■第27回 活動記録
Ⅰ実施日:2016年11月20日(日)
Ⅱ実施場所
セッション実施場所:中央コミュニティーセンター
Ⅲ活動内容
セッション
Ⅳ参加者 計6名
乙ハヂメ、TOTO、lamancha 、ガリュー、陸、聖澤 (見学者)
Ⅴ活動内容詳細
セッション1卓実施。
詳細は下記の通り。
『深淵 第二版』GM:乙ハヂメ
シナリオ『万華鏡』
【予告編】
メジナから東方、中原の東端に位置する龍の都スイネは、非常に軍事的要素の多い街である。主にその目的はファオンの野を闊歩する龍王からの防衛となる。
10年前、ファオンの野に霧の龍王ファーロ・パキールが出現し、とある小国が滅ぼされた。その国ではたった一人を除いてすべての人間が龍王に食い殺されたといわれる。
近年、龍王教団による暴動が発生したが、国軍の出動で速やかに鎮圧された。大公家が魔道師学院と深い関わりを持つことから、その支援があったと見られている。
“龍王教団の活動がまたぞろ活発化しつつあるらしい”という噂があり、龍への忌避と警戒感が強まっている――
……そんな情勢下、スイネの近くの街道筋で少女たちは出会った。
【ハンドアウト】
PC①:記憶を失った少女
推奨テンプレート:「ラヴィオラ」
運命:デフォルトの運命を「58:過去を失った者」に書き換える。合わせて縁故も修正。
概要:あなたはそのときそこに在った。それ以前の記憶は何もありません。
PC②:運命の出会いをする騎士
推奨テンプレート:「漂白の若き騎士」
運命:「運命の出会い:恋愛」
概要:あなたは旅路で一人の【記憶を失った少女】に出会います。それは運命の出会いです。あなたは少女を助けますか?
PC③:醜い傭兵
推奨テンプレート:「傭兵」
運命:「19:醜悪」
概要:あなたはとても醜く、人々から嫌われています。あの【記憶を失った少女】はあなたの命です。
PC④:故郷を失った吟遊詩人
推奨テンプレート:「吟遊詩人」
運命:「32:故郷を失った」/「49:待ち人の予感」
概要:あなたは、10年前霧の龍王ファーロ・パキールに滅ぼされた国の、たった一人の生き残りです。すべてを失ったあなたに生きる道を教えてくれたのはあの【運命の出会いをする騎士】でした。
PC⑤:自由
推奨テンプレート:戦闘、魔法、魔族などに関わりの無い職業(「少年」、「農夫」、等)
運命:指定なし
概要:一人の少女を廻る、大いなる運命に翻弄されだけの存在。
【各PC紹介と所感】
①「記憶を失った少女」ラヴィオラ PL:聖澤様 テンプレート:ラヴィオラ
■運命
[58]過去を失った者→[40]魔法の力
[43]血の渇き
+[85]竜のさだめ
自分の名前以外、全ての記憶を失った少女。しかしてその正体は龍王教団の《龍の巫女》であり、霧の龍王ファーロ・パキールを召喚することが出来る、生まれながらの「世界の敵」。加えて、龍の大公イヌーヴから「世界を憎みやすくするよう」、定期的に赤子を殺めて得られる血を飲まねば生きられない呪いを掛けられている。
10年前、とある吟遊詩人の故郷を滅ぼすこととなった直接の原因。記憶を取り戻し、その罪に苦悩するが、己を助けてくれる騎士や傭兵の存在に「生きる」こと、そして決して龍王を喚び出さないことを決意する。
しかし、己の大義に従い「世界の敵」を許容することのできなかった騎士に裏切られその胸を背後から突き刺されたとき、ショックで龍王を召喚してしまう。
世界は滅びの幕を上げた。少女は、死の運命を傭兵が肩代わりしたことから生き延び、自らを裏切った騎士とともに取り残されている。
②「運命の出会いをする騎士」セルヴァンデス PL:Lamancha様 テンプレート:漂白の若き騎士
■運命
[81]誓いの言葉→×
[52]運命の出会い:恋愛
+[94]予言する猫
+[34]死の約定
栄達心の強い漂白の騎士。故郷には恋人がいるが、それは自らの栄誉の証としてしか見ておらず、街道沿いで出会った不思議な少女を一目見て恋に落ちる。
少女を守るべく傭兵と対峙し、龍王教団に関わりを疑われる少女の「知らない」という言葉を信じ、彼女に「龍を喚べ」と迫る異形となった少女の父に剣を振るうことすら辞さない潔白の騎士であった。
しかし、記憶を取り戻した少女は「世界の敵」であり、彼が抱く「大義」に従うのならば、その存在を許すわけにはいかなかった。騎士は、少女を背から突き刺したのだ。
世界を守るべく、そして大義のため、愛する人を犠牲にしたはずだった。しかし、今際の際の少女の叫びは龍王を喚び出した。結局、彼の人差しが世界を滅ぼす原因となったのだ。
騎士は、大いなる存在である龍王に呪われ、ただその下僕として生かされる。殺したはずの少女とともに、彼は取り残されている。
③「醜い傭兵」ゴーダ PL:陸様 テンプレート:傭兵
■運命
[19]醜悪
[90]友殺しの予言
+[97]守護者
少女を偏愛する醜い傭兵。少女への気持ちは、愛と呼ぶかは人に拠る。醜さ故に少女から愛されないことを知っていると同時に、愛を得るためには彼女のために何らかを成し遂げなければならないことを知っている。
赤子の血を必要とする少女のために、また一人の幼子を連れ去り村へと戻ろうとしたその道中。愛する少女は、少女は記憶を失っていた。
記憶を失い、自らを嫌悪混じりの視線で見つめる少女に対し、それでも献身的に尽くし続けた彼は、「生きたい」と願う彼女のために静かに暮らせる場所を目指し騎士とともに辺境を目指す。
しかし、愛する少女は、己の眼前で、騎士に背中から貫かれた。
傭兵は慟哭する。そして、何の運命の力か。少女の死の運命は男が引き受け、少女を生かす。彼が最後に残した言葉は、「生きろ」。
滅んだ世界に、少女は騎士と取り残されている。
④「故郷を失った吟遊詩人」ミンネ PL:ガリュー様 テンプレート:吟遊詩人
■運命
[32]故郷を失った
[49]待ち人の予感
+[08]禁じられた夢
10年前、霧の龍王ファーロ・パキールに故郷を滅ぼされた吟遊詩人。
以来、彷徨う様に各地を転々としながら懊悩していた頃、死の貴婦人クリスケインに出会う。彼女は彼の苦悩こそを喜び、彼に呵責なる運命を背負わせ続けている。
街道沿いで出会った少女。そして、迷い続けた自分に救いの言葉を与えてくれた騎士との再会。初めはただ、流されているだけだった。しかし、宿場町で再会した竜騎士が告げる。故郷を滅ぼす、原因となった存在がいることを。
《龍の巫女》。それは少女のことだった。復讐を果たすべき相手。しかし、それを忘れてしまった存在を、敵として殺すことは正しいのか?
苦悩の果、彼は決断を果たす。罪を受け入れ、その償いをするためにも生きることを決意した少女を彼は見逃した。倒すべき仇は他にいる。少女に龍を喚ばせた龍司祭、そして龍司祭に龍を喚ぶよう唆した黒衣の貴婦人。
既に人外へと堕ちた龍司祭に、常識で考えれば吟遊詩人ごときでは敵わなかったであろう。しかし、文字通り命を燃やし尽くし、彼は彼の敵を決闘にて打ち倒した。
死を受け入れていた黒き貴婦人を細剣で貫き、そして吟遊詩人もまたそこで事切れる。
復讐は、世界が滅ぶ前に成し遂げられた。
⑤「自由」マテュー PL:TOTO様 テンプレート:商人
■運命
[67]不義の子
[53]友なる動物
+[27]呪われた魔剣
龍の都スイネの、とある豪商の息子。しかし不義の子であり、父親から疎まれていた彼は体よく街を追い出される。何時の日か、父に認められる、若しくは父を見返す日が来ることを願いながら彼は荷馬車を走らせる。そして彼は、街道沿いで運命の渦に飲み込まれてゆく。
龍王教団も、《竜の巫女》も、その命を狙う竜騎士も、少女を守ろうとする騎士も傭兵も、彼にとっては側を通り過ぎる流れのひとつでしかなかった。
なぜなら彼は、彼こそは。大いなる運命に初めから見初められた存在だったのだから。
天に霧が立ち込め、現れた霧の龍王ファーロ・パキールがスイネへと向けて飛ぶ姿を見た瞬間。商人は大いなる存在に出会う。星の大公レウーヴ。かの魔族より授けられたるは二つ。ひとつは「星の手綱」。レウーヴの下僕たる銀の馬を呼び出すことができる魔剣。ひとつは予言。西方、星の大公を祀ろう民を率いて中原を支配せよとの御言葉。
商人は高らかに切り立ち込める夜天へと手綱を振り上げ、飛び来る銀の馬に跨り西方を目指した。滅んだ世界の、未来の征服王の誕生である。
というわけで、当サークルでは三度目の『深淵』でした。やっぱり今回も世界が滅びましたね!
『深淵』はその性質上他システムよりロールプレイに比重が置かれ、その結果即興劇のごとくシナリオが予想を離れていくことが多々あるわけで。まぁそれが魅力なのですが、第一章の時点で既にGMの予想を大きく越えた、少女と騎士と傭兵の三角関係を中心としたギスギス旅譚になりましたw
その後まさかのチーム分担、どうやって合流させようかと思いましたが。ラヴィオラ絶対殺すマンの竜騎士さんが恐ろしいほど聞き分けがよく、難なく再合流が果たせたのには一安心。
その後の第二章、第三章は物語の中心である少女の葛藤を主題に、他のメンバーの運命が多彩なる彩りを加えて素敵に物語を紡げたかと存じます。
まさかの世界滅亡エンド&征服王爆誕、そして物語よりも少しだけ早めに人生に幕をおろした復讐者と、悲喜こもごものEDも深淵ならではでした。
各キャラへの所感としましては、
①【記憶を失った少女】ラヴィオラ
TRPG経験初の御方になかなかの役どころをぶっこんだ自覚はありましたが、見事ロール仕切ってくださいました。
最初は記憶を失っているがために受動的にならざるを得ず、騎士と傭兵に振り回されてばかりだったかと思いますが。
物語中盤、自分の記憶と力、そして罪を自覚して以降は生き生きと物語の中核として動き回ってくださいました。
EDは思いの外急にやってきましたが、それでも悲劇的で虚しく、深淵らしい終わり方だったかと。
運命で「血の渇き」を引いたせいで、赤子の血を必要とする、もう生まれながらの害悪になってしまったのは衝撃でしたな!
②【漂白の若き騎士】セルヴァンデス
どこまでの自分の内側の騎士道、大義に従順だった御方。ゴーダとともども物語をどんどん呵責無く回してくださいました。
EDの裏切りはGMとしても衝撃的で、しかし理由を聞いてみれば甚だ納得せざるを得ず。愛と義の葛藤を見事描ききってくださいました。
ま、残念ながら世界は滅ぶわ、愛した人裏切ったわ、自分の中の騎士道は龍王によって砕かれるわで、余生は散々なことになってしまいそうですがw
③【醜い傭兵】ゴーダ
“花”を少女のために取りに行っていたら、大事なあの子は見知らぬ騎士と仲よさげで自分に冷たい!なんと、少女は記憶喪失になっていました!という、わかり易いくらいゴーダ・ハードなオープニングから始まるわけですが。ラヴィオラが運命「血の渇き」を引いたもんで“花”=「赤子」の隠語となり、ただでさえ龍王教団の一員でやばいってのにガチ犯罪者にもなってしまったので難易度がルナティック。世界はゴーダに厳しい。周りは敵ばっかりで、前半は孤軍奮闘ロールが光ってましたw
醜さ故に愛する少女から、自分が捧げるのと同等の想いを決して向けられない報われない存在な訳でしたが。それでも一途に、ただ只管にラヴィオラのために行動し、最後はその生命を守るべく命を投げ打ったシーンは、まさしく深淵らしい一幕だったかと。
④【故郷を失った吟遊詩人】ミンネ
物語の中心人物が記憶を失った少女ならば、このミンネこそが物語の主人公。
故郷を滅ぼす原因となった少女・ラヴィオラを殺すのか否か、恐らくかなり葛藤いただいたのかと存じます。PLの次元で悩まれておられましたので、PCは自然と「なすべきか、なさざるべきか」と思い悩む主人公そのもの出会ったように思います。
罪を自覚し、償うこと、決して力を濫用しないことを誓ったラヴィオラを許し、本当の原因である龍司祭へと勝ち目のない決闘を挑んだのは英断でしたね。
結果、首の皮一枚、具体的に言えば寿命一年残して(瀬戸際!)、圧倒的に強者であるはずの龍司祭をレイピア一本で打ち倒したのはまさしく運命力!w そして残った一年をつぎ込みもう一人の黒幕・黒き貴婦人も討ち、その場で事切れるまでの一連の流れは苛烈そのもの。
いやぁ、格好良くロールし、美しく死んで頂けましたw
⑤【自由】マテュー
最初に確かに、「他人の運命に巻き込まれるか、他人を運命に巻き込むかまで含めて自由」と言いましたが。他人の運命に流されてみた結果、最終的に運命の大渦全部飲み干し新世界の王になられた御方。びっくり一人勝ちでしたね!w
閑話休題。
シナリオ前半から中盤にかけて、孤立しがちなゴーダと他メンバーの調整に尽力頂きました。マテューが居なければEDまでに3回、殺し合って話が終わる展開の分岐がありましたからね!そういった意味では影の功労者、最後に努力が報われてヨカッタヨカッタ。