今朝の新聞記事です。


文化審議会は18日、長野県茅野市で出土し、逆三角形のお面をかぶったような姿と丸みを帯びた下半身から「仮面の女神」と呼ばれている縄文時代の土偶を、国宝に指定するよう下村博文・文部科学相に答申した。浄土宗総本山、知恩院(京都市)にある徳川家康、秀忠の木像など美術工芸品50件を、重要文化財にするよう求めた。


近く答申通り指定され、美術工芸品の重要文化財は1万573件(うち国宝872件)となる。


国宝指定を求めた土偶は高さ34センチで、2000年にほぼ完全な形で出土した。精巧なつくりや複雑な文様から、文化審議会は「縄文時代の土偶造形の頂点に位置付けられる」とした。






昨晩、たまたまもうそろそろ国宝や重文の新指定の頃だと思いネット検索していましたが、何も出ていませんでした。


1日勇み足だったようです。


土偶の国宝は5体目です。



この土偶とほかにも立体仏像の新重文指定を列挙しますね。



【国宝(美術工芸品)の指定】
<考古資料の部>
(重要文化財を国宝に1件)
① 土偶一箇

【大きさ】高さ34.0cm
【所有者】茅野市(長野県茅野市塚原2-6-1)
茅野市尖石縄文考古館保管

縄文時代の土偶造形の中で大形の中空土偶の優品で、全ての破片が接合し、完形に復元されている。
平成18年、重要文化財に指定されたが、近年、各地で開催された土偶の展覧会でその評価が高まり、また縄文時代研究の中でも、中ツ原遺跡から出土した土偶の系統・型式学的位置付けがより明確にされた。本件は、縄文時代における土偶造形の頂点に位置付けられる資料であり、その出土状態も明らかである点から、国宝に指定するものである。
(縄文時代)



<彫刻の部>


(重要美術品を重要文化財に2件)

① 木造伎楽面一面
【大きさ】長さ35.8cm
【所有者】国(文化庁保管)
酔胡従の面で、天平勝宝4年(752)の東大寺大仏の開眼供養会に用いられた伎楽面とみられ、大づかみで力強い作風の特徴などから作者は当代の代表的作者の一人、基永師と思われる。古代仮面の伝世品として極めて貴重な作例である。
(奈良時代)



② 木造薬師如来立像一体
【大きさ】像高167.2cm
【所有者】宗教法人西方寺(奈良県宇陀市榛原山辺三496)
納入品から弘安元年(1278)に二千人を超える結縁者を募って「一日薬師」、すなわち一日のうちに造立されたことが判明する等身の薬師像。この種の「一日造立仏」は文献から多くの造像例が知られているが、納入品の記載からはっきりとそのことが判明するまれな遺品であり、造像儀礼としての仏像製作の在りようを伺う上で貴重である。
(鎌倉時代)




(文化財を重要文化財に8件)


① 鉄造阿弥陀如来立像一体
【大きさ】像高164.0cm
【所有者】中染区(茨城県常陸太田市中染町23)
躰部背面に弘長4年(1264)の陽鋳銘のある鉄仏で、鋳造に用いた木型とみられるものが、同じ茨城県内の別の寺院に本尊として伝わっている。その造立には浄土教団が関与していたことが想定される。
大きさや鋳上がりの良好さで鉄仏の代表作の一つとみなされるのに加え、当代の鋳造技法を知る上でも貴重な作品である。
(鎌倉時代)
院吉、院広、院遵作



② 木造釈迦如来及両脇侍坐像三体
【大きさ】像高中尊(釈迦) 104.2cm
左脇侍(文殊) 56.8cm
右脇侍(普賢) 55.6cm
【所有者】宗教法人方廣寺(静岡県浜松市北区引佐町奥山1577-1)
観応3年(1352)に仏師院吉を統率者とし両脇侍を院広・院遵が造った釈迦三尊像。
院吉らは足利将軍家に重用され、また各地の禅宗寺院の造像を手掛けた。後代に強い影響力を持った中国風の仏像様式を完成させた当代の第一人者の手になる遺品中、大きさと出来映えにおいてこれを代表する作例である。
(南北朝時代)



③ 木造観音菩薩立像一体
【大きさ】像高171.1cm
【所有者】宗教法人九品寺(滋賀県大津市京町1-2-1)
筒型の冠を戴く観音像で、穏和な表情や浅く鎬を立てた彫法から、11世紀初めの製作とみられる。作風は天台宗に関係のある特定の工房により造られた一連の作例の特徴を示している。
当代の優品で、仏師定朝によるいわゆる和様彫刻の成立を考える上で重要な作例である。
(平安時代)



④ 銅造観音菩薩立像一体
【大きさ】像高27.1cm
【所有者】宗教法人眞光寺(滋賀県大津市下阪本4-11-7)
化仏を戴く観音像で、面長で頬が引締まった面貌、若やいだ体つき、動きのある姿態に初唐様式の影響が見られ、平城遷都(710年)と前後する時期の作例と推定される。当代の造形の高い水準を示す作例として貴重である。
(奈良時代)



⑤ 木造徳川家康坐像一体
康猶作
木造徳川秀忠坐像一体
【大きさ】像高家康103.3cm
秀忠106.6cm
【所有者】宗教法人知恩院(京都府京都市東山区新橋通大和大路東入3丁目林下町)
知恩院本堂(御影堂)西の間に安置される。秀忠像は元和6年(1620)に本人が命じて当代の代表的仏師、康猶に自らの等身像として造らせた像。家康像はそれをやや遡る時期に同じく康猶が造ったとみられる。平明で現実感のある表現に近世肖像彫刻の成立を告げる作例と評価される。
(江戸時代)



⑥ 木造十一面観音立像一体
【大きさ】像高185.3cm
【所有者】宗教法人當麻寺(奈良県佞城市當麻1263)
国宝の曼荼羅堂内の織殿と称される一室に安置される等身像。台座蓮肉まで欅の一材より彫出する古式な構造になり、表情は穏やかだが彫法は鋭さと粘りをとどめ、9世紀末ごろの作とみられる。
頂上仏面が亡失し天衣垂下部が後補となるが、本体はほぼ完存し、当初の彩色文様が遺るなど当代の保存良好な作例として評価される。
(平安時代)
康成作



⑦ 木造金剛力士立像二体
(所在二王門)
【大きさ】像高阿形505.8cm 吽形506.2cm
【所有者】宗教法人金峯山寺(奈良県吉野郡吉野町大字吉野山2498)
国宝の二王門に安置される阿吽一対の金剛力士像。延元3年(1338)から翌年にかけて南都大仏師康成によって造られた。5メートルを超える像高は国宝の東大寺南大門像に次ぐもので、当代の記念碑的大作である。
(南北朝時代)



⑧ 羅漢寺石仏一括
【所有者】宗教法人羅漢寺(大分県中津市本耶馬渓町跡田1501)
無漏窟と名付けられた洞窟内及びその周辺に安置される、耶馬渓の五百羅漢として有名な石仏群。釈迦三尊、十大弟子、護法神と五百羅漢より成り、卓や華瓶などの供養具まで石造のものを備える。法灯派の僧、円龕昭覚・逆流建順により延文5年(1360)ごろに製作された。
中世石仏中最も注目される作例の一つで、九州石造文化の中で生み出された注目すべき遺品であると同時に、当時における中国文化の受容の顕著な在りようを示す点でも貴重である。
(南北朝時代)



この中で何体の仏様がGWに東京国立博物館にいらっしゃるのか楽しみです。


さすがに金峯山寺の金剛力士立像はいらっしゃらないでしょう。