僕が今の会社に転職したのは、2019年6月、42歳のときでした。
前職もIT業界で、約20年勤めた会社でした。いろんな思い出があって、同僚とも仲が良く、正直、愛着もかなりありました。でも、子どもがちょうど中学生と小学生になり、これから塾や高校・大学と教育費がかさんでくることを考えると、どうしても給料の伸び悩みが気になってきて……。最終的には、将来のことを思って転職を決断しました。
それに加えて、ちょっと気がかりだったのが、全然気の合わなかった上司が「次の社長候補だ」という噂。その人、部下から総スカンを食らってるようなタイプで、「この人の下で働くのはちょっと…」という不安も後押しになりました(後になって、その噂は本人が流したデマだったと知ったんですが・・・涙)。
そんな背景もありつつ、同じ業界での経験も評価してもらい、今の会社に転職することに。面接してくれた事業部長と部長がとても人柄の良い方たちで、「この人たちとなら頑張れる」と思って入社を決めました。
ところが、いざ入ってみると事情が変わっていて、その二人とは一緒に働けず、同じ部ではあるが、面接には居なかった副部長の下につくことに。ところがこの副部長と、どうしてもそりが合わず……。毎日のようにパワハラを受けるようになってしまいました。
さらに、協力会社のベテラン社員の一人からも、立場を利用した“逆パワハラ”のような扱いを受け、チーム内の誰にも助けてもらえず、ろくに業務説明も受けないままリーダーを任されて、ただただ責任だけがのしかかる日々。ほんとうに、精神的にもきつい毎日でした。
「なんで、慣れ親しんだ会社を辞めてまで転職したのに、こんなくだらない人間関係で悩まなきゃいけないんだ……」
そんな思いでいっぱいでした。まさか42歳で、こんなに悔しくてつらい毎日を送ることになるとは思ってもみませんでした。
半年ほど経った頃には、自分の方が悪いんじゃないかと、どんどん自信を失っていきました。心がどんどん弱っていくのが分かって、本当に苦しかったです。
そんな僕を見かねた妻が、ある日「別の部署に異動できないの?ダメだったら、転職してもいいよ」と声をかけてくれました。僕は、もうこれ以上家族に心配をかけたくないと思っていたので、その言葉には本当に救われる思いがしました。
そして妻が続けて、「その前に、叶稲荷尊天様にお参りに行ってみない?」と提案してくれたんです。
妻曰く、強力な縁切りのお稲荷さんで、且つ縁切りした上で良縁をもたらしてくれる、らしいと。。。
正直、最初は「神頼みなんて…」という気持ちもありましたが、そのときの僕は、藁にもすがる思いでした。すがるものがあるなら、何でもいい、と。そんな気持ちで妻と一緒に、豊川稲荷東京別院にある叶稲荷尊天様へお参りに行きました。

ここは以前紹介しました豊川稲荷東京別院の入り口です。赤坂見附駅から徒歩5分。
で、こちらが境内にある叶稲荷尊天様になります。
そのとき、僕はこちらの拝殿の前で、こう祈りました。
「もう、転職するだけのエネルギーは残っていません。また失敗して、妻や子どもたちに心配をかけたくありません。でも、あの人たちとはもう一緒に働けません……。どうか、どうか別の部署に移していただけませんか。これ以上は耐えられません。助けてください。お願いします……」
数日後、意を決して部長に相談しました。「もう、あの方たちとは一緒に働けそうにありません。できれば異動をお願いできないでしょうか」と。
すると部長は、きちんと話を聞いてくれました。そして、「実は副部長には前から問題があって、こちらでも注意していた」と話してくれたんです。内心、「それなら最初から配属しないでくれよ」と思いましたが、結果的には異動の話を前向きに進めてもらえることになりました。
それから約1か月後、驚くほどスムーズに異動が決まりました。あのときのスピード感は、今でも忘れられません。
ただ、異動先の部長がまたちょっとクセのある方で……。今度は「超・理詰め」で詰めてくるタイプでした。最初は「また面倒な人がいるのか」と思いましたが、話してみると、筋は通っていて、理不尽なことは言わない人ということが分かりました。
ちゃんと説明すればきちんと理解してくれるし、頑張っていればしっかり評価してくれる。そんな環境の中で、半年もすると僕のことを認めてくれ、さらに1年後にはなんと年収が100万円以上アップすることに……!
僕自身、仕事のスタイルは転職前も、転職後の辛い時期も、異動してからも一切変えていません。変わったのは、ただ「環境」だけでした。
これが、叶稲荷尊天様とのエピソードです。
それまでは、妻がスピリチュアルなことに興味があって、僕はただ付き合っていただけだったんです。でも、この経験を通じて、僕は本当に「神様っているのかもしれない」と思うようになったのでした。
このエピソードの縁で、いまでも半年ごとにお礼に参拝しに行っているのです。
「叶稲荷尊天様!ありがとうございます!」
