協力を得ながら公開し、市民の皆様が文化財に親しみ、文化財保護へ理解を深めていただくことを目的に、指定文化財等現地特別公開を実施します。
平成27年度は、能満寺(川崎市高津区千年)の木造虚空蔵菩薩立像(県指定重要文化財)、木造聖観世音菩薩立像(市指定重要歴史記念物)等を公開します。
期間
平成27年10月16日(金)~18日(日) 午前10時~午後3時 〈見学無料〉
公開対象
県指定重要文化財 木造虚空蔵菩薩立像
市指定重要歴史記念物 木造聖観世音菩薩立像 等
詳しい案内は下記のPDFファイルに出ています。
http://www.city.kawasaki.jp/880/cmsfiles/contents/0000069/69940/chirasi-genchikoukaih27.pdf
能満寺は、星王山寶蔵院と称する天台宗の寺院で、行基菩薩によって創建され、正徳4年(1714)に没した観空によって中興されたと伝えられています。
現在の本堂は、影向寺薬師堂建立の際に棟梁(とうりょう)を務めた木嶋長右衛門などによって元文4年(1739)に建立され、内部には当寺の本尊である木造虚空蔵菩薩立像(こくうぞうぼさつりゅうぞう)(県指定重要文化財)や木造聖観世音菩薩立像(市重要歴史記念物)が祀られています。
虚空蔵像は、像高95.6cm、寄木(よせぎ)造(頭・体の主要な部分をふたつ以上の木材を寄せて造る技法)、玉眼(ぎょくがん)で、漆地に彩色が施されていましたが、現在はほとんど剥落しています。頭髪を高く結い上げ、面部を面長に造り、衣の襞を装飾的に表現するなど南北朝時代の仏像の特徴が認められます。また、後頭部内面には墨書銘が記されており、本像が鎌倉の仏師朝祐によって明徳元年(1390)に造られたことがわかります。
観音像は、像高101.3cm、一木造(頭・体の主要な部分をひとつの木材で作る技法)、玉眼で、漆地に彩色が施されていましたが、現在はほとんど剥落しています。体躯は量感があり、衣は大ぶりに足までかかり、膝から下にはU字状の衣文が見られるなど平安時代の貞観彫刻(784-894)の特徴が認められます。面部は、江戸時代に修理されたため小ぶりとなり、玉眼が嵌入(かんにゅう)されています。背面には朱漆で銘文が記されており、本像がもとは岩川村(現・高津区千年、千年新町)長命寺観音堂の本尊であったことや、江戸時代の延宝2年(1674)に修理されたことがわかります。
また、不動堂に祀(まつ)られている法体の木造増田孝清坐像(市重要歴史記念物)は、像高52.5cm、玉眼で彩色(後補)が施されていますが、像主の個性的な表情が的確に表現されています。胎内には墨書銘が書かれているほか、銘札が納入されており、本像は孝清が65歳のときにつくられた寿像(生前につくられた肖像)であることがわかります。
ちょうど忙しい時期で行けるかどうかわかりません。