春に関西で開催される展覧会情報の最後です。
武家のみやこ 鎌倉の仏像 -迫真とエキゾチシズム-
会 期 平成26年4月5日(土)~6月1日(日)
会 場 奈良国立博物館 東新館・西新館
鎌倉時代の初頭に仏師運慶・快慶らが創始した新しい仏像様式は、やがて武士の都というべき鎌倉や東国の地に根づいてゆきます。本展では、鎌倉国宝館に保管される作品を中心に、鎌倉周辺に伝来した仏像彫刻を一挙公開します。
治承4年(1180)、平家の軍勢によって奈良の地は焼き討ちされました。このとき、東大寺の再建に心血を注いだのは大勧進俊乗房(しゅんじょうぼう)重源(ちょうげん)であり、檀越(だんおつ)として復興事業に多大な貢献をなしたのが、新たな覇者として登場し、鎌倉に幕府を開いた源頼朝でした。
奈良の寺々において仏像の再興造立に活躍したのは、重源が重用した康慶・運慶・快慶ら慶派の仏師たちですが、彼らの活躍の場は奈良にとどまらず、鎌倉や東国にも広がったのです。それは頼朝やその配下の御家人たちが、自らが建立した寺院の造仏に、競って彼ら慶派仏師を起用したことによるものです。
重源は、中国・宋の仏教美術を移入することに積極的でした。このため慶派の作品にも宋の影響が認められます。しかし新たに政権を握った武家の都として重きをなした鎌倉には、蒙古軍の侵攻を逃れて日本に亡命した中国僧たちによって、より直接的に宋風文化が伝えられたため、仏教造像の場においても中国風の作品が相ついで生み出されたのです。
大正12年(1923)に開館した鎌倉国宝館には、この地域の貴重な作品の数々が寄託・所蔵され、鎌倉や東国の仏教美術、わけても仏像の全貌を把握することのできる優れた作品が常時展観されています。
本展は、鎌倉国宝館に寄託・所蔵される仏教彫刻と仏画の優品に加え、近隣の寺院からも尊像の出陳を賜り、それらを一堂に会することによって、奈良から生まれ、鎌倉で結実した仏像の諸相の展観を目指すものです。関東の外においてまとまって展示される初の試みであり、とりわけ鎌倉時代彫刻発祥の地ともいうべき奈良で公開されることの意義は大きいと考えます。この機会にぜひご観覧下さい。
◆主な出陳品
・十二神将立像のうち 戌神 [じゅつしん]鎌倉国宝館
・十二神将立像のうち 巳神 [ししん]鎌倉国宝館
・阿弥陀如来立像 [あみだにょらいりゅうぞう]神奈川・浄妙寺
・重文 上杉重房坐像 [うえすぎしげふさざぞう]神奈川・明月院
現在、鎌倉国宝館が改装中です。
われわれ関東人には見慣れた仏様ばかりです。
関西にお住まいの方に是非とも訪ねていただきたいです。